アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館は先日、日本の陶磁史をたどる大規模展覧会「ザ インフィニット アーティストリー オブ ジャパニーズ セラミックス(The Infinite Artistry of Japanese Ceramics)」を開催した。同展覧会は、日本美術のコレクターとして知られたアメリカ人実業家ハリー・G・C・パッカード(Harry G. C. Packard)のコレクション寄贈50周年を記念して企画され、先史時代の土器から現代の造形作品まで約350点の作品を展示。さらに、日本陶磁の歴史や茶の湯文化の永続的な意義をテーマにしたトークセッション「キュレーター アンド アーティスト トーク(Curator and Artist Talk)」も行われ、現在メトロポリタン美術館の公式YouTubeチャンネルでは約1時間48分の全編映像が公開中だ。
日本文化の融合的な生成モデルを提示
トークセッションには、メトロポリタン美術館で日本装飾芸術を担当するキュレーターのモニカ・ビンチク(Monika Bincsik)と、京都の伝統的な陶芸・楽焼を受け継ぐ名家・樂家の当主で茶碗師の十六代樂吉左衞門、そして日本からのゲストアーティストとしてナカヤマン。(YAMAN NKYMN)が登壇した。ビンチクが日本陶芸の歴史解説を行い、十六代樂吉左衞門は現代における伝統の継承を語ったほか、ナカヤマン。は茶の湯を含む日本文化のシンクレティック(融合的)な生成モデルを提示。さらにナカヤマン。は、自身の理論の実践として十六代樂吉左衞門が作陶した黒茶碗「萬代」を用いた神仏への献茶の儀も執り行った。
ナカヤマン。は、数多くのファッションブランドのマーケティングを手がけてきたのち、2021年より現代美術を展開。“情報伝達と歪曲”をテーマに、京都やニューヨークで茶の湯を引用した作品を発表し、メトロポリタン美術館でも伝統文化をマンガやストリートファッションなどの現代文脈と結びつける存在として紹介されている。