ファッション

ランウエイは幻想的な夜の東京タワー パリメンズデビューから30周年の「リンシュウ」がウィメンズで未来に翔る

 1992-93年秋冬シーズンのパリメンズデビューから30年。その間に手掛けるブランド名を「マサトモ(MASATOMO)」から「リンシュウ」に変え、キャラクタービジネスから映画製作にまで挑むなど千変万化する「リンシュウ(RYNSHU)」が、パリコレ期間中に最新コレクションを発表した。配信した映像の撮影のため、日本で開いたファッションショーの舞台は、東京タワーの展望台。そして発表したのは、山地正倫周と共同でクリエイションに臨む、山地りえこが本格スタートしたウィメンズ・コレクション。今回はメンズのシルエットも加え、「自分たちらしく自由に輝いて、大胆に未来に向かって生きていくため」のクリエイションを発表した。“夜空に浮かぶランウエイ”で、まさに自分たちらしく、自由に、大胆に、未来に向かう姿を見せた。

燃えるエネルギーと
エレガンスの二面性

 「天空のファンタジック・ランウエイで、今夜すべてを、手に入れる」。
 そんな想いを込めて発表した22-23年秋冬コレクションは、エネルギッシュとエレガントという二面性を表現した。序盤は、ジャカードで髪の毛が天に舞い上がる女性の顔を描いた漆黒のテーラードスタイルで、物静かながら燃えるようなエネルギーを発信する。装飾までモノトーンのスタイルは、東京タワーの展望台から望む夜景と入り混じり、ミステリアス&ドラマティックなムードを演出。それでも背面にハートマークのカッティングをあしらうなど、可憐な遊び心は忘れない。
 一方後半は、東京の夜景が引き立てる色やモチーフが鮮やかなワンピースやロングコートの世界だ。希望に満ちた未来を願う星のモチーフがきらめくミニドレスや、ロマンティックな言葉で世界を浄化するという願いを託したゴールドのルージュ柄のワンショルダードレスは、肌を露わに見せて艶やか。絞ったウエストからドレスやコートの生地は美しく流れるが、「リンシュウ」らしいショルダーラインやスリットは大胆に。力強く未来に向かう女性を応援するためのディテールだ。

「天空のランウエイから
女性が自由に歩み出すイメージ」

 りえこは、「天空のランウエイから女性がどんどん自由に歩み出すイメージ。凛としつつ、自由で、開放感を楽しんでいるムードを表現したかった。私たちはまだ自由に行動できないけれど、こころは解き放ちたい。抑圧されて生きている中でも、人生を、自分らしく楽しんでいる女性を思い描いた」と話す。
 元々バレエダンサーだった彼女は、クリエイションに本格参入して2シーズン目を迎えた。「地道な作業を繰り返して、華やかな一瞬を迎えるのは、ファッションもバレエも同じ。細部へのこだわりについても、『バレエをやってきて、よかった』と思っている」という。
 一方の正倫周は、「30年間、『明日なんて存在しない』くらいの感覚で出し惜しみせず、“創意無限”と思ってきた。現在はお互いを信じ、『今、やりたいこと』をその時の熱量で一緒に叶えている。ウィメンズができるようになったのは、彼女が参入した、まさに今」という。

異なる経歴の2人の
視線が交差する現在

 インビテーションは、そんな正倫周とりえこの写真だった。2人は世代も、歩んできた歴史も全く異なるが、正倫周はファッション、りえこはバレエで培った個々の感性が交わっている、「私らしいクリエイションができれば、と楽しんでいる」(りえこ)。異なる経歴を持つ2人の視線の交差点が、現在の「リンシュウ」。そんな想いを表現したものだ。

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RYNSHU
03-3402-5300