ビューティ
特集 CEO2024 ビューティ編

【日本ロレアル ジャン・ピエール・シャリトン社長】24年も市場の2倍の成長率見込む

PROFILE: ジャン・ピエール・シャリトン/日本ロレアル社長

ジャン・ピエール・シャリトン/日本ロレアル社長
PROFILE: (Jean-Pierre Charriton)1966年3月13日生まれ、フランス・パリ出身。89年に仏EMリヨン経営大学院を卒業し、91年に仏ロレアル本社に入社。スキンケアブランド「ビオテルム」でキャリアをスタートする。タイや韓国、イギリス、アイルランドにおけるロレアル リュクス事業本部本部長を経て、2008年に「アルマーニ ビューティ」のグローバルプレジデントに就任。13年にアジア太平洋地域(APAC)ロレアル リュクス事業本部ジェネラルマネジャーに就任。21年11月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

世界最大のビューティ企業、ロレアルグループ(L'OREAL GROUP)の日本法人である日本ロレアルは、昨年設立60周年を迎えた。2021年の「タカミ(TAKAMI)」買収で強固になったグループのポートフォリオに昨年「イソップ(AESOP)」が加わり、今年は「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」の日本展開も開始するなど勢いは加速する。“ワン・ロレアル・ジャパン”を掲げ、日本から世界への発信を高めてさらなる攻勢をかける。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

グローバルでの存在感を高めるべく
“ワン・ロレアル・ジャパン”を推進

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年をどのように振り返る?

ジャン・ピエール・シャリトン社長(以下、シャリトン):コロナ禍後のメイク復調とインバウンド客増加を原動力に、日本国内の市場全体が前年比1ケタ台後半の伸長率の中、当社はその2倍を上回る10%後半増で成長した。これはロレアルグループ内でも最大の成長率だった。特にラグジュアリーブランドを擁するリュクス事業本部は、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」、21年に傘下に加わった「タカミ」がけん引し、過去25年で最高の業績を収め歴史的な年となった。

WWD:市場の2倍を超える成長率達成の要因は?

シャリトン:包括的なバランス戦略が奏功した。具体的にはチャネル戦略とカテゴリー戦略の2本柱だ。チャネル戦略は、体験を提供する実店舗と利便性のECをバランス良く成長させ、クロスオーバーさせていくことが欠かせない。オンラインでは「楽天市場」や「ZOZOTOWN」「Qoo10」など大手ECと連携し、自社ECだけではリーチできない潜在顧客を取り込めている。一方で、ロイヤルカスタマーが訪問する自社ECは、知的好奇心や商品リテラシーが高い日本の消費者が満足できる快適なサイトを目指し、恒常的に改善を図りコンバージョン(商品購入)率アップにつなげている。現在、最大部門であるリュクス事業本部のオン・オフラインの売上比率は50:50と理想のバランスで推移している。

WWD:2本柱のもう一方のカテゴリー戦略とは?

シャリトン:ラグジュアリーブランドからマスブランドまで、求心力のある商品で多様なニーズに応える盤石なポートフォリオを構築しているのが当社の強みだ。各ブランドの主力商品が好調で、例えばメイクカテゴリーでは「イヴ・サンローラン」のジャパンアンバサダーを務めるJO1とコラボレートして8月に発売したアイシャドウパレット“クチュール ミニ クラッチ”が大ヒット。23年第4四半期の国内百貨店市場のアイメイクカテゴリーで、売上高が1位になった。「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」はマスカラ“スカイハイ”が23年のバラエティー・ドラッグストアカテゴリーのアイメイク部門で売り上げ1位※1を達成。「タカミ」のスター商品である“タカミ スキンピール”は、確かな商品力が顧客の心を捉えており、21年の買収当時と比べて現在約4倍まで売上高が拡大している。

WWD:商品のヒットに寄与したインフルエンサー施策の秘訣は?

シャリトン:「ヴォーグ ジャパン」で平野紫耀さんが所属するアイドルグループNumber_iを起用し、「イヴ・サンローラン」のフレグランス“リブレ”のタイアップコンテンツを仕掛けたところ、1日の売り上げが通常の50倍を記録した。予想以上の反響だったが、彼らのエッジィで若々しさ溢れるイメージと商品の世界観がマッチした好例だろう。

WWD:6月から展開している社内向けエンゲージメントキャンペーン“ワン・ロレアル・ジャパン”の狙いは?

シャリトン:日本はグループ内でも堅強な市場であり、珍しい存在だ。というのも日本発のブランドである「シュウ ウエムラ」「タカミ」があり、国内に研究開発機関のリサーチ&イノベーションセンターと生産工場がある。このような国は世界に5つしかない。日本市場を輝かせたい思いから同キャンペーンを実施した。“ワン・ロレアル・ジャパン”という大きな旗の下、本社や店舗、工場、研究所で働く全従業員が心を一つにして真摯に取り組む姿勢を示すものだ。社内の多様性にフォーカスしたオリジナルムービーを制作したところ、フランス本社やアジア諸国からも称賛の声があった。従業員同士はもちろん、従業員と顧客のエンゲージメントも高め、グローバルでの存在感を発揮したい。

WWD:サステナビリティ推進にも力を入れるが、現在の状況は?

シャリトン:昨年、女性管理職の割合は54%、女性社員の育休復帰率は100%を達成した。また21年に導入した男性の育児休暇は、当時の取得率33%から昨年は73%まで増加した。25年には取得率100%達成を目標に掲げる。環境保護面では22年にカーボンニュートラルを実現した。目標を3年前倒しで成し遂げたのは、われわれが本気で取り組んだ結果だろう。米テラサイクルとの協働により、「ランコム(LANCOME)」「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」などで使用済みプラスチック容器の回収、リサイクルを行っているが、全ブランドへの導入を進めているところだ。また商品の廃棄管理に新たなトラッキングシステムを導入し、生産予測精度の向上と廃棄量削減に努めている。サステナビリティの領域には特に情熱を注いでいる。

WWD:24年の見通しは?

シャリトン:非常に明るい。24年も市場の2倍の速度で成長すると予測している。今春の「プラダ ビューティ」の日本上陸や、23年に買収し日本をトップ市場とする「イソップ」にも期待がかかる。チャネル戦略とカテゴリー戦略に磨きをかけてさらなる飛躍を目指す。

※1ロレアル調べ、インテージ提供による2023年1月1日~12月31日までのバラエティー・ドラッグストア店舗〈オンラインを除く〉における累計販売個数において

会社概要

日本ロレアル
NIHON L'OREAL

世界最大の化粧品会社であるロレアルが、小林コーセー(現・コーセー)と提携しサロン向け商品の開発を行う合弁会社ロレコスを1963年に設立。76年に一般向け商品の販売をスタートし、95年には本国フランス以外では初となる基礎研究所を茨城県つくば市に開設。96年にロレアルの日本法人である日本ロレアルを設立した。2009年、ロレアルが資本参加していた「シュウ ウエムラ」の株式を100%取得。グループ傘下に初めて日本発のブランドが加わった。21年には日本ロレアルが「タカミ」を買収し、傘下に入った

問い合わせ先
日本ロレアル
03-6911-8100