ファッション

「レノア」の「ハピネス」から「リセット」への進化に学ぶ

有料会員限定記事

 「おうち時間」が長くて、テレビも見るようになったからだろう。この数週間、P&Gの柔軟剤「レノアリセット」のCMを幾度となく目にしている。ほかに行く場所もないから、近所のドラッグストアを覗いてみた。「レノアリセット」の“フレッシュローズ&ナチュラルガーデン”の香りは、常設の棚の在庫は売り切れで、特設売り場にわずか数本。気付いたら手に取り、レジに並んでいた(笑)。同社のホームページによると、「レノアリセット」は「第3の柔軟剤」。じゃあ「第2の柔軟剤って、なんだったの?」と思いググると、その歴史は2009年までさかのぼる。同じくP&Gの「ダウニー」がヒットして以降に誕生した、“香り推し”柔軟剤の総称だ。12年になると、消費者の柔軟剤の香りに対するニーズはさらに多様化・細分化した。「長続きする香り」「使い分けられる香り」「自分のための香り」「周囲に広がりやすい香り」の新商品が続々誕生したという。代表例は、「レノアハピネス」や「ソフラン アロマリッチ」などだ。振り返れば09〜12年は、今のような時代だ。08年、世界はリーマン・ショックによって同時不況に突入。日本では11年の東日本大震災が追い打ちとなり、今同様の買い控えムードが広がった。(この記事はWWDジャパン2020年5月25日号からの抜粋です)

 「ダウニー」がヒットする09年の初頭、私はいつも通りミラノに赴き、「ボッテガ・ヴェネタ」の09-10年秋冬メンズ、リーマン・ショックの後、ブランドが最初に発表したコレクションを見て感銘を受けた。ランウエイに送り出した27体、いつも以上に厳選したルックの全てに肌触りの良いニットやジャージーを用いていた。当時のクリエイティブ・ディレクターは、マイアミを拠点とする自身のブランドも手掛けていたトーマス・マイヤー。話を聞くと彼は、「今の景況感を深く意識した。世界は、不況の真っ只中。せめて心地よい洋服を身にまとい、気持ちだけでもポジティブになってほしい。だからニットをキー・マテリアルに据えた」と教えてくれた。以降「心地よさ」は、最も重要な価値観として台頭。不況下においてもニットやジャージーで作るジャケットは売れ、当たり前として定着した。

この続きを読むには…
残り1174⽂字, 画像0枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

メンズ47ブランドの推しスタイル 2025-26年秋冬メンズ・リアルトレンド

「WWDJAPAN」6月16日号は、2025-26年秋冬シーズンのメンズ・リアルトレンドを特集します。ウィメンズに比べるとトレンドが見えづらいと言われるメンズウエアマーケットですが、近年、多くのブランドやアパレル企業が直面しているのは、気候変動という現実的な課題。夏が長く、冬が短くなっている中で、商品の投入スケジュールを調整したり、重衣料から軽アウターや通年着られるアイテムに秋冬物の軸足を移したり…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。