Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

「総合」の上位製品を分析すると……

 「WWDJAPAN」のベストコスメは、それぞれの販売チャネルのバイヤーにアンケート取材を行い、本当に売れた新製品と既存品を讃えています。

 既存品も讃えるのは、ベストコスメでは珍しいのかもしれません。でも、定番が礎となり、新たな挑戦ができる環境が整うのは、ビューティ&ファッション業界にとって理想の姿。サステナブルの観点から考えても、フォーカスを当てるべきだと思っています。ゆえに、(今回も強かった)「イプサ」の“ザ・タイムR アクア”をド〜ンと讃えるのです。

 “ザ・タイムR アクア”は、解釈の余地が大きな商品だと思っています。「デパコスの中では手頃」「ぐんぐん浸透しているカンジ」「男性でも手に取りやすいデザイン」「どんな部屋、洗面所にもマッチするボトル」などのそれぞれが解釈の余地です。いかようにも解釈できるから、それぞれが、それぞれの理由で愛し、購入するのではないでしょうか?

 そんな視点で「総合」の上位製品を分析すると、新たな気づきがあるのかも?6月28日まで、毎日更新です。ぜひご覧ください。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

売れたアイテムを発表! 化粧水1位は「シャネル」「クレ・ド・ポー ボーテ」と「イプサ」 「WWDJAPAN 2021上半期ベストコスメ」百貨店・セミセルフショップ

 「WWDJAPAN 2021上半期ベストコスメ」を発表! 「WWDJAPAN」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで2021年上半期(1~4月)に売れた製品を調査。この期間に発売された新製品(NEW PRODUCT)のベスト3と、新製品だけでなく既存品を含めた総合(HERO PRODUCT)のベスト3を紹介する。

 百貨店・セミセルフショップの「化粧水」部門の新製品は、「シャネル(CHANEL)」の“ル リフト ローション” と、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“シナクティフ ローションイドラタントn”が同率で首位を獲得。「シャネル」は「エイジングケアを探している新客に人気」とバイヤーからのコメント。「クレ・ド・ポー ボーテ」は「保湿力の高さ・美白有効成分が好評」「緊急事態宣言前の駆け込み需要も」とバイヤー。2位は、「シャネル(CHANEL)」の“ル リフト ローション”、3位は「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の“ピュアショット エッセンス ローション”だった。

 総合では、「WWDビューティ ベストコスメ2020」でも1位にランクインした「イプサ(IPSA)」の“ザ・タイムR アクア”が今回も1位。バイヤーからの「さらっとしたテクスチャー、乾燥・テカリなどの肌悩みの人に人気。男性の新客も増えている」「マスクによる肌荒れに悩む方が“アルコール無添加”を好んで指名買いすることが多い」などのコメントからも時代性を感じられるアイテムであることが分かる。2位は「アルビオン(ALBION)」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”、3位に「SK-Ⅱ」の“フェイシャル トリートメント エッセンス”と、ロングセラー製品がランクインした。(価格は全て税込)

新製品

1位 “ル リフト ローション”

「シャネル」

 “肌にハリと弾力を与えて引き締める”エイジングケアシリーズの化粧水が進化。メイン成分の一つ、天然由来成分アルファルファは、ミネラル・微量元素・各種ビタミン・アミノ酸を豊かに含むフランス産を採用する。それを濃縮したエキスに独自成分のマグネティック ウォーター コンプレックスを組み合わせることで、失われた肌のハリや弾力の再生に寄与する。とろみのあるテクスチャーは肌に乗せると瞬く間にウオータリーに変化して浸透。ストレスの多い現代社会の中で、外的ストレスに負けない明るい肌を支える一品だ。(150mL、9350円)

1位 “シナクティフ ローションイドラタントn”

「クレ・ド・ポー ボーテ」

 資生堂のハイプレステージブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の最高級ライン“シナクティフ”が、先進のリンパ管研究を進化させ、新成分ピュリファイングB(保湿・整肌)を配合してリニューアルした保湿液。“ローションイドラタントn”には、浄化創生に着目した独自成分、ピュリファイングB(保湿・整肌)、美白有効成分4MSK (4-メトキシサリチル酸カリウム塩) を配合。パワフルな処方を独自のフォーミュラが素早く肌に広がりながら届かせるといった多角的なアプローチで美肌へと導くと注目を集めた。【医薬部外品】(125mL、2万3100円 レフィル125mL、2万2000円)

3位 “ピュアショット エッセンス ローション”

「イヴ・サンローラン」

 注目のサボテン由来オイル、ムーンライトカクタスを配合したヒット作“ピュアショット”に化粧水が仲間入りし、シリーズが拡充した。細胞内の小器官であり細胞エネルギー生成の根幹を担うミトコンドリアに着目。活性化させることでブランドの考える美しい肌の条件=滑らかさ、透明感、艶を宿す。過酷な環境下で育てられたアルガンの力を最大限に引き出すためにビタミンB・カブリロイルサリチル酸・グリコール酸を最適なバランスで配合することで、スピーディーに美肌へとアプローチする。(150mL、9240円)


総合

1位 “ザ・タイムR アクア”

「イプサ」

 みずみずしい使用感で肌の表面に潤いを届けながら、キメを整えてしなやかな肌を目指す薬用化粧水。水分補給させる肌を選ばないアルコール・オイルフリー設計と、肌にぐんぐん入るような感覚の浸透力で多くの支持を得続けている。乾燥、大人肌のニキビ、テカリ、肌荒れといったマスク時代の肌悩みをパワフルにサポートし、注目が続いている。肌の水分と一体化して水のバリアをつくることで、肌トラブルを防ぎ、生き生きとしたヘルシーな肌を約束。【医薬部外品】(200mL、4400円)

2位 “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”

「アルビオン」

 “スキコン”の愛称で親しまれる、ブランドの代表作の一つ。人気を不動のものにしたのは肌をあらゆる方向から健やかに保たせるマルチパーパスで、こだわりのハトムギ品種北のはとを採用。元来アジアの温帯から熱帯に生息するハトムギを寒さ厳しい北海道で栽培することでより生命力ゆたかに育てた品種で、数ある国産ハトムギの中でも国内で唯一“ヨクイニン”として認められている。有機JAS規格をクリアした畑で栽培され、爆砕の手法で濃密にエキスを抽出。白い一滴から漂うフローラルブーケの香りも好評だ。【医薬部外品】(110mL、3850円 165mL、5500円 330mL、9350円)

3位 “フェイシャル トリートメント エッセンス”

「SK-Ⅱ」

1980年のブランド誕生とともに発売したロングセラーで、特殊な酵母の独自の発酵から生まれる、独自成分ピテラを90%以上のの高い数値で配合した高機能化粧水は人気も不動。肌が自ら作り出す潤い成分(天然保湿因子=NMF)と同じ働きを持たせることでハリ、エイジングサイン、乾燥によるくすみ、艶などの肌悩みを多方面にアプローチする。浸透性も高く、肌にすっとなじむテクスチャーで、透明感のある、キメの整ったふっくらとした明るい肌をかなえる。(75mL、9350円 160mL、1万8700円 230mL、2万4200円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

トップページに戻る
NEWS 02

「10 マメ クロゴウチ」展が開幕 デザイナーの故郷、長野の雪景色をイメージした展示空間をリポート

 黒河内真衣子によるファッションブランド「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI、以下マメ)」の設立10周年を記念した初の単独展覧会「10 マメ クロゴウチ(10 Mame Kurogouchi)」が6月19日~8月15日、長野県立美術館(旧長野県信濃美術館)で開かれる。長野県は黒河内デザイナーの故郷。この4月には長野県立美術館のリニューアルオープンに合わせて、同館のスタッフユニホームのデザインを手掛けた。「ユニクロ(UNIQLO)」とのコラボレーションコレクション「ユニクロ アンド マメ クロゴウチ(UNIQLO AND MAME KUROGOUCHI)」の発売日でもあったオープン前日の18日には、報道関係者向けの内覧会を実施した。

「曲線」「刺しゅう」「夢」など
10つのキーワードで構成

 「10 マメ クロゴウチ」展は、これまで発表されたコレクションに共通する「ノート」「曲線」「刺しゅう」「長野」「色」「クラフト」「私小説」「夢」「テクスチャー」「旅」の10つのキーワードで構成。それぞれのキーワードに合わせて厳選した32ルックやデザインソース、刺しゅうの図案、同展のために制作した作品などを披露している。空間は建築家の中原崇志が担当。黒河内デザイナーが「私の長野の記憶は冬の景色が多かった。その白さや透明な空気、静寂さを空間に投影したかった。また余白の美しさはクリエーションでも常に大事にしており、会場の中でもキープしてお見せしたいと思った」と話すように、真っ白な空間で余白や間を生かした配置になった。

 展示のポスターも真っ白なデザイン。「ポスターは真っ白でも美術館が許可してくださったことに感謝。よく見ると透け感があり美しい紙で、私たちのモノ作りにおいても大事にしているテクスチャーを感じられる。見た人が『何だろう?』と想像力を掻き立てられるものにしたかった」と黒河内デザイナーは語る。7月には展示内容をまとめた作品集「10 マメ クロゴウチ」(⻘幻舎)を発売する。展示ではキャプションなどの説明などは省いており、同書が展示説明の役割を担う。

 黒河内デザイナーはこれまでの仕事を振り返って「この10年間さまざまなことを続けてこれたことに、自分自身とても勇気付けられた。私にとってデザインや洋服を作ることは大したことではない。少女のときに“お姫さまのドレスを作りたい“と思っていた頃から、そのまま30年の時が経ってしまった感覚がある。でも、その思いを保っていくことは大人には難しいことだと感じる。今後も人生の中でその純度をキープして、守っていかなければいけない。この展覧会に向けた仕事は日常のありがたさを感じるプロセスだった」と明かした。

【以下、展示内容のネタバレあり】
10年間の日記の一部を公開

 「ノート」のスペースは、これまで黒河内デザイナーがブランドデビューの2011年から21年まで書き溜めてきた360ページを公開する。モレスキンのA5ノートには、日記をはじめ、旅先のデッサンや素材のスワッチ、マインドマップなどがあり、「The Diary」をテーマに1日に1写真を撮影し、1デザインを描くことに取り組んだ19年春夏コレクションの3ルックも一緒に展示している。

 「曲線」ではアイコニックなアールカッティングが象徴的な黒いドレスを異なるシーズンから選んだ。写真家の野田祐一郎が同展のために撮影した作品も一緒に見せている。「刺しゅう」は、ボタニカルモチーフなどの有機的なモチーフのドレスとともに、元になったドローイングや工場の指示書、図案、刺しゅうサンプルをともに紹介。「長野」ではブランド初期からのアイコンであるPVC素材のバッグとヘッドピースを集めた。雪景色や氷柱などの長野が原風景となった黒河内の幼少期の記憶を元にデザインされたものだ。

工芸品や小説まで
着想源の品の数々

 「色」ではさまざまな青のトーンを使った19年秋冬のルックとともに着想源を集積している。「クラフト」は伝統技術に学び、現代の技術で新たなデザインを生み出した4ルックとヒントを得た品々を紹介。日本各地の職人たちによる道具や黒河内の実家の家紋が入った九谷焼大皿、18年秋冬のインスピレーションとなった日本の民具や工藝に美を見出したことでも有名な建築家・デザイナーのシャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)による展覧会書籍も展示する。

 「私小説」では作家の朝吹真理子が雑誌「新潮」で連載していた「TIMELESS」の切り抜きと、その小説世界から共鳴して生み出された17年春夏コレクションを並べている。「夢」は「Your Memory」と題した13年秋冬に、デザインの元となったビンテージ写真やデザイン画、ポストイットを壁に貼り付けている。「テクスチャー」では同展のために真っ白に再制作したアーカイブの生地、野田祐一郎による素材の写真などを紹介する。最後の「旅」では、黒河内デザイナーが撮りためてきた写真と、パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)による「アルケミスト - 夢を旅した少年」の物語に重ねた16年春夏コレクションもそろえている。

 黒河内デザイナーは1985年長野県生まれ。2006年に文化服装学院卒業。10年に黒河内デザイン事務所を設立し、11年春夏にブランドをスタート。14年に毎日ファッション大賞で新人賞・資生堂奨励賞を受賞。15年春夏からパリで展示会を開催。17年に「ファッション プライズ オブ トウキョウ(FASHION PRIZE OF TOKYO)」で受賞して18-19年秋冬シーズンからパリでコレクションを発表。19年にイタリアの老舗ブランド「トッズ(TOD’S)」とコラボレーション。20年3月に初の直営店を東京・世田谷の新代田にオープンした。

■10 Mame Kurogouchi
会期:6月19日~8月15日
休館日:水曜日
会場:長野県立美術館 展示室 3
住所:長野県長野市箱清水1-4-4
観覧料:一般500円、高校生以下無料、東⼭魁夷館との共通観覧料は⼀般800円

トップページに戻る

最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。