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プロに聞く“眠りの極意” 暑い夜でも快眠に導くには?

 酷暑が続く今年の夏は、暑くてなかなか眠りにつけないという人も多いだろう。睡眠不足は体にさまざまなトラブルを引き起こす。例えば7時間以下の睡眠は、法律上の飲酒運転(アルコールの血中濃度0.04%)の酩酊状態と同等だといい、寝ている本人も寝たことに気がつかない0.1〜10秒のマイクロスリープ(瞬間的居眠り)を引き起こす要因になる。また、集中力ややる気、健康状態にも影響を及ぼすことから、睡眠不足による経済損失は3.5兆円にも上るそうだ。

 マットレスの「エアウィーヴ」では日本の眠りの改善するためのセミナーを行っている。この講師として活動するのが、長谷川恵美・快眠プロデューサーだ。そんな“睡眠のプロ”に眠りの極意を聞いた。

最も深い睡眠は「最初の90分」

 睡眠時間は7〜8時間、最低でも6時間とる必要がある。この際、最も重要なのは最初の90分だという。「最初の90分が最も深い眠りにつく時間。睡眠時に発生する成長ホルモンの80%が生まれ、記憶の定着や、嫌な記憶の除去もしてくれる」。成長ホルモンは若者だけでなく、成人でも大切で、筋肉や肌を作り、エイジングケアにも役立つホルモンだ。この最初の90分の間に途中で目覚めると成長ホルモンの分泌が止まってしまい、寝直しても同じようには分泌されないというので要注意。また、睡眠は連続でとることが重要だという。

上質な睡眠に必要な6つのポイント

 「寝ても疲れがとれない」「睡眠時間が確保できない」なら睡眠の質を上げるのが一番だ。そこで、大切なポイントを6つあげてもらった。

1:生体リズムを整える

 体内時計は24時間より長いため、毎日リセットしない限り、どんどん狂っていく。起床後は強い光を浴びることが大切だ。よく太陽光を浴びた方がいいといわれるが、明るいことが重要なので蛍光灯でも大丈夫。

2:リズム運動を取り入れる

 ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動や筋弛緩運動を取り入れることも重要だ。運動といっても、リズムを意識すれば咀しゃくでもいいという。

3:食事に気をつける

 タンパク質とビタミンBを多めにとる。タンパク質を取ることで、快眠生活に必須と言われる必須アミノ酸のトリプトファンを摂取することができる。

4:就寝前の光の刺激を抑える

 寝る2〜3時間前からテレビやパソコン、スマホを控えること。しかし現代社会でそれはむずかしい気もするが、「よくブルーライトがダメ、というが、そうではない。脳が興奮状態になることが快眠の妨げとなるので、リラックスできるものに切り替えてほしい。間接照明にしたり、本を読んだりするのもいい」と長谷川・快眠プロデューサー。

5:深部体温を下げる

 就寝の一時間前までに38〜40度のお風呂に入る。一度温まった体温が下がっていくタイミングで寝るのがベスト。また、自然な体温分布を邪魔しないために、通気性のあるマットレスを選ぶのもポイントだ。

6:寝具にもこだわる

 ふかふかのベッドは気持ちいいが、寝返りを打つのに自分の筋肉を使ってしまうため、寝ても疲れる状態になりがち。硬くて押し返してくれるマットレスがベストだ。

暑くて寝苦しい夜、すべきことは?

 クーラーは28度に設定する。風が直接体に当たる人は、扇風機を天井に向けて首振り運転にすると、空気が循環して寝やすい環境に。また、湿度が高いと深部体温が下がりにくくなるので湿度50〜60%に保つ。寝具もガーゼや麻のような、自然素材のものがベストだ。また、背中が蒸れることも寝にくくなる原因になるので、抱き枕がおすすめ。

実は間違っている? 眠りの新常識

22時〜深夜2時はシンデレラタイム、は間違い

 「これを提唱していたころは、22時に寝ることが多かった。最初の90分に成長ホルモンが出ることを“シンデレラタイム”としているので、この時間に寝る必要はない」。

90分の倍数で起きたら寝覚めがよくなる、は間違い

 「眠りには浅いノンレム睡眠と、深いレム睡眠がある。このノンレム睡眠とレム睡眠は交互に起こり、最初は90分の間隔なのでこう言われているようだが、実際は朝に近づくにつれて80〜120分まで間隔が変わるので、一概に90分の倍数が浅い眠りの時とは限らない」。長谷川・快眠プロデューサーのおすすめの起き方は、起きたい時間の20分前から2〜3分間隔で、小さな音でアラームを鳴らすこと。眠りの浅い時だけ気がつくため、すっきり起きられるという。光目覚まし時計も効果がある。

どうしても昼寝をしたくなったら

 「体内時計は、14時ごろに眠くなるようにできている。どうしても眠くなったら20分までなら昼寝をしても問題ない。しかし、それ以上は夜の睡眠の質を下げてしまう。また、15時以降に寝ることも夜の睡眠の質に影響が出る」