ファッション

ビジネスウエア3.0を定義せよ! 青山商事×「ニューズピックス」のジャケット製作秘話

 青山商事(広島、青山理社長)が、ビジネスニュースメディアの「ニューズピックス(NEWSPICKS)」と協業し、リモートワーカー向けのジャケットを製作・販売することは既報の通りだ。ここではキーマン2人に製作秘話や、服以外のサービス展開について聞く。

WWD:まずは、今回のプロジェクトのハブとなった「ニューズピックス クリエーションズ」について簡単に説明いただきたい。

纓田和隆「ニューズピックス クリエーションズ」事業責任者(以下、纓田):「ニューズピックス」のユーザーと企業(青山商事)が共同で商品開発および支援を行うサービスの名称で、コンセプトワーク、マーケティング、プロモーションの各フェーズにおいて、知的でビジネス感度の高い若手ビジネスパーソンが集う「ニューズピックス」のポテンシャルを生かし、“伴走する”ことが役目だ。

WWD:「ニューズピックス」のユーザーについても聞きたい。

纓田:会員数は約600 万人で、20〜30代がボリュームゾーン。男女比は8:2だ。

平松葉月・青山商事リブランディング推進室副室長(以下、平松):この20〜30代こそ、“青山商事が取るべきで、しかし決定的に取れていない”ゾーン!……。

WWD:青山商事は2020年に発表した中期経営計画内で、“「洋服の青山」から「ビジネスの青山」へ”をスローガンに掲げた。

平松:それに合わせて同年7月、「ニューズピックス」内に「シン・シゴト服ラボ」コミュニティーを作り、“ビジネスウエア3.0を定義する”をミッションとした。“ビジネスウエア1.0”が企業や社会が定めた白シャツ&スーツスタイル、“2.0”が政府の働きかけによるクールビズやウォームビズなど。そして、“3.0”が生活者が発信する新たなビジネス着だ。働き方が激変する時代において、“ビジネスウエアとは誰のためのもので、われわれは何を提供すべきなのか?”を再考した。

WWD:「シン・シゴト服ラボ」を構成するメンバーとは?

纓田:約140人が参加し、男女比はおよそ半々だ。

WWD:彼らはあくまでボランティア(無償)でプロジェクトに協力している?

纓田:大変ありがたいことに。プロジェクト始動当初は毎週、現在は隔週でオンライン会議を重ねている。

平松:「リモートワーク下のオンライン会議で何を着る?」といったところからスタートし、「着席が基本になるから、上着の着丈は短めでよいのでは?」「パソコンを操作する際にカチカチと鳴って作業の邪魔になる袖ボタンは無くしては?」など、コミュニティーメンバーの声を反映しながら、リモートワーカーの需要に沿うジャケットに仕上げていった。

WWD:ショールカラーのデザインは意外だった。

平松:男女兼用であることが一因かもしれない。「そもそも襟は要らない」という意見もあったが、それだとどうしてもカーディガンに見えてしまう。そこで王道のノッチドを含め、何パターンかの襟型を見てもらい多数決した。

WWD:2色展開の内の1色が、鮮やかなブルーというのも驚いた。

平松:コロナ禍での進行となったため、ほぼ全てのメンバーがサンプル完成までモニター越しに生地を見ていた。素材調達責任者からは「本当にこれでいいのか?」と何度も念を押されたが、コミュニティーの総意は「ぜひ、この色で」だった。完成したサンプルを見たときは、私も「えっ、こんなに明るい色!?」と驚いたが(笑)、すでにウェブ映えを裏付けた格好でもあり、製品化を進めた。

WWD:クラウドファンディングサービス「マクアケ(MAKUAKE)」で10月5日から予約を受け付けているが、商品到着はいつ?

平松:22年2月だ。さらに4月には一般発売も予定する。

「シン・シゴト服ラボ」はコワーキングスペースも開発

WWD:「洋服の青山」の実店舗を活用したコワーキングスペースの提供も始めている。

平松:外出先からオンライン会議に参加しなくてはならないビジネスパーソンのために、20年10月に「洋服の青山 水道橋東口店」を改装して、約半分のスペースをシェアオフィス事業の「ビー・スマート(BE SMART)」として開業した。

纓田:そして21年7月、「シン・シゴト服ラボ」が主導する形で、この内の2つのブースを改装した。1つは顔色を明るく見せるリングライトや高画質のカメラ、ヘアアイロンなどを備える“ウェブ映え1アップルーム”で、もう1つは作業効率を高める横長のモニターや腰痛をケアするチェアなどを備えた“究極の集中部屋”だ。

WWD:平松副室長は「AIチャットボット スナックママよしこ」も手掛けた、青山商事の改革派筆頭だ。次なるアクションも気になる。

平松:次になすべきは店舗改革だ。どんな装置があれば、「洋服の青山」への来客を増やせるのか?例えば、緊急事態宣言が解除されて出張も復活するはずで、その際の手土産を出張先の「洋服の青山」で受け取れたら?ここで生きるのが、全国に700店舗以上を持つ「洋服の青山」のスケールメリットだ。また、急なミーティング用にスマホに入ったデータを出力して資料化できる場としたり、機密情報を破棄する際のシュレッターを配置することも考えられる。ここでは「洋服の青山」の名前が、安心感となるだろう。改革といっても、白を黒にしたいわけではない。かわゆいところに手の届くサービスを心掛け、チームと共に前進したい。

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