衣食住を融合し、
建築の枠をはみだす
新たな空間の作り方
建築家・隈太一

 “PIAGET POLO S”のテーマである“Play a different game”になぞらえて、「WWD JAPAN.com」も独自に選んだ時代を変えうる5人の若きゲーム チェンジャーを取材した。

衣食住全てに興味があり、
そこに境界はない

 今年大学院を修了予定の隈太一は神楽坂・矢来町のシェアハウス「SHAREyaraicho」に住む建築家。彼は両親ともに建築家という希有な家庭で育った。4年前に竣工した「SHAREyaraicho」も母親を中心にした家族プロジェクトとして作られたものだ。現在は25〜40歳代を中心に国内外の建築家やクリエイターが住んでおり、隈はここの運営や内装を担当する。そんな彼は現在、20人規模の新たなシェアハウスを設計中だ。「個人住宅と寄宿舎を掛け合わせたような空間を作りたい。海外からの旅行客が、住人しか知らないローカル情報を知りうる場所にしたい」という。地元の結びつきが希薄な時代だからこそ、人びとが交わる空間を作ることに意欲的なのだ。

 彼の特徴は、建築・設計にとらわれず空間の内装・使い方までを提案・実装することだ。「衣食住全てに興味があって、そこに境界はないと思う。だから、建築家の延長で何ができるかをつねに考えている。以前、伸縮性のある膜でできたロッジを作りたかったが、建築関係の工場にはそんな素材を扱うノウハウがなかった。その時はファッションデザイナーの友人がTシャツ工場を紹介してくれて、これまでにない建築材料が完成した。神楽坂の新しいシェアハウスの建設予定地では、9月にトレーラーハウスを使った期間限定のワインバーを開店予定。もちろん内装も手掛けて、お店にも立ちたい」。

PROFILE:1985年生まれ。両親はともに建築家の隈研吾と篠原聡子。東京理科大学を卒業後に東京大学大学院修士課程で建築を学び、ドイツへ留学した。帰国後に東京大学大学院博士課程に進学し、今年9月に修了予定。現在はシェアハウスに住みながら案件ベースで内装や家具の設計を手掛ける。2017年には初の建築の設計となる「SHAREtenjincho(仮)」も完成予定

Photos by KO-TA SHOUJI

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