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「エイブルキャリー」“完璧なバックパック”の可能性 日本にも浸透する“無重力バッグ”

エイブルキャリー

香港発のバッグブランド「エイブルキャリー(ABLE CARRY)」が2023年に日本に上陸した。輸入代理店はアウトドア用品を扱うハイマウントで、卸での販売を本格的に開始している。現在はビームス(BEAMS)やMoMAデザインストア(MoMA DESIGN STORE)、ベータ(b8ta)などで取り扱う。「エイブルキャリー」は“毎日使いたくなる完璧なバックパックを作ること”をミッションに掲げ、現在はバックパック5型をそろえる。バックパックの価格帯は2万3100〜4万6200円。バッグの特徴は独自開発した“A フレーム”構造や素材使いで、優れた耐久性と快適性から、日本でもSNSなどで“無重力バッグ”として話題を集めている。

同ブランドは17年に設立後、ECでの販売数を徐々に伸ばしてきた。設立当初はアメリカでの販売数が最も多かったものの、最近ではECのみでの販売だった日本の売り上げが伸長し、アメリカに並びつつあるという。数あるバックパックの中で、「エイブルキャリー」はなぜ選ばれるのか。その強みを構造や素材選び、ジュリアン・チョウ(Julian Chow)CEOへのインタビューで解き明かす。

A フレーム”構造で
未体験のフィット感

「エイブルキャリー」のバックパック最大の特徴は、人間工学に基づいたサポートシステム“A フレーム”である。バックパックの底まで伸びたショルダーベルトと立体的な構造により、重みを下から支えて荷重を分散させる仕組みだ。この“A フレーム”によって肩や腰にかかる負担を軽減するほか、背面のエアメッシュパッドや肩部分の厚手パッドによるフィット感と、自立する構造によって荷物が出しやすく、快適な日常をサポートする。またパソコン・タブレットが入る上げ底式の耐衝撃性スリーブや、ペンスロット、ボトルポケットなど、荷物を整理しやすいポケットが複数つく。あらゆるユーザーの日常を考え、購入客からのレビューを取り入れてスピーディーに改良を加えていく柔軟性も、「エイブルキャリー」の飛躍を後押ししてきた一因である。

軽さと耐久性に優れた素材選び

「エイブルキャリー」が支持を得ている理由は、快適性を追求した構造に加え、機能性を重視した素材選びにもある。生地ではギアとしての機能面にも特化し、耐久性とはっ水性に優れたものを選んでいる。ダイヤ柄の格子“エックスパック(X-Pac)”をはじめ、“コーデュラナイロン1000D”“コーデュラリップストップ”の3種類だ。いずれも本格的なアウトドアギアにも用いられる素材で、少量の中身でも型崩れせずに立体的な形状をキープする。また“A フレーム”構造との組み合わせによって、身につけたバックパックが荷重によって垂れ下がることなく、横揺れも防ぐ。

日本市場進出の狙いと可能性

WWDJAPAN(以下、WWD):バックパックに商機を感じたきっかけは?

ジュリアン・チョウCEO(以下、チョウ):セレクトショップを経営していた当時は欧米からあらゆるアイテムを仕入れており、バックパックは堅調なカテゴリーだという印象はもともと持っていた。香港の人々は通勤や出張だったり、旅行だったりと行動がアクティブで、バックパックは便利だったからだ。それからライフスタイルが変わり、コワーキングスペースを使った働き方が浸透するにつれて、既存のバックパックではニーズを満たし切らないと感じたのが、自分でバックパックを作るきっかけになった。

WWD:ニーズとはどういった点だったのか?

チョウ:まずは持ち運びやすさだ。仕事や旅行に加え、ジム通いやアウトドアアクティビティーなどアクティブなライフスタイルに対応するよう、“A フレーム”構造を開発した。エンジニアと時間をかけて試行錯誤しながら、バックパックの中にたくさんの荷物が入っていても、荷重を分散させて快適に持ち運べる構造を完成させた。パソコンの持ち運びも想定した設計で、素材の耐久性や軽さにこだわり、香港のような湿気の多い都市で身につけていても、不快に感じないように通気性の良さも意識した。

WWD:「エイブルキャリー」立ち上げからビジネスは計画通り進んだ?

チョウ:18年に立ち上げた越境ECを主な販路として、売り上げを徐々に伸ばしていった。しかし20年にはコロナ禍という困難に直面した。それでも、コロナ禍で変わるユーザーのライフスタイルを思い描きながら、製品に機能を順応させていくチャレンジをやめなかった。例えば、当時開発した“マックスバックパック”は、もともと想定していた大きさよりも小さくし、都市部でも使いやすいように改良したものだ。前職のリテールでの経験を生かし、顧客のニーズを理解して商品開発に反映させるスピード感は、「エイブルキャリー」の強みになっている。

WWD:新しいバックパックにはユーザーのレビューも大きく影響している?

チョウ:そうだ。現在のベストセラー“デイリー プラス”は、ヒット作の“デイリー バックパック”を改良したもので、お客さまからの「水筒を持ち歩きたい」「たくさんポケットがほしい」というフィードバックを反映した。また、完成して終わりではなく、そこからさらにユーザーの意見を反映させてアップデートしており、素材の耐久性などを向上させている。“デイリー バックパック”は1.0からスタートし、現在はバージョン1.4に進化している。

WWD:販売数が増えていくとアップデートを繰り返すのも簡単ではないのでは?

チョウ:確かにその通りだが、バランスをとることが大事だと考えている。私たちのミッションは、“毎日使いたくなる完璧なバックパックを作る”こと。お客さまに、使いやすいバッグを届けたい思いでスタートしたブランドなので、これからもその姿勢を貫いていきたい。

WWD:23年には日本市場に本格上陸した。日本のマーケットにどのような可能性を感じた?

チョウ:設立当初はアメリカでの売り上げが最も大きく、次いで香港、日本だった。それが最近は日本の市場はアメリカと同じぐらいまで成長している。日本はこれまでECでの販売のみだったので、実店舗での販路を増やしていくことに大きな可能性を感じている。われわれには多くの商品ラインアップがあるわけではないので、「エイブルキャリー」のバックパックが幅広い人のライフスタイルをどのようにサポートするかに焦点を当て、実物を手に取れる機会を増やしていきたい。日本で必要としてくれる人の手に届くように努力を続けたい。

WWD:今後のビジネスの展望は?

チョウ:前年度はコロナが収束し、ビジネスとしても非常に堅調な1年だったので、今年度は200%以上の成長を目指している。私たちの強みである柔軟な商品開発力を継続させながら、あらゆる人のライフスタイルを快適にするブランドだというイメージを浸透させたい。

毎日を快適に過ごす“完璧な”5モデル

「エイブルキャリー」の現在の主なバックパックは5型だ。1型のバックパックからスタートした同ブランドを成長させたのは、ユーザーからのレビューを柔軟に取り入れる開発力である。容量やポケットの数、位置についての意見を取り入れながら、独自に研究開発を進めて新製品を生み出してきた。既存5型もアップデートを繰り返しており、今後はニューカラーや新型のタイプも登場する予定だという。

問い合わせ先
ハイマウント
03-3667-4545