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スペシャリスト?ジェネラリスト?
人気ヘアサロンの「シャチュー」がフランチャイズのカラー専門店に挑戦するのは、スタイリストの多様な働き方を模索するためでもあるそうです。カットは、後回しでもOK。カラーができるようになったら、まず店頭に立ってみようという働き方、確かにあって良いですよね。
これにより、スタイリスト(この場合はカラーリストですが)としてデビューするまでの期間は、さらに短くなるのかもしれません。しかし一方で、特に大人世代の利用客には「会話が続かないから、ある程度キャリアを積んだスタイリストを」とリクエストする人もいるそうです。
スペシャリストとして早々にデビューするか?じっくり学び、ジェネラリストになるか?キャリアパスは、ますます多様化しています。
人気ヘアサロン「シャチュー」からカラー専門店 海外も視野に入れたフランチャイズ事業に挑戦
「シャチュー(SHACHU)」のみやちのりよし代表は、グラデーション、ハイライト、デザインカラーで爆発的な人気を集め、サロンユーザーだけでなく美容学校生やメディアからも注目されている。3月には「シャチュー」渋谷本店を神南店に統合し、新たにヘアカラー専門店「シーエス メイド バイ シャチュー(CS MADE BY SHACHU)」の全国展開に着手。“秒速で進化”と形容されるみやち代表のコロナ禍における新たな戦略について聞いた。
WWD:渋谷本店と神南店を統合した背景は?
みやちのりよし代表(以下、みやち):「シャチュー」は2014年にオープンし、16年に2店舗目として神南店をオープンしました。神南店は元々ビルの4階からスタート。「少しずつフロアを増せたらいいね」と出店時から話していました。サロンの知名度が上がると、管理会社やビルのオーナーがフロアが空くたびに優先的に連絡をしてくれて、3階、6階と拡張。3店舗目の出店も考えましたが、僕としては1店舗化したいとずっと思っていて。そんなときに神南店の5階が空いたので、路面店だった渋谷本店はクローズし、3〜6階をすべて「シャチュー」にする形で統合しました。同時にヘアカラー専門店の構想を実現するために渋谷本店を今後のさまざまな展開の発信拠点として作り替えることにしたんです。
WWD:1店舗化したメリットは?
みやち:文化の違う2店舗のスタッフが一緒になることで、いい意味で刺激しあえています。ありがたいことに予約もパンパンなので、スタッフ同士がお互いの仕事ぶりを見て「負けたくない」と思っているようです。1フロアにセット面が5席あるのですが、数字を持っているスタイリストは自分のお客さまだけでフロアが埋まるんです。だから自分のムードとペースでサロンワークできる。スタイリストが働きやすい環境は、お客さまにとっても快適なはずです。お店の作り込みもしやすいし、ブランド力は強化できると思っています。
WWD:新規事業のカラー専門店の展望は?
みやち:「シャチュー」とは別に新たに会社を立ち上げ、「シーエス メイド バイ シャチュー」という名前で全国にフランチャイズ展開するための準備を進めています。メニューはカラーとブリーチ、トリートメントで、より多くの人にリーズナブルだと感じてもらえる価格帯を想定しています。技術的にはインナーブリーチやハイライトブリーチも取り入れて、エリアのニーズに応じたデザインを提供したいですね。今回クローズした渋谷本店は、フランチャイズ事業を含め、今後の新たな可能性を研究するラボとして位置づけ、発信拠点として機能させていく予定です。
WWD:ブランドサロンがフランチャイズに着手するのは、かなり珍しい。
みやち:すごく注目されていると思います。みやちは世の中の逆を行くタイプなので(笑)。構想は2020年の4月。緊急事態宣言が出て、コロナ禍の終息には最低でも2年はかかり、ドーナツ化現象が起こるだろうと予測しました。そしてスタッフを守るためにも、次の行動を起こそうと。僕は経営者セミナーの講師をすることも多く、経営者の話を聞いたり多店舗展開している人と交流する機会がありました。いろいろな情報を得るうちに、自分のやろうとする道がはっきり見えてきたんです。昨年は僕自身セミナーを受講して経営やFCについて徹底的に学び、準備しました。オンラインサロンは「シャチュー」も早い段階で始めましたし、有益な情報も得られるけれど、目標を見失いがちになってしまうことも。僕は全国のサロンやスタッフを直接見て回る方が性に合っています。フランチャイズの仲間とは、オンラインとはまた違う熱量で濃い関係になれると思っています。
WWD:「シャチュー」スタッフにとって、また全国の美容師にとって「シーエス メイド バイ シャチュー」はどんな位置付けになる?
みやち:「シャチュー」のスタイリストがカラーショップの講師をすることも考えています。それはひとつのキャリアとして生かせるし、サロンワーク以外の貴重な経験ができて楽しいと思う。全国の美容師にとっては、ステップアップの仕方が変わるサロンになれると思っています。カラーリストとして早くからキャリアを積み、必要に応じてカットはオンラインやアカデミーで学べばいい。実際に「シャチュー」でもスタイリストになる前からカラーでかなりの売り上げを出す例はあるし、スタイリストデビュー時にはすでにお客さまがついているという強みになります。また、何かしらの事情で美容師をドロップアウトした人の受け皿にもなり得ます。現状では美容師からアイリストやネイリストに転向する人も多いですが、美容師という肩書きを生かしながらデザインに取り組めます。コロナ禍が落ち着いたら海外にも進出したいし、カットもできるお店も作りたい。よりいっそう「シャチュー」のブランド力を上げていくことが大切だと考えています。
坂本尚子:島根県松江市出身。総合ライフスタイル誌や育児雑誌の編集を経験したのち、美容業界専門誌を発行する出版社に入社。美容師が作るリアルヘア、クリエイティブヘアの作品ページやインタビュー企画を担当するうちに、すっかり美容業界の虜に。2009年から美容業界に特化したフリーライターとして活動中
「ジーユー」×「アンダーカバー」は発売前から「過去最高の好反応」 通常コラボの2倍の売り上げ見込む
「ジーユー(GU)」は4月9日に発売する「アンダーカバー(UNDERCOVER)」とのコラボレーション商品を、5日から東京・原宿の「GU STYLE STUDIO 原宿」で公開している。さまざまなデザイナーとのコラボを行っている「ジーユー」だが、「『アンダーカバー』とのコラボはメンズ、ウィメンズ合わせて全65型という規模感もあり、通常のコラボの約2倍の売り上げを見込んでいる」(矢治寿一ジーユーグローバル商品本部部長)という。
一部商品は大型店のみで販売するが、全65型のうち「6割は全店で販売する」という。SNSなどでの発売前の消費者の反応は「(過去のコラボの中でも)最高レベルで良い」と期待を寄せている。「昔からの『アンダーカバー』ファンの方にも認めてもらえるよう、モノ作りの面はできる限り突き詰めた。同時に、『アンダーカバー』を知らない若い世代にも、これをきっかけにファッションの楽しさを知ってもらいたい」という。より多くの層にリーチするため、「ディズニー(DISNEY)」のキャラクターをモチーフにしたトリプルコラボ商品も13型そろえる。
2019年年末に、柚木治ジーユー社長、矢治部長らで「アンダーカバー」のアトリエを訪れ、高橋盾デザイナーと対話を開始。実際にコラボ実施が決まったのは20年3月ころだったという。製作期間だった4〜5月に緊急事態宣言が発令されたことを受け、「ジーユー」として強化しているパジャマやラウンジウエア、雑貨類を拡充した。「地厚なコットン地と繊細なシフォンをドッキングして縫い合わせるなど、大量に商品を作る「ジーユー」では(手間や強度の面で)これまで行ってこなかったモノ作りの際の部分にも今回のコラボでは挑戦している。ただし、使用する素材の集約や早期生産などで、価格は通常の『ジーユー』なみを実現した」点がポイント。これまでの「ジーユー」では使ってこなかった素材で、今回のコラボで好評なものがあれば、「今後の『ジーユー』の既存ラインのモノ作りにも反映させていく」考えだ。
9日の発売日は、「ジーユー」と同じファーストリテイリンググループの「ユニクロ(UNIQLO)」の「+J」のように、各店舗で整理券を配布して販売する考え。また、フリマアプリのメルカリとファーストリテイリングは3月に、商品発売後すぐの高額転売などを避けるための包括協定を結んでいる。「発売後すぐに商品が高額転売され、本当にほしいお客さまの手元に届かないといったことがないよう、メルカリ側には協定をもとに事前に今回のコラボの商品情報や画像などを提供している」という。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。