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「ザ・ノース・フェイス」から男性ターゲットの「マタニティープラス」発売 第1弾のこだわりをキーマンに聞く!

 「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は、マタニティーラインから男性をメインターゲットにした「マタニティープラス(MATERNITY+)」をローンチし、9月15日から10月にかけて順次、新規アイテム3型を発売する。産後育児に特化したユニセックスの新ラインは、「育児ストレスの軽減」「男性も持ちたくなるプロダクト」「環境配慮」をキーワードに、機能性やデザイン性を踏襲した。市場にはまだ少ないパパ目線の育児アイテムを率先して打ち出すことで、性別を問わない子育てを応援する。パパの育児悩みを解消するウエアやギアの独自性、ユニセックス強化の背景とは?マタニティーとキッズ部門の企画を一手に担う、矢野真知子MDに聞いた。

パパの「かっこよくありたい」をかなえる

 「マタニティープラス」の特徴は、ゴールドウインに在籍するパパ社員のリアルな声を細やかにモノ作りへと反映させたことだ。開発に当たり、まず全国各部署の乳児・幼児を持つ15人とオンライン座談会を実施。小学生以下の子どもを持つパパにアンケートを取り、育児や育児用品に関する悩みをヒアリングした。その中で最も多く上がったのが、外出時に「カバンを持ちたくない」という声だ。さらに「雨にぬれた子どもに抱っこをせがまれる」、寒冷地で暮らすスタッフからは「抱っこ紐を付けてもアウターのファスナーが閉まるように」などのリクエストもあった。

 これらを背景に第1弾は、育児用品を収納できる“CRストレージジャケット”をメインアイテムとし、定番の“ヌプシジャケット”に連結できるブランケット、抱っこ紐に変化するショルダーバッグをラインアップ。「子どもと楽しむアウトドアに憧れを抱く人」に向けたアイテムは、育児中の不便をアウトドア由来の機能性で解決する。

育児用品をまるっと収納!
大容量の“CRストレージジャケット”

 今回のメインとなるのが、大小11のポケットに育児用品が大容量で収まる“CRストレージジャケット”(税込6万500円)だ。フロント左右の大型ポケットは、哺乳瓶やマグボトルを立てたまま収納できるパワーメッシュをインナーに採用。背中の上部ポケットには、持っていこうか迷うブランケット、下部ポケットには、内部に仕切りを付けることで使用前後のオムツや着替えを分けて入れられるように工夫した。カラビナを付けられるDカン、フロントファスナーを閉めたまま使える貴重品用のポケットなど、細かな仕様にもパパたちの「探しやすい、取り出しやすい、寒くない」といった声が凝縮されている。ジャケットの表地には、汚れが落ちやすく防水透湿性に優れた「ゴアテックス(GORE-TEX)」のリサイクルナイロンを採用。抱っこに対応する付属のベビーカバーは、単体でオムツ替えシートや敷物としても使える。

“ヌプシ”専用ブランケット、
急な「パパ抱っこ!」を解決するバッグ

 今年30周年を迎える定番“ヌプシジャケット”に連結できるブランケット(1万6500円)は、子どもを抱っこしても首元までファスナーが閉まるパターンにこだわった。S~XXL展開のバイカラージャケットにも色味がぴたりと合うよう、ブランケットも5サイズで販売。ジャケット連結時にはブランケットのロゴだけが隠れるのも特徴で、すっきりとした胸元のロゴデザインを楽しめる。表地にはリサイクルナイロン、中綿にはリサイクルダウンの「グリーンダウン(GREEN DOWN)」を使用。コンパクトなポケッタブル仕様で、抱っこ紐やベビーカーに掛けることもできる。

 ショルダーバッグ型のベイビースリングバッグ(3万800円)は、抱っこ紐とバッグが一体化した画期的なアイテムだ。子どものウエストをしっかりホールドできるセーフティベルトやヒップシートが隠されており、シーンに合わせて2ウェイで使用できる。バッグ内のコンパートメントは、おむつ交換や収納整理に便利。また、ライナーは取り外しができ、洗濯することが可能だ。適応月齢は首が座る4カ月以降。製品の安全性を示す、厳しいSG基準もクリアする。

“男性の「育児をしたい」に
応えられるマーケットを“

 「ザ・ノース・フェイス」では「マタニティープラス」の前身として、マタニティーラインから2021年春夏に男女兼用のレインコート、21-22年秋冬に抱っこ紐を発売している。“男女で使える育児ウエア”のニュース性と、抱っことおんぶに対応する斬新なデザイン性は、ビジネス媒体や海外のデザインサイトでも取り上げられるほど話題となり、店舗やECでは入荷・完売が続いた。

 すでに人気のあるユニセックスのカテゴリーを「マタニティープラス」とする理由について、矢野真知子MDは「産後育児は女性だけのものじゃない、という思いはマタニティーラインをスタートした当初からあった。新たに“プラス”とすることで、育児に関する男女の境界線をさらに取り払っていきたい」と話す。一方で「男性にもっと育児に参画して!と言うつもりはない。ただ、男性の育休取得増など、社会が変化する中で、男性が『育児をしたい』と思ったときに、サポートできる環境やマーケットはあるべき」と付け加える。

 商品企画では、事前の座談会で「ゆくゆくは子どもとツーリングをしてみたい、富士山に登ってみたいといった、子育てに“憧れ”を持っているパパが非常に多いことも分かり、心が温かくなった」。ここから「子どもと楽しむアウトドアに憧れを抱く人」という、ユニークなコンセプトが生まれた。

 家族の形がより多様になる中で、ネーミングにも議論があった。「当初は“パタニティー”という案もあったし、“プラス”にすることで『男性はついで?』といったネガティブなイメージを抱く人もいた」。しかし「先行するマタニティーラインの意味合いを拡張していくためにも『マタニティープラス』とした」。

 今後については「バリエーションを増やすのではなく、本当に“ノース”らしい商品を少しずつ発表していきたい。子どもができることで、アウトドアの経験をさせたいと興味を持つパパやママもいる。自然の雄大さを知る“冒険”を後押しすることは、ひいては環境活動にもつながっていくと考えている」。

TEXT:ANRI MURAKAMI
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