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裏原カルチャーの当事者がついにLVMH加入
昨日飛び込んできた、NIGO®が「ケンゾー」のアーティスティック・ディレクターに就任というビッグニュース。日本人が就任するかも、という噂はチラホラ聞いていたものの、全く予想していなかった人選に驚きました。ただ意外性はなく、さすがだなという納得の抜擢です。
その理由は、就任を後押しした「ルイ・ヴィトン」とのコラボレーション“ルイ・ヴィトン LVスクエアード コレクション”の完成度が本当に高かったから。モチーフを大胆に使いながら、リアルクローズとしてまとめるバランス感に感心していたのです。これで、裏原から影響を受けたヴァージル・アブローやキム・ジョーンズに続き、伝説的カルチャーの当事者であるNIGO®までLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンに加入しました。きっと、これからさらに多くの人を巻き込んでいくでしょうし、ワクワクするような仕掛けで楽しませてくれそうです。
NIGO®が「ケンゾー」のデザイナーに就任
「ケンゾー(KENZO)」は9月20日付で、NIGO®「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE® 以下、ベイプ)」創業者をアーティスティック・ディレクターに任命した。ウィメンズ・メンズのデビューコレクションは、来年1月のパリ・ファッション・ウイーク中に発表する。なお、2019年からデザインを率いてきたフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveria Baptista)氏の後任だ。
1970年生まれのNIGO®(本名は長尾智明)氏は高田賢三「ケンゾー」創業デザイナーと同じ、文化服装学院を卒業。「ケンゾー」がLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下になった1993年にファッションのキャリアをスタートし、同年に「ベイプ」を立ち上げた。フルジップ仕様の“シャーク”フーディーをはじめとするヒットアイテムを生み出し、ストリートウエア界をけん引してきた存在だ。そのほかファレル・ウィリアムス(Pharrel Williams)とストリートウエアブランド「ビリオネア ボーイズ クラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)」を立ち上げたり、ユニクロの「UT」シリーズのクリエイティブ・ディレクターを務めるなど、幅広く活躍。2010年には「ヒューマン メイド(HUMAN MADE)」を立ち上げ、11年には「ベイプ」をI.Tに売却後、13年に同ブランドを去った。
シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼最高経営責任者(CEO)はNIGO®氏が「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とコラボしたコレクションに感銘を受け、ルイ・ヴィトンのマイケル・バーク(Michael Burke)会長兼CEOに当時、彼を「ケンゾー」のデザイナーに起用することを提案されたという。トレダノ会長兼CEOは「NIGO®氏は長年高田賢三氏を敬ってきた。『ケンゾー』の豊富な知識だけでなく、彼のパーソナリティーやクリエイティビティーは素晴らしい」と評価する。
NIGO®氏は「高田賢三氏はさまざまな文化に対する理解・知識を通して、オリジナル性に長けたコレクションを手掛けてきた。それは私のクリエイションの哲学にも共通することだ。賢三氏のクラフツマンシップを継承しながら新たな『ケンゾー』を作ることは、30年に渡る私のキャリアにおいて、一番のチャレンジになるだろう」とコメントしている。
なお、NIGO®氏の就任とともに、新たなCEOにシルヴァン・ブラン(Sylvain Blanc)=アンディズ(UNDIZ)CEOの起用も発表した。ブラン氏は仏百貨店プランタン(PRINTEMPS)でキャリアをスタート後、2010年に高級パティスリー「ユーゴ&ヴィクトール(HUGO & VICTOR)」を立ち上げ、18年から仏下着ブランド「アンディズ」の事業を率いている。10月18日付でケンゾーのCEOに就任する。シルヴィー・コリン(Sylvie Colin)現CEOの後任だ。
パリコレは「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「ヨウジヤマモト」などがリアルショー 76ブランドが現地発表を計画
フランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode以下、サンディカ)は9月14日、2022年春夏パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)の最終スケジュールを発表した。9月27から10月5日までの9日間に、97ブランドがコレクションを披露する。そのうち、37ブランドがリアルショーを計画。39ブランドは、デジタル発表に加え、現地でのプレゼンテーションを行う。
ショーを予定しているのは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「エルメス(HERMES)」「ロエベ(LOEWE)」「ミュウミュウ(MIU MIU)」「バルマン(BALMAIN)」「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)「ロク(ROKH)」「コペルニ(COPERNI)」「コシェ(KOCHE)」など。「クロエ(CHLOE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「クレージュ(COURREGES)」「ロシャス(ROCHAS)」はそれぞれ、新クリエイティブ・ディレクター就任後初のリアルショーを計画する。
今季は、「サンローラン(SAINT LAURENT)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」もパリコレのショースケジュールに復帰する。普段はパリメンズで発表している「ラフ シモンズ(RAF SIMONS)」と「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」「ボッター(BOTTER)」も参加。一方、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」や「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、デジタルのみでの発表を決めた。
日本ブランドでは「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」のみがパリでのショーを計画。「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」はデジタル発表に加え、現地でのプレゼンテーションを予定する。そのほか、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」「ウジョー(UJOH)」「オーラリー(AURALEE)」「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」がデジタル発表で参加する。「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「サカイ(SACAI)」は、今季も参加しないようだ。
今シーズンの締めくくる10月5日20時(現地時間)からは、4月に新型コロナウイルスが原因で死去した故アルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏による「AZファクトリー(AZ FACTORY)」のメモリアルショーが予定されている。同ブランドのアトリエに加え、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)「ルイ・ヴィトン」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターやマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)「ディオール」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)「バレンシアガ」アーティスティック・ディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)「ヴァレンティノ」クリエイティブ・ディレクターら40組以上のデザイナーが故人に敬意を表するルックを制作し、披露する予定だ。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。