オートクチュールで使われる
伝統染物を目指して
江戸小紋四代目・廣瀬雄一

 “PIAGET POLO S”のテーマである“Play a different game”になぞらえて、「WWD JAPAN.com」も独自に選んだ時代を変えうる5人の若きゲーム チェンジャーを取材した。

変わらない伝統を受け継ぐため
挑戦し続ける染工場

 廣瀬雄一は江戸時代から続く和服正装“裃(かみしも)”に使う染物“江戸小紋”を作る廣瀬染工場の四代目。伝統を受け継ぐ若き職人だ。江戸小紋に使う絵型は約1万種、ほとんどが江戸時代から受け継ぐ家宝だ。「“小紋”は一見すると無地に見えるが、実は細かい総柄が入った手の込んだ染物。今の時代、着物もプリント柄がほとんどだが、型紙をならべた際にできる一定間隔のつなぎ目など手染めならではの良さがある。コンディションによって、自分が染めても同じものは二度と作れない上、1日2反が限界なので量産はできない希少品だ」。

 職人が減り続ける小紋産業だが、彼は新しい柄・商品を作り続けて伝統を残すことに挑戦し続ける。「なじみのない世代にも着物を着てもらいたい。そのためにまず、取り入れやすいネクタイやスカーフ、アロハシャツなどを作って、百貨店の催事でも展開をしてきた」。挑戦は海外にも及ぶ。「プルミエール ビジョンをはじめ、ニューヨークやヨーロッパで展示会に出展してきた。ファッションブランドとも交渉をしてきたが、プレタポルテではロット数がとても追いつかない。柄だけを提供してインクジェットプリントを使うのでは意味がない。目標は、オートクチュールで使われる染物を作ること」。

PROFILE:1978年生まれ。江戸小紋の廣瀬染工場4代目。大学時代はウインドサーフィンでシドニーオリンピックの強化選手として活躍した経験を持つ。大学卒業後、染物という日本の伝統文化で海外に挑戦したいという夢のもと、江戸小紋を世界に向けて発信する新しい施策に次々挑戦する

Photos by KO-TA SHOUJI

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