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我々が求めている「カルバン・クライン」ってコレ
日本同様に寒い米ニューヨークで、2025-26年秋冬ファッション・ウイークが開かれています。
今季のニューヨーク一番の注目株は、新生「カルバン・クライン コレクション」。ラフ・シモンズ時代はもちろん、フランシスコ・コスタ&イタロ・ズッケーリ時代と比べても随分リアルですが、我々が求めている「カルバン・クライン」ってコレだと思います。素材やシルエット、そしてスタイリングで、今っぽくも汎用性が高いスタイルを生み出す。しかも(おそらく)頑張れば買える価格帯だから、汎用性の高さが効いてくる。
そして、こういうブランドに光が当たるのが、やっぱりニューヨークのいいところな気もします。
ラフ・シモンズとの決別から6年 「カルバン・クライン」 がミニマルテーラードで見せた“らしさ”の深化
「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」が6年ぶりにニューヨーク・ファッション・ウイークに戻ってきた。現地時間2月7日、ヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)」新コレクション・クリエイティブ・ディレクターによる2025年秋コレクションを披露した。
「カルバン・クライン」のコレクションラインである「カルバン・クライン コレクション」は、かつて17年から4シーズン、世界的デザイナーのラフ・シモンズ(Raf Simons)が手掛けた。業界にも大きな話題を巻き起こしたものの業績不振により協業を終了。ラフと決別して以来は、ニューヨークのランウエイから姿を消していた。
それから6年の時を経てカムバックした「カルバン・クライン コレクション」が、ランウエイで何を打ち出すのかーー。それは、ショーが始まった時点で明白だった。冒頭から連発したのは、テーラードを軸としたクラシックでミニマルなスタイル。ノーカラーのロングジャケットや、ハリのあるオーバーサイズトレンチコート。ピンストライプのジャケット&トラウザーズのセットアップには、さらに同柄のオーバーサイズコートをレイヤリングする。テーラードアイテムは内側が空洞の構造が、軽やかなシルエットを作り出す。
何気ないブラックドレスにも、パターンの妙が生み出す構築的な美しさとムードがある。程よい緊張感がありながら、着る者にも見る者にもストレスを感じさせない仕立ての良さ。これまで欧州のメゾンブランドで培い、自身のブランド「クイラ(QUIRA)」でも発揮する、ヴェロニカのテーラリング技術の賜物だ。
アメカジ要素を取り入れ
ブランドらしさを守り進化
かつてラフが手掛けたコレクションは、業界では高い評価を得ていたもののの、実際には挑戦的な価格と先鋭的すぎるデザインで、既存のファンを置き去りにしてしまった。「カルバン・クライン」というよりも、“ラフ・シモンズの服”としての色が強すぎたのかもしれない。その点でいえばヴェロニカによるファーストコレクションは、後半には「カルバン・クライン」のアイコンであるジーンズやボンバージャケット、レザーブルゾンなどアメリカンカジュアルの要素もうまく織り交ぜられ、「ブランドのエッセンスを守りながら、いかにブランドを進化させるか」という彼女の試みが見てとれた。
大衆ブランドとしての「カルバン・クライン」は近年、BLACKPINKのジェニーやBTSのジョングクなどをアンバサダーに起用した広告マーケティングに惜しみなく投資しており、アンダーウエアやジーンズをフックとして、若者の間で人気が再燃している。そんなカジュアルでエッジー、セクシーなイメージにコレクションブランドとしての魅力が復活すれば、「カルバン・クライン」ブランドとしても次なるステージが見えてくるだろう。
「マーク ジェイコブス」が紡ぐおとぎ話の続章は、新たなクリエーションを生み出す“勇気“が原点
「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」がニューヨーク現地時間の2月3日に2025年春夏コレクションを行った(実売期は秋冬)。非公式スケジュールとなるが、同ショーは事実上、ニューヨーク・ファッション・ウィークの幕開けを意味する。ニューヨーク公共図書館で行われたショーは恒例通りオンタイムでスタートした。
長い廊下に一列に並んだ座席の上に置かれたコレクションノートに記された今シーズンのテーマは“勇気(Courage)”。「心、謙虚さ、感謝の心に導かれ、私は恐れが敵ではなく、創造性、誠実さ、そして人生に不可欠な伴侶であることを理解した。自由があるからこそ、私たちは限りなく夢を見て想像し、批判や失敗を恐れずに脆さをさらけ出す(以下略)」と続いている。
シンプルなアイテムを際立たせるデフォルメされたシルエット
お馴染みフィリップ・グラスの旋律が流れる中、ランウェイに登場したのは、ボディーアーマーのように身体を保護したニットにボリューム感のあるハイウエストパンツという誇張されたスタイル。ポインテッドトゥのパンプスも不自然なほどにつま先部分が前に突き出している。ここ数シーズン、マークが見せたワンダーランドの続章とも言えるデフォルメされたシルエットで、ダイナミックさを表現したコレクションだ。中綿の入ったローゲージのニットとコーデュロイパンツの組み合わせやノルディック風のニットと丸くパターン取ったスカート、中綿を入れてボリュームを出したトレンチのように、派手さのないアイテムは大袈裟にデフォルメさせることで存在感を出している。こういった、一点投入することでスタイリングにメリハリを付けることができるアイテムも、パワフルなシルエットでありながらデザイン自体はシンプルなものが多く、店頭でも需要がありそうだ。
マークは毎シーズン、勇気を味方につけてドリーミーな世界観と新たなクリエーションを行ってきた。ここ数シーズンは誇張されたプロポーションを作ることで新たな世界観を形成しているようにも感じられる。ツンと極端に上を向いたポインテッドトゥのブーツ、逆に丸く膨らんだトゥのプラットフォームパンプスなど、滑稽さがアクセントになるアクセサリーの合わせもマークの常套句だ。パット・マクグラス(Pat McGrath)によるメイクもマークの紡ぐ物語に登場するキャラクターの存在感を強めている。
後半は大きなボウを胸元にあしらったガーリーなドレス、アニマル柄のパッド入りコートドレス、丸く膨れ上がったビッグスパンコールのドレスが続く。フィナーレは違った色味の赤でまとめた彫刻のような、それでいて軽さもあるドレスで、お伽話のような夢見心地な世界を締めくくった。フィナーレに現れたデザイナーのマーク・ジェイコブスは深々とお辞儀をし、そっと歩きながら袖へと消えた。コレクションノートの冒頭に記された一文を体現したような謙虚さの表れる振る舞いに心打たれた。
3月30日発売の「WWDJAPAN」は、2026-27年秋冬東京コレクションの特集です。他にも「バーバリー」のジョシュア・シュルマンCEOや、そごう・西武の田口広人・社長へのインタビューを掲載。エスティ ローダーとプーチが合併協議など話題を豊富に収めています。