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企業のトップがとらえる“今の時代”

 企業のトップが今の時代をどう見ているのか。この先どっちへ舵を切ろうとしているのか。業界の未来を占ううえで重要です。トップには情報も集まります。売上高11兆円突破のLVMHのベルナール・アルノー会長、今回の決算会見では中国市場についてコメントしています。

 「WWDJAPAN」ウイークリーの最新号は国内のファッション&ビューティ企業45社のトップインタビューを一冊に収めています。多くの記事から、コロナ禍をバネに成長しようという意気込みがつ変わってきます。参加企業一覧は下のリンクからどうぞ。ぜひ読んでください!

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

「ルイ・ヴィトン」の親会社、22年の売上高は11兆円と大台突破 インフレなどの逆風をものともせず

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比23.3%増の791億8400万ユーロ(約11兆857億円)、営業利益は同22.4%増の210億100万(約2兆9401億円)ユーロ、純利益は17.0%増の140億8400万ユーロ(約1兆9717億円)だった。

 部門別の売上高では、スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」を抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同25.0%増の386億4800万ユーロ(約5兆4107億円)と記録的な好業績となった。中でも「ルイ・ヴィトン」は初めて売り上げ200億ユーロ(約2兆8000億円)を突破し、力強い成長を見せた。ほかにも、「セリーヌ(CELINE)」「フェンディ(FENDI)」「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」「ロエベ(LOEWE)」が好調で売り上げに寄与した。

 ウオッチ&ジュエリー部門は、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」がけん引し、同18.0%増の105億8100万ユーロ(約1兆4813億円)となった。

 香水&コスメティクス部門は同16.8%増の77億2200万ユーロ(約1兆810億円)、ワイン&スピリッツ部門は、同18.8%増の70億9900万ユーロ(約9938億円)だった。免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は、店舗への客足が回復したことなどから、同26.3%増の148億5200万ユーロ(約2兆792億円)となった。

 地域別の売上高を見ると、フランスが同47.6%増、フランスを除く欧州は同28.9%増、米国は同29.8%増、日本は同24.0%増といずれも2ケタ成長だった。一方、日本を除くアジア太平洋地域は、中国におけるロックダウンなどの影響によって同6.3%増となった。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者は、「世界が経済的・地政学的な課題に直面していた22年においても、当社の傘下メゾンの比類のない魅力や購買意欲を喚起する能力により、素晴らしい業績を上げることができてうれしく思う。現在の先行き不透明な情勢の中、23年も自信を持って、しかし慎重に事業を進めていく」と語った。また、同氏はアナリスト向けの決算説明会で、中国市場について「1月に入ってからはポジティブなサインが見られる。中国のリーダーたちの辣腕ぶりを考えると、こうした経済成長の機会を逃すことなく生かすだろう」としつつも、中国人観光客が本格的に戻るのは23年下半期になるのではないかと述べた。

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NEWS 02

職人が正しく評価される社会へ 「ファクトリエ」山田CEOが掲げる大義【メード・イン・ジャパン特集】

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 ライフスタイルアクセント(熊本市、山田敏夫CEO)が運営する「ファクトリエ」は日本各地の工場とつながり、匠の技術を生かした服・雑貨を適正価格で販売するECプラットフォームだ。2012年の立ち上げから取引先工場は60へ、彼らと協業して作るオリジナルブランドの商品は1000品番以上に増えた。

 オリジナルブランド「ファクトリエ」の商品はデザインはシンプルだが、「驚くほど軽い」「超撥水」といった個性が光る。商品ページは、職人の仕事ぶりや思いなどを掘り下げた記事コンテンツが奥行きを生む。

工場の技術を生かした“尖った”商品ほど売れる

 累計数千、数万と売れたヒット商品も生まれた。「絶対に汚れがつかない」と山田CEOが太鼓判を押すのは、岡山・倉敷のレッドリバーと開発した白のコットンパンツ(1万3200円、現在リニューアルにつき販売休止)。綿100%ながら超高密の織りで、コーヒーなどの汚れをはじく。そのほかの人気商品は、ニット工場UTO(岩手県)の希少なホワイトカシミヤを使ったマフラー(2万6400円)や、石川の繊維企業カジグループの極薄ナイロンを使った「世界最軽量レベル」のマウンテンパーカ(1万9800円)など。「工場の得意技が生きた“尖った”商品ほど売れる」と山田CEO。

 高い技術を持つ反面、「売れる商品」を作るノウハウがない工場は多い。「ファクトリエ」にはアパレル出身者で構成する企画開発チームがある。工場に足を運び、技術や設備など他の工場にはないアセットを洗い出し、膝を突き合わせてオリジナル商品を開発する。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。