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メンズコレの裏側お見せします

 2022-23年秋冬のメンズ・コレクションは、いよいよトップメゾンが集まるパリが開幕。リアルでもデジタルでもたくさんの注目ブランドがある中、日本ブランドのコレクションにも注目です。多くのデザイナーが「1月こそパリでショーができる」と期待していただけに、渡航を断念して悔しい思いもあったでしょう。しかし1本目の記事で紹介している「キディル」のように、東京でショー会場を急遽探し、限られた招待客に向けて全力でクリエイションをぶつける選択をした、たくましいブランドが多数登場します。まだ言えませんが、日本の歴史に残るであろうショーを成功させたデザイナーもいます。

 「WWDJAPAN」ではパリ現地からの臨場感たっぷりなリポートに加え、日本だからこそ実現したさまざまなコレクション発表を取材しています。デジタルでは見えないショーの裏側って、本当に面白いんですよ。ノンフィクションの人間ドラマですから。各ブランドが発表する映像と共に、ぜひ読んでみてください。

大塚 千践
NEWS 01

「キディル」3度目のパリコレも“挑戦者” 孤高の芸術家とリンクする物作りの真髄

 「キディル(KIDILL)」が、2022-23年秋冬コレクションのリアルショーを開催した。会場は、東京・江戸川橋の鳩山会館。パリ・メンズ・ファッション・ウイークに参加する同ブランドは、1カ月前まで現地でショーを行う予定だったが、オミクロン株の流行で国内開催へと変更した。ショー本番前には「直前までパリに行く気だったから、一回テンションは下がりました。でも、日本の場所をゼロから探して、ここまでこぎつけた。あとはやるだけ」と末安弘明デザイナーは語った。

“作ること”に喜びを見出した芸術家
ヘンリー・ダーガーとコラボ

 今シーズンは“THE OUTSIDER“をテーマに、アウトサイダーアートの巨匠として知られるヘンリー・ダーガー(Henry Darger)とコラボした。ダーガーは、病院の清掃員として働くかたわら、小説や絵画を作り続けた人物。売ることは考えず、作ること自体に喜びを見出す彼の姿勢に、独学で服作りを始めた末安デザイナーは共感する。「僕も服を始めたころ、売り先がないのに毎日何かを作っていた。作り続けることで精神を保っていたから、なんとなく理解できるんです」。物作りの姿勢だけでなく、アウトサイダーという立ち位置もリンクする。ダーガーの作品は今でこそ名だたる美術館に収蔵されているが、当初は芸術界の本流とは距離があった。「僕も王道のパリコレに参加してるけど、『キディル』はラグジュアリーじゃないし、ファッションの中心にはいない。常に挑戦者です」。

強烈なモチーフと強烈なウエア

 コレクションのメインモチーフは、ダーガーの小説「非現実の王国で」に登場する挿絵と、物語の鍵となる少女“ヴィヴィアンガールズ”だ。くすんだイエローやパープル、水色などをベースに、花や自然を多く描いた水彩の挿絵は、一見するとハッピーな雰囲気。しかし子ども一人一人の表情や服、植物などを異様なほど詳細に描いたり、変わった造形の生き物を登場させたりと、不気味さも際立つ。“ヴィヴィアンガールズ”は、女性の裸体を見たことがないと言われるダーガーが想像で描いたキャラクターのため、男性器が付いている。そんな強烈なモチーフを、プリントや総柄、ジャカードで表現し、パンクがベースの「キディル」のスタイルに組み込んだ。

 「最近、トレンドを追わなくなった」と語る末安デザイナーは、“売れる”よりも“やりたい”を追求した。挿絵の総柄を使ったオーバーサイズのドレスシャツは、レースやリボンを複数縫い付けてジェンダーレスなムードを強調した。セットアップは、ディテールを削いで柄を際立たせたかと思えば、チャイナシャツ風の前立てとインサウドアウトのデザインも披露。一見シンプルなパーカーは、サイドと袖にワンピースを、裾にプリーツスカートをつけたフェイクレイヤーで、腕のジップを開閉して内側のワンピースを見せることができる。ほかにも、たっぷりした生地をステッチで折り畳んだ超オーバーシルエットのシャツ、ボディを複数枚重ねて泥やエイジング加工を施したスエットなどが登場。極め付けは、“ヴィヴィアンガールズ”をイメージした着ぐるみ。つなぎをベースに、目や口、髪を施し、男性器までをつけた着ぐるみが現れると、「ここまでやるか!」とのけぞった。

 「キディル」の服はトレンドに迎合しないからこそ、「着たい」「着こなしたい」と思わせる力がある。会場には同ブランドを着こなそうと、これまでのコレクションピースを身に付けた来場者が多かった。現在のアカウントは国内20、海外15で、パリやニューヨークといった主要エリアのほか、北欧などでも新規の卸先を増やしている。トレンドを追わない覚悟を決めた「キディル」が、ファッションの勢力図を塗り替える日が来るかもしれない。評価を気にせず、欲求のままに作った作品が、長い年月を経て陽の目を浴びたダーガーのように。

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NEWS 02

コロナ感染再拡大で延期・中止を発表した海外イベントまとめ

 新型コロナウイルス感染再拡大のため、1月以降に開催予定だったイベントの多くは中止または延期となっている。31日に予定されていた「グラミー賞(Grammy Awards)」の第64回授賞式は4月3日に延期。ファッションでは、ミラノで1月15日と17日に発表予定だった「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」と「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」の2022-23年秋冬コレクションのショーが中止された。ほかにも中止や延期を発表したファッション関連のイベントをまとめる。

「ジェイ ダブリュー アンダーソン」

 「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」を手掛けるデザイナーのジョナサン・アンダーソンは10日、2022年1月14〜18日に開催された2022-23年秋冬シーズンのミラノ・メンズ・コレクションでのリアルなショー発表を見送り、代わりに16日20時(現地時間)からデジタルで披露した。「新型コロナの感染再拡大による物流への影響や行動制限を考慮した」という。6月には復帰し、23年春夏コレクションをミラノで発表するとしている。

ピッティ・イマージネ・ウオモ

 メンズファッション最大の見本市、ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)はフィレンツェで1月11〜13日に開催されたが、「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」や「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は不参加。「ブルネロ クチネリ」は4日の時点ですでに参加しないと発表していたが、ミラノコレでは新型コロナ感染症対策に配慮しながら22-23年秋冬コレクションを発表するという。

ミド

 眼鏡の国際展であるミド(MIDO)は7日、2月12〜14日に開催予定だったところを4月30〜5月2日に延期した。

ヴィチェンツァオーロ

 ジュエリーやジェムストーンの国際見本市、ヴィチェンツァオーロ(VicenzaOro)を運営するイタリアン・エキシビジョン・グループ(Italian Exhibition Group)は、同イベントの延期を発表した。もともとは1月21〜26日に開催予定だったが、5月17〜21日の開催となる。

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最新号の読みどころ

今季の欧州を覆ったのは、史上最高気温を更新する記録的な熱波。しかしそれに負けないほどの熱を帯びていたのが、日本人デザイナーのクリエイションでした。公式スケジュールにはミラノで「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」、パリで「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」が新たに加わり、今回も計15を超えるジャパンブランドが名を連ねました。