ビューティ

3年で売り上げ10倍の噂の入浴剤「BARTH」のヒットの裏側 睡眠アプローチで入浴剤市場を切り開く

 TWOが手掛ける入浴剤ブランド「バース(BARTH)」は2017年に立ち上げてから毎年300%の伸長率を達成し、現在急成長をしているブランドの一つだ。SNSで「泥のようにぐっすり眠れる」「ちょっと腰が抜けるくらい気持ちいい」といった口コミが発信・拡散されたことをきっかけにヒットし、おうち時間が増えたことによる入浴ニーズの高まりも追い風になっている。昨年末は全国の百貨店やバラエティー・ドラッグストアで実際に売れた製品をランキング形式でたたえた「WWDビューティベストコスメ2020」にも入賞。そんなヒットの要因について、東義和・最高経営責任者に聞いた。

WWD:コロナ禍で多くの化粧品企業は打撃を受けているが、「バース」は成長している。

東義和・TWO最高経営責任者(以下、東):そうですね、売上高は3年で10倍以上になるほど、順調に成長を続けています。「バース」の入浴剤タブレットは独自の製造技術を用いた中性重炭酸入浴剤で、お湯を中性にすることで炭酸ガスから発生した重炭酸イオンが揮発しづらく、しっかりと湯中に溶け込むのが特徴です。有効成分が温浴効果を高め、疲労回復を促進します。もともと当社では睡眠関連グッズも出していますが、「バース」が著しく伸びはじめたのは“睡眠投資”にフォーカスした打ち出しを強化してから。昨年12月には新宿駅構内に、企業の社長からショップ店員、編集者、客室乗務員など幅広い職業の31人の1日の予定をカレンダー形式で掲示しました。“睡眠投資カレンダー”と名付け、各々が睡眠に投資する理由も記し、そこに入浴剤のサンプルを貼り付けたら、一瞬で全てのサンプルがなくなりましたね。

WWD:睡眠に着目した理由は?

東:やっぱり睡眠って究極的に普遍的な社会課題だと思うんですよ。人生や健康に大きく影響するにもかかわらず、軽視されがちでもあるんですよね。例えば十分に時間をとって質の高い眠りができると、翌日のパフォーマンスがよくなったりしますよね。それなのにプレゼン前日は徹夜しちゃう人も多い。寝てないと肌荒れもするのに、夜更かししちゃう人も。とにかく矛盾が多いんですよね。

 その理由は多岐に渡りますが、睡眠に対する情報が溢れすぎているのかな、と。長く寝れば良いのか、質を高めれば良いのか、寝る前にハーブティーを飲めば良いのか、情報がありすぎて何をしたら良いのか分からない、と思う人が多いはず。われわれはもっと大きな夢やゴールの達成のプラスアルファになる、というアプローチであえて“睡眠投資”と言っているんです。だから今回のキャンペーンでも、睡眠投資する理由に「家族も仕事も、笑顔で向き合いたいから」「誰かの人生を変える映像を作りたいから」といったことを書いてもらいました。睡眠をポジティブに捉え、人生を豊かにしてほしいです。

社会課題にフォーカスしたプロモーション

WWD:“睡眠投資カレンダー”はSNSでも拡散された。

東:そうなんです。製品特徴より、睡眠不足という社会課題にフォーカスしたのが良かったと思います。今は社会的にいかに意味を持つような“パーパスブランディング”がますます大切になっています。消費者の目は今すごく肥えているんですよね。それは当然、製品の機能的な面でもそうですし、言葉の裏側にある企業の人だとか、ブランドの哲学とかも見られていますから。ブランドを作っている人たちが本気で課題解決に向き合っていないといけないですが、大手だと人数的に全員が100%フルコミットするのが難しい。だからわれわれのようなベンチャーにすごくチャンスがあると思っていて、結果的に消費者にメリットを生み出しているのかと。

WWD:東さんはもともとPRコンサル企業出身。そこから入浴剤ブランドを立ち上げた理由は?

東:前職ではいろいろな企業のPRを担当しました。いかに商品やサービスの価値をユーザーの需要に合わせて発信する“価値の転換”を行ってきたわけですが、もっと自由にマーケティングを一からしたくて、プロダクト事業を目指すことに。そこで中性重炭酸入浴剤を作る技術に出合ったのがきっかけで、ブランドを立ち上げました。

最初はバイヤーに相手にされず地道な営業活動を続ける日々

WWD:技術に出合ってからブランド立ち上げ・製品化までどれほどかかったのか?

東:半年ほどですかね。その技術を発見してから、いざ入浴剤をどのように展開していくかが大きなポイントでした。入浴剤の国内市場は400億円ほどで、シャンプーやボディーソープなど比べると比較的小さい。大体こういう小さな市場は、すでに需要が満たされているので新規参入組が入りづらいんですよね。そうすると市場の大手企業は外部からの圧力が少なく、イノベーションが起きにくい。まず、われわれはそこにすごくチャンスを感じました。

 さらに入浴剤の使用動機は、何かを強く求めてる人が少ないことに気づいて。例えば何となく入れることが習慣化してるからとか、何となく色が付いて効いてる気がするから、とか。期待値が意外に低く、習慣的に使っている人が多いんですよね。でも「バース」は特殊な技術でしか作れなくて、体に与えるリカバリー効果や美容効果が非常に高いんです。体の深部体温を上げて、睡眠を促したりもして、とても自信があった製品でした。

 そこで先ほど言った“価値の転換”で言うと、お風呂入ることでキレイになれるとか、良く寝られるとか、入浴行為そのものにもし価値を見いだすことができたら、もっと市場は広がると思ったんです。特に「バース」は一般的なマスブランドの入浴剤の3倍ほどの価格で販売しているので、付加価値がないと戦えないことも分かっていました。なのでもともとは美容という切り口で、コミュニケーションのターゲットを当てて、“美容液のような入浴剤”という店頭ポップを展開しました。今は睡眠にフォーカスを当てていますが、これまでお風呂に入ってこなかった人が睡眠や美容目的で購入してくれて、まさに、僕らとしては狙い通りでした。

WWD:パッケージも目を引く。

東:われわれのは普遍的なブランドを目指しているので、あまり奇をてらい過ぎることはしません。だから比較的覚えやすい名前で、ロゴもシンプルにしました。従来の入浴剤は効能がパッと見て分かるパッケージばかりで、当時バイヤーには結構ネガティブな意見もたくさんいただきました。最初は営業メンバーが「クリエイティブを変えないと棚に置かない」など散々言われて帰ってくる日々でした(苦笑)。だけどわれわれはエンドユーザーのニーズを最優先しようと決めていたので、地道に営業を続けましたね。

WWD:今後の展望は?

東:直近では4月1日に、“中性重炭酸洗顔パウダー”のトライアルボトルを発売します。また、会社として“ヘルシージャンクフード”という新しいカテゴリの飲食事業を今春にローンチします。3月15日にアークヒルズにプレオープン後、4月以降にブランドの本格展開を予定しています。睡眠もそうですが、今後も健康に紐づいた事業を広げたいですね。

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