ファッション

「無印良品」が循環プログラム「ReMUJI」に本腰 

「無印良品」は循環プログラム「ReMUJI」に本腰を入れる。「ReMUJI」の取り扱い店舗は現在25で、2023年(8月期)の「ReMUJI」の販売数は年間3万433着。現在、特に新宿靖国通り店で好調で、「ReMUJI」全体でも昨年を上回るペースで売れており、拡大に向けて本腰を入れる。

2010年に始めた衣料品回収、再販拡大に向けた取り組み

「無印良品」は2010年に衣料品の回収を始め、まだ着用できる衣料品が多かったことから、古くから布を使い切る方法の「染め直し」から着想を得て、15年に「ReMUJI」として染め直して再販する「染め直した服」をスタート。21年秋には「洗い直した服」と回収した服を解体してつなぎ合わせる「つながる服」の販売を開始した。回収量も少なくコロナ禍ということもあり、一部店舗での販売のみだった。現在、「染め直した服」は25店舗、「洗い直した服」は6店舗、「つながる服」は1店舗で販売する。

戸村幸太(左)/産地開発部素材開発担当と大常寿典(右)/産地開発部素材開発担当課長 プロフィール

戸村は2017年入社。店長、ブロックマネージャーなど経て23年2月から現職。大常は、繊維商社や繊維メーカーを経て2021年12月入社。衣服雑貨部を経て22年9月から現職

大きく動き出したのは21年12月。産地開発部素材開発担当が「ReMUJI」を手掛けることになり、ちょうどその頃、繊維メーカーでの経験がある大常寿典・産地開発部素材開発担当課長が入社した。回収やリセール、リメイクやリサイクルは、従来のビジネススキームにはない知識が必要だ。「物流面など事業拡大への課題を抽出し解決に向けて進めていたが、ボトルネックは私に無印良品の店舗経験がなく、スピード感を持って進められないことだった」。そこで、店舗経験が豊富な戸村幸太・産地開発部素材開発担当が23年2月に加わった。

「ReMUJI」は顧客から不要衣料を回収するところから始まる。対象は「無印良品」の衣料品全般とタオルやシーツ、カバーだ。「年々、賛同いただける方が増え、回収量が増えた」と戸村。23年8月期の年間回収量は約52トン。回収後、仕分けるのは店舗スタッフだ。「以前のマニュアルはリサイクルを想定したフローが主であったため、素材の混率などを見ながら仕分けていた。この回収フローが細かくリユースに適したフローになっていなかった。まずリユースに活用するフローへと変更した」と戸村。その結果、「ReMUJI」として活用できる服が3倍以上に増えた。「ReMUJI」として扱うことができないものは再生コットンや再生ウールとして活用できないか、処理をなるべく少なくした方法での再活用に向けて検討を進めている。大常は「中途採用で入った私の視点でいうと、無印良品の素晴らしいところは、自店で丁寧に仕分け作業を行っているところで、お客さまの善意とスタッフの仕事の積み重ねがあり、これを広げていくべきだと思った」と語る。

「つながる服」は現在、新宿靖国通り店のみで取り扱う。汚れのない部分を再利用するため、2枚のシャツを繋ぎ合わせた身幅が大きくゆったりとしたシルエットが特徴で、結果として通常よりも大きなサイズ感で着ることができる。現在の取り扱いはワンピースとシャツのみで、いずれも同様の方法でリメイクしている。「手に取りやすい販売価格であることが重要だと考え、経済合理性を考えてデザインを設計した。リメイクの手間がかかり過ぎないことやリユース率が上がる方法を考えた」と大常。シャツが3990円、ワンピースが4990円と手に取りやすい価格で実現できた。店舗での仕分けを含め工程を点検した結果の価格だ。そして入荷するとあっという間に完売する人気商品になった。今後は、さらにデザインやバリエーションを発展させる意向だ。また、作る際に出た端切れは社内用のバッグとして活用する。「衣食住幅広い商品を扱っているため、各事業部が行っていることを把握するのは難しくもある。社内での啓発運動もかねている」と大常。

「洗い直した服」は990円。素材の混率が原因で染められないが、まだ着られる服を対象にしている。「洗い直した服」ははきつぶされて色落ちしたジーンズや、風合い豊かになった天然素材のワンピースやシャツなど、製造された年代もさまざまに並ぶ。「ソフトな風合いに仕上げ、風合いを損なわないように畳み方も工夫している」と戸村。

一方で課題もある。混紡が増えるとリサイクルしにくいし、モノマテリアルは機能性とトレードオフになることも多い。「リサイクルしやすい混率や、はんもうしやすい混率など素材から再考している」と大常。「ReMUJI」をきっかけに、リサイクル・リユース前提の製品設計にも取り組み始めた。

再販が当たり前になる時代に独自性を発揮するために

良品計画が目指す“地域社会の中で「無印良品」を役立てていく”「地域への土着化」は「ReMUJI」でも発展させる。「『無印良品』でしかできないことだし、期待されていることでもある。地域の個店が自立自走して、各地域の未利用資源を活用して、『ReMUJI』のエッセンスとつなげてビジネスを作っていく」と大常。今後、各地域独自の取り組みも予定している。「リユースが浸透して再販が当たり前になった5年後や10年後に、『無印良品』としての独自性を出しつつ、クリエイションの高度化にも取り組んでいきたい」と大常。

最も重要なのは「ごみを減らすこと」だと大常は強調する。「『ReMUJI』の本質は、ごみを減らすために製品のライフサイクルを伸ばし、大切に使っていただくこと。ごみを減らしながら資源が循環する社会を促進させていきたい」と語気を強めた。

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