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双方の前進を応援

 アレキサンダー・ワンが、これまでの告発に対して謝罪しました。こうしたトピックスは、いじめたことも、いじめられたこともある経験から、被害者の、声を発しづらい環境にある側の言い分により耳を傾けるべきと思っているフシがあります。今回のワンの声明は、それを意識した結果だったように思います。

 と同時に、一度の過ちで人生そのものを棒に振らないよう配慮した告発した側、その決意も示した告発された側の双方が立派だと感じました。本人と告発者の代理人が語るように、双方の前進を応援します。
 

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

アレキサンダー・ワン、性的暴行疑惑に関する声明を発表

【追記3月12日】タイトルが一部誤解を与える表現だったため、修正しました。お詫びします。

 アレキサンダー・ワン(Alexander Wang)は、一連のセクシャルハラスメント疑惑に対し、再び自身のインスタグラム上で声明を発表した。

 ワンは3月9日、「最近、私の過去の行いについて複数人から告発を受けた。私は彼らが声を上げる権利を支持しており、その意見に注意深く耳を傾けた。体験を語るのは容易ではなかっただろうし、彼らに苦痛を与えるような行動をしてしまったことを後悔している。こうした個人的なやりとりについていくつか意見が相違する点はあるものの、今後はよりよい手本となるべく、私の知名度や影響力を使って有害な行為に対する認識を広めていきたい。人生とは学びと成長の場であり、今回学びを得たからには、より向上したいと思う」と投稿。1月5日付の声明では疑惑を全面的に否定していたが、今回は告発の内容を認めたと受け取れるものとなっている。

 事の発端は、2020年12月28日にモデル兼グラフィックデザイナーのオーウェン・ムーニー(Owen Mooney)が、17年にニューヨークのクラブで有名な男性デザイナーに局部などを触られたと告発する動画を投稿したことだ。その際、加害者の名前は伏せられていたが、「ワンに対する同様の告発を見たことがある。ワンではないか?」とのコメントが寄せられ、ムーニーは次の投稿で相手がワンだったことを公表した。ワンはこれを否定したものの、その後も同様の告発が相次いでいた。

 被害者らの代理人を務めているリサ・ブルーム(Lisa Bloom)弁護士は、2月24日の時点では「訴訟を起こすかどうかについてはまだ明らかにできない」と述べていた。しかし3月9日に、「被害者の方々はアレキサンダー・ワン本人と会い、彼らが体験したことや、その痛みや苦しみを伝える機会を得た。われわれは同氏の謝罪を受け入れ、前進することにした」と、やはり自身のインスタグラムに投稿している。

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NEWS 02

「クリスチャン ルブタン」株24%をフェラーリオーナー一族が約700億円で取得

 イタリアの財閥でフェラーリ(FERRARI)社のオーナーとしても知られるアニェッリ(Agnelli)家の投資会社エクソール(EXOR)は、5億4100万ユーロ(約697億円)を投じてクリスチャン ルブタン社の株式の24%を取得した。

 両社は「この提携は(クリスチャン ルブタンの)次のフェーズへの進化を加速させる」と共同で声明を発表。中国でのプレゼンス向上とデジタルおよびEC強化に取り組むという。

 株式取得は21年6月までに完了する見込みで、取締役7人のうち2人をエクソール側から任命する予定だ。ルブタン本人とビジネスパートナーのブルーノ・シャンベラン(Bruno Chambelland)は引き続き過半数株式を保有する。

 ルブタンはアニェッリ家とは数十年来の親交があると話す。アニェッリ家出身の母をもつジョン・エルカン(John Elkann)=エクソール会長兼最高経営責任者(CEO)とは20年ほど前に中国に出張した際に出会い、エルカン会長兼CEOの妹の映画プロデューサー兼ディレクターのジネブラ・エルカン(Ginevra Elkann)とは親友だという。

 エクソールは、2020年12月にエルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL)が保有する中国発ライフスタイルブランドの「シャンシア(SHANG XIA)」に約8000万ユーロ(約100億円)を投資したばかりで、今後ファッション業界に進出する可能性があるとみられている。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。