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ジャミロクワイなY2K

 オミクロン株拡大の警戒ムードの中ですが、メンズの2022-23年秋冬コレクションは順調に進行しているようです。個人的にぐぐっと心をつかまれたのは、デジタル発表した「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン」。2000年前後に世界を席巻したミュージシャン、ジャミロクワイのファッションスタイルからのイメージで、モデルたちが名曲「Virtual Insanity」に合わせて踊るPVオマージュの映像も公開しています。映像は1本目の記事の最後から見れますので是非どうぞ!

 当時、日清カップヌードルやソニーのMDのCMにも起用されていたジャミロクワイに胸を熱くしていた人、30代半ば以上では多いんじゃないでしょうか。まさにトレンドの“Y2K”(=2000年前後のファッション)ど真ん中ですが、ブランドの世界観にマッチした“Y2K”のこなし方、当時を思わせる自由なムードに、とてもワクワクしました。こんなふうに、いろんな時代やカルチャーの切片を見せてくれて、好奇心を刺激してくれるところが、やっぱりファッションって、本当にいいものですね。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

「ジュンヤ マン」22-23年秋冬はジャミロクワイのファッションを“リミックス” 「Virtual Insanity」のオマージュ映像も

 渡辺淳弥が手掛ける「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN以下、ジュンヤ マン)」は、2022-23年秋冬コレクションをデジタルで発表した。今シーズンは、イギリス発のバンド・ジャミロクワイ(Jamiroquai)にフォーカス。フロントマン、ジェイ・ケイ(Jay Kay)のファッションスタイルを「ジュンヤ マン」流に再解釈した。

 ジャミロクワイという名前は、即興演奏の“ジャムセッション(Jam Session)”とネイティブアメリカンを意味する“イロコイ(Iroquois)”の造語。ジェイ・ケイは、世界中の先住民族文化に共鳴し、ファッションスタイルに取り入れていた。

 コレクションでは、メキシコ文化庁と毛織物ブランド「ペンドルトン(PENDLETON)」の協力を得て、サラぺ柄をプリントや切り替え、パッチワークで王道のメンズウエアに落とし込んだ。アウターはテーラードジャケットからスタジャン、マウンテンパーカー、ダウンジャケット、モッズコートまで幅広く、ボトムはジーンズやチノパンとカジュアルだが、ジャストサイズもしくは細身のシルエットで野暮ったさはない。大きなツノと子どものようなポーズで知られるジャミロクワイのシンボルマークも採用した。

 コラボも豊作だ。後ろ身頃をオーバーオールで切り替えたコートは「リーバイス(LEVI’S)」と、トレンチとつなぎをドッキングさせたコートは「カーハート(CARHARTT)」と、アウトドアジャケットは「カリマー(KARRIMOR)」と、スニーカーは「ニューバランス(NEW BALANCE)」や「ステップニー ワーカーズ クラブ(STEPNEY WORKERS CLUB)」と協業した。帽子は英ロンドン発の「ベニー アンダロ(BENNY ANDALLO)」が提供した。

 ルックと合わせて、ジャミロクワイの「Virtual Insanity」のPVをオマージュした 7分間の映像も公開した。コレクションを着用した4人のダンサーが、再編集した楽曲に合わせてパフォーマンスを披露した。

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NEWS 02

「プラダ」「MSGM」「トッズ」新作を展示会で最速チェック 22-23年秋冬メンズコレ現地突撃リポートVol.4

 ボンジョ〜ルノ!ミラノ最終日は最高気温8度、青く澄み渡る空が広がっております。本日は展示会を中心にミラノの街を駆け回り、夜の便でパリへと戻ります。素敵なコレクションを見られれば寝不足も吹き飛びます。最終日も張り切っていきましょう〜!

14:00 「ケーウェイ(KWAY)」

 1965年創設のフランス発レインウエアブランド「ケーウェイ(KWAY)」が、ミラノでは初となるリアルのショーを開催しました。フランスとイタリアでは老若男女問わず親しまれているカジュアルなブランドです。パンデミック直前の2020年1月に「ピッティ ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)」でショーを行ってから、「フェンディ(FENDI)」や「サン ローラン(SAINT LAURENT)」「プレイ コム デ ギャルソン(PLAY COMME DES GARCONS)」とコラボレーションしてきました。

 そのためショーで披露したコレクションは、商品のバリエーションを増やしてデザイン性を高め、ファッションブランドとしてのイメージをより強く印象付ける内容です。レインウエアはポンチョやパフ入りの軽いダウンで、ウィンドブレーカーは構築的な構造でドレスのように見せました。光沢のあるビニールのような表面のダウンはさまざまなボリュームで登場。シグネチャーであるジッパーの3ラインやイエロー、オレンジ、ネイビーの明るいカラーが鮮やかで若々しい印象でした。分厚いニットはウエアやボトムス、アクセサリーとしてルックに遊び心を加え、シアリングのディテールは高級感をもたらしました。

 会場のフロントローを独占していたのはエディターではなく、10代後半〜20代前半のインフルエンサーたち。新路線は、機能性重視の合理的なワードローブと、SNS上での注目を求める若い世代には魅力的に映ったのではないでしょうか。

14:30「プラダ」展示会

 昨日の「プラダ(PRADA)」のショーは、SNS上でかなりバズっていましたね。ファーストルックを飾ったカイル・マクラクラン(Kyle MacLachlan)の代表作であるドラマ「ツイン・ピークス(Twin Peaks)」の世界観と、今季の「プラダ」のクラシックなユニホームやグラフィックの雰囲気がオーバーラップし、ドラマのオープニング曲がずっと頭から離れません!

 展示会場でルックを近くで見ると、マネキンからすごい威圧されているように感じました。アウターは全てショルダーパッド入りで肩が張り出し、ニットウエアもショルダー部分だけ縫い方を変えて肩幅を広く見せる工夫を施しています。ジャンプスーツのグラフィックを手掛けたのは、ラフ・シモンズ(Raf Simons)の長年のコラボレーターであるピーター・デ・ポッター(Peter de Potter)でした。ロボットモチーフのピアスは重いけど、間の抜けた感じがなんともかわいい!

16:00「トッズ」展示会

 昨日デジタルで発表した「トッズ(TOD’S)」の展示会場へ行ってきました。映像はイタリア・トリノ近郊のリヴォリ城を舞台に、イタリア美術を象徴する歴史的建築物の中でコレクションを披露しました。ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)=クリエイティブ・ディレクターは「伝統と実験の融合により進化するイタリアの創造性からインスピレーションを得た」とコメントしています。彼が現職に就任してから2年間、クラシックなスタイルの現代的なアップデートに挑み続けていて好印象です。

 今季は”イタリアン・ルーツ”がテーマとあって、控え目なワードローブに仕上げています。パッチポケットがポイントのシャツジャケットやシンプルなダウンジャケット、ライニングを取り外して保温性を調整できるトレンチコートなど軽量で凡庸性の高いアウターで、レジャーとアーバンの両方で着用可能なスタイルを提案します。トラックスーツのようにスポーティーなトラウザーとテーラードを合わせる手法は、今季のミラノで多く見られました。カラーパレットは、自然風景や建築物に触発された優しいアースカラーが中心。ウィメンズに比べると、メンズはまだクラシック寄りなようです。しなやかなレザー使いが毎シーズン見事なので、メンズでもレザーの作品をもっと見てみたい!

17:00「MSGM」

 「MSGM」のコレクションは、昨日の展示会に参加し、今日は映像発表をチェックしました。服のモチーフにはマッシュルームやヘンプを使い、映像では現実と幻覚の境目が曖昧になるサイケデリックなムードを表現しました。マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgeti)=クリエイティブ・ディレクターは今季、イタリア人建築家兼工業デザイナーのガエタノ・ペッシェ(Gaetano Pesce)が制作した数々のチェアから着想を得たそうです。ふわふわのフリースやテディベア生地、フェルトキルティングの質感は、まさに快適なチェアを思わせる肌ざわりのいい生地でした。

 映像に登場したチェアは、イタリア高級家具ブランド「カッシーナ(CASSINA)」とのコラボレーション。今季は“快適さ”が重要なテーマの一つで、フーディーやショーツ、ワイドシルエットのトラウザー、内側前面にフリースをあしらったサンダルを中心に、「MSGM」は洋服と家具で私たちをリラックスした異世界へと誘い込みます。

「本日のジェラート」

 空港へ向かう前に、グロム(Grom)で最後のジェラートをいただきました。グロムは一時期、日本にも店舗があったので知っている方は多いかもしれませんね。パリの自宅近くに店舗があるので、いつでも食べれるっちゃ食べれる味なのですが、なんだか最後は新しい店に挑戦するのではなく、慣れ親しんだ味を欲する気分なんです。フレーバーも、私の定番であるピスタチオ。安定の味に癒されて、冷たいジェラートで心が温まりました。明日から始まるパリ・メンズ・ファッション・ウイークの日記は、「WWDJAPAN」ヨーロッパ通信員の藪野さんへとバトンを渡します。ミラノと同じくビッグメゾンはリアルのショーを開催予定なので、藪野さんの現地リポートにぜひご期待ください!

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。