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各社が挑む、転売目的の買い占め抑制

 ゲームの世界における「ニンテンドースイッチ」や「PS5」同様、ファッションの世界でも転売目的の買い占めは大きな問題です。「ユニクロ」とメルカリの包括協定は、早速本日発売の「+J」から適用されるのでしょうか?本当に欲しい人が買えるようになる環境づくりの第一歩になるといいですね。

「アトモス」はかつて、一部のスニーカーを買うための行列に並ぶには、「アトモス」で買ったスニーカーを履いていなければダメというルールを課しました。「シロ」は現在、限定商品の優先予約権などを付与するメンバーシッププログラムを構築しようとしています。いずれも、本当に欲しい人に提供するための工夫です。

 一方このタイミングでもなお、とにかく長い行列を作りバズることを主眼に置くブランドもあります。今後、消費者はそれらをどう判断するようになるのでしょう?

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

ユニクロとメルカリが包括協定を締結 高額転売を抑制

 「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリングとフリマアプリ「メルカリ(MERCARI)」の運営企業メルカリは3月17日、「安心・安全な取引環境の構築に向けた包括協定」として、「マーケットプレイスの共創に関する覚書」を締結した。両社で商品情報や商品画像などを共有することで、新商品発売直後の「メルカリ」上での注意喚起や、発売前の無在庫出品・著作権侵害の抑制などにつなげる。メルカリが一次流通企業とこのような協定を結ぶのは初めて。

 「ユニクロ」は19日に、デザイナー、ジル・サンダー(Jil Sander)氏のコラボライン「+J」の2021年春夏商品の発売を控えている。9年振りの復活販売となった「+J」の20-21年秋冬物(20年11月発売)は、店頭に多数の客が詰めかけると同時に「メルカリ」など二次流通市場で発売後すぐに高額で転売されるケースも多く、問題視されていた。協定締結は「『+J』21年春夏の発売に合わせた面もあるが、メルカリとは以前から安全な取り引きのために話し合いをしてきた」とファーストリテイリング広報。

 高額で転売する行為自体は違法ではないが、「店頭にもまだ在庫がある商品などが発売後すぐにマーケットプレイスに出品され、高値で売られるのはお客さまをあおることになる」(ファーストリテイリング広報)。そこで、ファーストリテイリングは協定に基づき、商品情報や商品画像などをメルカリに共有。「事前に発売日などが共有されていれば、お客さまにアプリ上のウィンドウなどで注意喚起ができる」(メルカリ広報)。「ユニクロ」の広告画像を二次使用した出品も多いため、今後はそうした著作権侵害にも対応していく考えという。

 メルカリは21年1月に、取り引きの透明性追求のための「マーケットプレイスの基本原則」を発表していた。「高額転売などの問題はメルカリだけでは対応ができない。ファーストリテイリングだけでなく、一次流通企業との対話を今後も進めていく」とメルカリ広報。メルカリは、現時点では高額転売など「価格を理由にした出品の規制は行っていないが、新商品発売後に一時的に価格が高騰している商品などにアラートを出す機能を現在開発しており、初夏に実装予定」(メルカリ広報)という。また、ファーストリテイリングは「メルカリだけでなく、他のフリマアプリ運営企業とも同様の取り組みを進めていきたい」(ファーストリテイリング広報)。

 「ユニクロ」は現在まで3年連続で、「メルカリ」上で、出品・購入ともに最も多く取り引きされたブランドとなっている。

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NEWS 02

「ゾゾコスメ」500ブランド集め始動 新木優子がCMイメージキャラクターに就任

 ファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」は3月18日、新サービス「ゾゾコスメ(ZOZOCOSME)」をスタートした。百貨店からドラッグ・バラエティーショップで展開する約500ブランドをそろえ、スキンケアやメイクアップ、ボディーケア、ヘアケア、ビューティ雑貨まで幅広いアイテムを扱う。独自に開発した肌色計測ツール「ゾゾグラス(ZOZOGLASS)」の無料配布も本日から開始する。

 同社が533万人のアクティブ会員にアンケート調査をした結果、「ファッション以外で取り扱いを希望するカテゴリーが圧倒的に化粧品だった」(伊藤正裕ZOZO取締役兼COO)ことから「ゾゾコスメ」を立ち上げた。特徴は体の3D計測の「ゾゾスーツ(ZOZOSUITS)」や足型の3D計測ツール「ゾゾマット(ZOZOMAT)」に次ぐ「ゾゾグラス」となる。カラーチップなどが搭載された眼鏡型の計測ツールをかけてアプリを起動し撮影することで、肌状態を分析。その人に最適なファンデーションを見つけ出すことができるほか、パーソナルカラーも提案する。現在はファンデーションの色提案を行うが、今後はリップやチーク、マスカラに対応。ARメイク機能にも活用していく。「インターネット上で買いにくいものをテックで解決していくのが当社の強み」と伊藤取締役兼COO。「ゾゾグラス」は50万件の予約があったという。

 取り扱いブランド(ショップ)は、「ディオール(DIOR)」や「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「ゲランGUERLAIN)」「シスレー(SISLEY)」「セルヴォーク(CELVOKE)」「コフレドール(COFFRET D’OR)」「ワタシプラス(WATASHI+)」「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」など約500をそろえ、順次拡充する。マシュー・グラウドンELCジャパン社長は「コスメ市場にもたらされるゾゾの画期的なテクノロジーに感銘を受けた」として期待を寄せた。

 また、「ゾゾコスメ」のCMイメージキャラクターに女優の新木優子を起用した。「ファンデーション選びで苦労していたので高精度なゾゾメガネで自分に最適なファンデが見つかって嬉しい。新しい自分に出会う感覚でコスメを選んで欲しい」とコメントした。今後はTVCMやデジタルADの展開、トライアル・サンプル配布キャンペーンなどを実施し、「ゾゾコスメ」の認知拡大を図る。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。