ビューティ

水原希子が「イロハ」と作る 女性が“セックス”や“性欲”を語れる未来

水原希子(みずはら・きこ)/俳優・モデル・デザイナー プロフィール

1990年10月15日生まれ、アメリカ出身。2010年に映画「ノルウェイの森」でスクリーンデビュー。「あの子は貴族」(2021年公開)で門脇麦とダブル主演で出演し、22年の高崎映画祭で最優秀助演女優賞を受賞する。モデル業として、ニューヨークやミラノ、パリのファッションウィークでランウエイを歩き、「コーチ(COACH)」や「モスキーノ(MOSCHINO)」などのショーに参加

IROHA(イロハ) ブランドプロフィール

TENGAが展開するフェムケアブランド 。“セルフプレジャーはセルフケアの一環”との理念を掲げ、2013年3月にスタート。女性が安心して使える設計を追求し、開発を全て女性スタッフが手掛ける。19年に旗艦店「iroha STORE ⼤丸梅⽥店」をオープン。23年、ブランド10周年を記念して女優・水原希子をアンバサダーに迎えた

モデル・女優の水原希子が3月、TENGAの女性向けブランド「イロハ(IROHA)」のアンバサダーに就任した。「イロハ」は6月、彼女がプロデュースする高性能バイブレーター“iroha mai RURI”を発売している。

「イロハ」は今年で10周年を迎えるが、セックストイの「テンガ(TENGA)」に代表されるように、セルフプレジャーアイテムにはまだまだ男性向けというイメージが強い。水原は女性の“セクシャルウエルネス”(性の健康)について積極的に発信し、若者世代のオピニオンリーダーとして支持されてきた。アンバサダー活動を通じ、「イロハ」は身体の自然な欲求に応える“セルフプレジャーアイテム”というポジティブなイメージを発信する。

「女性によるセックスや性欲の話をタブー視する風潮は根強い」と語る水原。彼女がコラボアイテムに込めた思いやセルフプレジャーの捉え方、今後の展望を聞いた。

WWD:今回のコラボアイテムはクジラをモチーフにしているとか。

水原:2年前に奄美大島の離島でホエールスイムをしたとき、偶然クジラの求愛の声を水中で聞いたんです。ものすごく大きな声が振動になって、私の身体中を響き渡るという衝撃的な体験でした。「すべては振動なんだ!」と思いましたね。人との会話など、何かを体感することの多くは振動から始まっています。目や耳では感じ取れない振動を通して、私たちはコミュニケーションしている。当時はコロナ禍で人と直接会えないこともあり、いつも以上にそう感じたのかもしれません。クジラから受けた感動をコラボアイテムに必ず込めたいと思ったんです。

WWD:日本人女性の“セクシャルウェルネス”について、何か思うことは?

水原:日本には、女性がセックスの話をすることをタブー視する風潮がいまだにありますよね。昔、お付き合いしていた男性にセックスについて話そうとしたとき、「女の子はそういう話をしない方がいいよ」と言われてしまって。自分が求めていた向き合い方をしてもらえず、少し辛かったことがあります。女性のあり方に関する固定観念が日本社会では根深いです。でも「だから日本人男性は……」とか、そういうことを言いたいのではなくて。性の話を持ち出した人は、“性欲が強い”とネガティブに捉えられる傾向にあります。そもそも性欲の度合いに良し悪しはないのに。すべての人間はホルモンの影響を受けて生きているので、互いのバイオリズムを理解し合えるといいと思います。

WWD:現在、水原さんにはアメリカ人のパートナーがいる。

水原:「僕はオープンな人間だから、なんでも話そうね!」と言ってくれています。とても対等な関係性を築けていると思いますね。彼とだったら今後何かあったとしてもコミュニケーションを取れるだろうし、女性の性についても理解があるから、安心感があります。私の知人はパートナーとのセックスレスに悩んだ結果、オープンリレーションシップ(※既婚・交際中でも互いの合意の上で他人とも関係を結ぶこと)を選択しました。それぞれの価値観を尊重した上でパートナーとは、日頃から正直に話し合うことが大切。そうすると傷つきすぎたり別れを選んだりする必要も無くなるし、関係性が深くなると思います。

WWD:「イロハ」のアンバサダー就任について周りからの反響はあった?

水原:以前に「イロハストア」大丸梅田店でファンの方々や「イロハ」ユーザーと交流したとき、おそらく婦人科系の女医の方が話してくれたことが印象に残っています。彼女によれば、膣やセルフプレジャーの話題になった途端、心をシャットダウンしてしまう患者さんが多いみたいで。「希子ちゃんがアンバサダーになったことで『イロハ』がおしゃれなイメージに変わり、手に取りやすくなるはずです!」とお声がけくださりました。これからアンバサダーとして頑張ろうと思いましたね。

WWD:欧米圏では、近年セレブリティによるセルフプレジャーグッズのプロデュース事例が増えている。

水原:海外の友人には「こっちでも発売しないの?」というポジティブな声を多く頂いていますね。

※2020年代に入り、欧米圏ではすでにセレブリティによるセルフプレジャーグッズ開発ラッシュが起こっている。例えば、モデルのカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)はセクシャルウェルネス企業「ローラ・ディカルロ(LORA DICARLO)」の共同経営者兼クリエイティブディレクターに就任。歌手のリリー・アレン(Lily Allen)やデミ・ロバート(Demi Lovato)もグッズをプロデュースしている。

WWD:今後の活動は?

水原:性について対話できるプラットフォームを作りたいです。日本のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低と知り、とてもショックでした(※世界経済フォーラムが発表した23年版「グローバルジェンダーギャップリポート」によれば日本は146カ国中125位。前年比9ランクダウン)。日本社会の女性に対する固定概念が根強いことの表れだと思います。人々が対話をすることで、この状況を少しずつ変えていけたらいいなと。セルフプレジャーを性的な切り口から語るだけでなく、女性ホルモンの活性化という健康面からも発信していきたいです。切り口やプラットフォームを増やし、色々な人と対談するなどして、地道な活動を積み上げていくことが大切だと思います。上の世代の方々にも「恥ずかしいなんて思わなくてよかったのかも」と感じてほしいですね。性に対するタブー観を取り払っていきたいです。

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