ファッション

日本発の老舗スニーカーブランド「ムーンスター」が“コミュニティーブランド”へと進化

 福岡県久留米市発のムーンスター(MOONSTAR)は、147年の歴史を持つ老舗シューズメーカーだ。子ども靴や上履きをはじめとするスクールシューズ、スニーカー、ウオーキングシューズ、ワークシューズ、婦人靴、紳士靴など幅広いカテゴリーのシューズを手掛ける同社が大切にするのは、“使われてこそ 価値のあるものづくり”という思い。

 6月27日には、自社のモノ作りの哲学を体現した旗艦店「オルソー ムーンスター(ALSO MOONSTAR)」を福岡市・薬院にオープンしたと同時に、作り手と使い手をつなぐオウンドメディア「インユース(In use)」を公開した。創業150周年を前に、リアルとデジタルの両軸で“人、地域、文化とつながるコミュニティーブランド”を目指すブランドのルーツと魅力を探る。

福岡・久留米で続く
“丈夫で長く履ける靴作り”

 ムーンスターの歴史は1873年に、創業者の倉田雲平が立ち上げた足袋店「つちやたび」として福岡・久留米で始まった。西南戦争の軍事用足袋の受注を契機に大量生産を開始し、戦後は「月星」の名前でスポーツシューズやヴァルカナイズ製法(加硫圧着方式)の革靴を開発。50年代には定番商品となった上履きの生産、70年代には海外シューズブランドのライセンス契約などを経て、日本有数の総合履物メーカーに成長した。その後も技術に磨きをかけ、147年にわたり丈夫で長く履ける靴作りを続けている。

ムーンスターが発信する
“使われてこそ価値のあるもの”
という思い

 ムーンスターは創業150周年に向けた、「SPA化の拡大」「大人・シニア市場の拡大」「海外展開の拡大」の3つの成長戦略を掲げている。市場競争力を高めるため、“Made in Kurume”の国産でのブランディングを強化中だ。猪山渡ムーンスター社長に今後の展望を、同社のブランディングや商品企画に携わる宝蔵寺誠さんと、松永健太さんにブランドの魅力を語ってもらった。

作り手と使い手が
価値観を共有し、
“使うこと”について
考えていく場所「インユース」

 6月19日に公開した「インユース」は、ムーンスターのモノ作りや、その周辺にある価値観を丁寧に共有し、“使うこと”について考えていくオウンドメディア。作り手と使い手がつながることで、“暮らしを豊かにするものとはどういうものなのか”を見つけていく。コンテンツはムーンスター の価値観を共有する仲間と一緒に制作し、順次更新される。

モノ作りの哲学が詰まった
旗艦店でコミュニティーを築く

 ムーンスターは6月27日、同社の旗艦店「オルソー ムーンスター」を福岡市・薬院にオープンした。店名の「オルソー」は英語の “〜も”“また”“さらに”という意味の副詞や接続語。手間を掛け佇まいの美しい靴を届けることで"使用者に寄り添い主役を引き立てる"というムーンスターの思想をあらわしている。

 コンセプトは「惜しみない手間。」国産を中心に据えた旗艦店として、ムーンスターが積み重ねてきたモノ作りへの真摯な姿勢を表現するため、日本建築の基盤である大工・左官・石工の職人たちによる本質的な空間を目指している。店舗を形づくる素材は特別なものではないが、先人たちの経験や技術にならい、一つ一つの素材に職人が丁寧に手間を掛けている。そこにムーンスターの歴史と技術を受け継いだプロダクトを組み合わせることで、特別な佇まい。

 同店では、本社のある久留米で生産されるヴァルカナイズ製法の“Made in Kurume”をはじめ、限定品や足回りに関連したセレクトアイテム、靴を製造する過程で出た廃材をリサイクルした雑貨などが並ぶ。また、同社とゆかりのある作家やブランドによる企画展やイベントなどを開催するほか、モノ作りが体験できるワークショップなども行っていくなど、シューズショップを超えたライフスタイル提案を行い、コミュニティーを築いていく。

 猪山渡ムーンスター社長は「日本のスニーカーの発祥の地、久留米の本社工場で生産された商品の一部には“Made in Kurume”と表示をしている。その当社が147年にわたり築き上げた誰にもまねできない一足をご覧いただける拠点が、国家戦略特区として注目され、アジアのゲートウエイでもある福岡に持てたことに大きな意義を感じている。当社に上履きや子ども靴のイメージをお持ちの方にも、新しいムーンスターを見つけていだけるような拠点にしていきたい」と語る。

INFORMATION
ALSO MOONSTAR

オープン日:6月27日
営業時間:11:00〜20:00
住所:福岡市中央区薬院3-11-22
電話番号:092-401-0781


問い合わせ先
ムーンスター カスタマーセンター
0800-800-1792