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環境問題に立ち向かう「ジェン」の“世界初”ソール

 アパレルブランドをプロデュースするファイブ トウキョウは、ソールブランド「ジェン」を設立した。名前の由来は“GENERATION TO THE NEXT”。次世代のために環境に配慮したソールづくりを目指す。今、世界で廃棄される靴の大半は埋め立て処分されている。石油系素材を使用しているため生分解性が低く、地中に残ることで放出される揮発性有機化合物や温室効果ガスは、健康被害や地球温暖化の温床ともいわれている。「ジェン」の土に還る世界初の“天然ゴム特殊発泡ソール“は、その解決策となる。

革新的な天然ゴム発泡技術で
従来のソールが抱える課題を解決

 「ジェン」最大の特徴は、天然ゴムの特殊発泡素材を生成する技術でつくられたソールだ。これまでゴム素材を発泡させるには石油系、または人工的な薬品が必要といわれていたが、ファイブ トウキョウは一部の自然鉱物で発泡させることに成功。この自然科学による特殊発泡技術は、現在PCT国際特許出願中だ。

 原料となる天然ゴムはインドネシアとタイから調達しており、生ゴムを中国の工場でビーズ状の細かいペレットに加工して発泡ソールを製造している。ペレット作成時に、物質が安定して混ざるための比率と混入方法も研究を重ねた。

 環境に優しいだけでなく、機能面でも優れた特徴を有する。一般的なシューズに用いられるラバーソールに比べて2倍以上の軽量化に成功し、同時に高いクッション性も実現させた。また、足のいかなる動きにも適応する屈曲性と適度な反発性を兼ね備えて足運びを軽快にし、高い耐摩耗性によって一般的なシューズよりも長く履き続けられることが同社の調査で証明されている。

 販売メニューは「オーダーメイドソール」とセミオーダーの「オープンモールドソール」の2種。「オーダーメイドソール」ではより自由度の高いデザインはもちろん、ペレットの調合や発泡率によるソールの密度、硬度やグリップ力、クッション性などの機能性、重量を細かく調整できる。「オープンモールドソール」でも機能面の調整は可能で、ソールのデザインは、アッパーの形状によって汎用性の高い2種類から選択する。

 同社は「ジェン」でのビジネスを通して社会貢献にも意欲的だ。世界には靴のない子どもが3億人いるといわれており、足からの寄生虫感染症やけがによる破傷風の問題が深刻化している。子どもたちの安全を守るために、同社は2030年までに「ジェン」の売り上げの一部で貧困地域に現地法人をつくり、工場や設備の導入、技術指導を行い、地域雇用を生み出しながら、靴のない子どもたちに安価で靴を届けることを目標に掲げる。また次世代にも事業が継承するよう、学校などの教育機関の設立も計画し、地域と協力して持続可能な事業の構築を目指していく。

1. 生分解性 100%天然素材使用。埋め立て後に生分解され土に還るので環境にも人体にも優しい
2. 防滑性 ドライ、湿潤、氷上を問わず滑りにくい〈EVAソール比較〉ドライ3倍 / 湿潤2倍 / 氷上5倍
3. 軽量性 天然ゴムを発泡させることで軽量化〈ラバーソール比較〉2.7倍軽量
4. 耐摩耗性 高い耐摩耗性を有し、機能が長期間持続する〈ラバーソール比較〉6倍〈EVAソール比較〉2.6倍
5. クッション性 クッション性が高く、卵を3mの高さから落としても割れない
6. 屈曲性 柔らかな屈曲性により、さまざまな体勢にも適応。耐屈曲性も併せ持つ

“靴底のパートナーになることで、
社会問題の解決に
取り組んでいきたい”

 「ブランドを立ち上げたのは、靴の埋め立て問題を知ったことがきっかけでした」。そう語るのは、ファイブ トウキョウの齊藤裕介社長だ。「ソールはシューズの快適性と機能性を支えますが、その代償として環境への影響が最も大きいパーツ。解決するには新しい技術と適切な方法を結び付けなければいけません」と続ける。

 リサイクルという手段もあるが、埋め立て処分される靴を生分解させ、有害なガスを発生させず土に還すことで環境負荷を減らす方が近道だと考え、天然ゴムを使用し、生分解性を実現した土に還るソールブランド「ジェン」を設立した。

 一番の特徴である天然ゴムの特殊発泡素材を使ったソールは、親交のあった技術者たちが15年の開発期間を経て生み出したもの。「天然ゴムを主体とした100%天然由来の成分で発泡させることで、従来の天然ゴムソールが抱えていた、重い、耐摩耗性が低くグリップ力が低下する、熱に弱い、汚れやゴミが付きやすいといった技術的な課題を解決し、高機能性なソールが完成しました。『ジェン』がさまざまなシューズブランドの靴底のパートナーになることで、環境負荷を可能な限り抑え、社会問題の解決に取り組んでいきたい。いずれは、世界で年間250億足生産されているといわれる靴のソールを、この技術を使って全て土に還したいです」。

PROFILE:齊藤裕介(さいとう・ゆうすけ)/ファイブトウキョウ社長:アパレルメーカー勤務を経て、2006年にメディアやブランドのクリエイティブを総合的に制作、ディレクションするライドメディア&デザイン取締役として創業に参画。16年にアパレルブランドを主にプロデュースするファイブ トウキョウを設立。現在はサステナビリティやウェルネスも含むブランドクリエイターとして活動する

問い合わせ先
ファイブ トウキョウ
03-6451-0288