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2025年春夏メンズの見どころ
2025年春夏シーズンのメンズ・ファッション・ウイークのラインアップがそろいました。注目のトピックスは数あれど、ミラノではサバト・デ・サルノ=クリエイティブ・ディレクターの2シーズン目となる「グッチ」メンズや、新デザイナーによる「モスキーノ」、ロンドンから乗り込んできた「ダンヒル」「マーティン ローズ」、そしてミラノメンズにいつも活力を注入してくれる「MSGM」の15周年を祝す男女合同ショーなどに注目です。パリでは、やはりドリス・ヴァン・ノッテン本人が手掛けるラストショーでしょうか。
そして、昨今のコレクション取材を取り巻くセレブリティ論争についても作戦会議を進めています。特に業界内からの「メディアはセレブばかりでコレクションのことを報じない」という意見を真摯に受け止めながら、コレクションのことやデザイナーの思いも報じている記事をどのように見つけてもらうかを考えないといけません。僕が知っている限り、コレクションのことを“ちゃんと”報じているメディアは3媒体はあります。SNSから流れてくる一部の情報だけでなく、能動的に探してもらえるようなコンテンツを次シーズンも発信していきたいです。
6月のミラノ・メンズコレはロンドン勢の参加増 「MSGM」は15周年を祝う男女合同ショー
2025年春夏ミラノ・メンズ・ファッション・ウイーク(以下、ミラノメンズ)が6月14日に開幕する。公式スケジュールの5日間に19ブランドがショーを開くほか、42ブランドがプレゼンテーションを行う。なお、パリ・メンズ・ファッション・ウイーク初日と被る最終日の18日は、デジタル発表のみとなる。
今年ブランド設立15周年を迎える「MSGM」は、男女合同ショーを開催。「モスキーノ(MOSCHINO)」は、1月にクリエイティブ・ディレクターに就任したアードリアン・アピオラッザ(Adrian Appiolaza)による初のメンズ・コレクションを披露する。
また、今シーズンはロンドン勢の増加が目立つ。22-23年秋冬からミラノメンズに参加している「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」に加え、「マーティン ローズ(MARTIN ROSE)」と「ダンヒル(DUNHILL)」がショーを計画。「デヴィッド コーマ(DAVID KOMA)」も初のメンズをプレゼンテーションでお披露目する。
そのほかのラインアップは大きく変わらず、「プラダ(PRADA)」や「グッチ(GUCCI)」「フェンディ(FENDI)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」「ゼニア(ZEGNA)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「ディースクエアード(DSQUARED2)」などがショーを実施。「トッズ(TOD’S)」や「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」「ブリオーニ(BRIONI)」「シーピー カンパニー(C.P. COMPANY)」「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」「セッチュウ(SETCHU)」などはプレゼンテーション形式で新作を発表する。
“ロリィタの聖地”でジャスコが16年ぶりに復活 「下妻物語」20周年イベントで
茨城県下妻市のイオンモールが、5月25、26日の2日間限定でかつての姿であるジャスコに変わった。「イオン」の屋外看板が「ジャスコ」になり、さらに店内ではテーマソング「ジャスコで逢いましょう」が一定時間おきに鳴り響く。親会社のジャスコは2001年に企業名をイオンへ変更したことに伴い、11年までに傘下の総合スーパーの名前をジャスコからイオンに統一したが、下妻店は08年に名称変更に対応している。実に16年ぶりの懐かしい光景にタイムスリップした。
同イベントの仕掛け役は、イオンモール下妻店社員が中心の「ロリィタの聖地しもつま 実行委員会」だ。下妻の知名度を世界的に広めた映画「下妻物語」を覚えているだろうか。ロリィタファッションをこよなく愛する高校生の竜ヶ崎桃子(深田恭子)が、偶然の出会いから地元暴走族の白百合イチゴ(土屋アンナ)と友情を育むコメディーである。フランスやアメリカでは「カミカゼ ガールズ(KAMIKAZE GIRLS)」のタイトルで知られるヒット作だ。劇中で登場人物らがジャスコについて言及する場面がある。同作が今年で公開20周年を迎えることを受けて、地域活性化を図るためイオンモール下妻店の社員たちが実行委員会を結成した。
作中で“ダサい”扱いのジャスコ
なぜイベントの舞台に?
「下妻物語」は、ジャスコを“ダサい”店の象徴として、ネガティブに描いている。例えば、ロリィタファッションを代表するブランド「ベイビーザスターズシャインブライト(BABY, THE STARS SHINE BRIGHT以下、ベイビー)」の社長が、主人公・桃子の刺しゅうスキルを見込み、商品サンプルへのデコレーションを依頼する場面がある。桃子はプレッシャーを感じて引き受けるかどうか迷う中、ヤンキーのイチゴは、「それを作らなきゃ、それを着たい人はどうするんだよ。ジャスコで済ますしかねぇじゃんか」とジャスコを引き合いに出しながら、背中を押す。
劇中では“ダサい”店として登場するジャスコで、「下妻物語」の名を掲げたイベントを開催することに対して、反対の声はなかったのだろうか。内山学実行委員長は「楽しく捉えているので大丈夫。いじられるのも悪くないし、地域活性化になる。映画『翔んで埼玉』と同じ」と笑った。また、イオンモール下妻の山下大毅営業担当も、「下妻を映画の舞台で終わらせるのではなく、“ロリィタファッションの聖地”にしたい。ここではロリィタの洋服を着ていても、もはや誰も驚かないくらいの環境にできたら」と続けた。
原作者・嶽本野ばらが審査員
ロリィタファッションショー
イベント当日は、ジャスコの至る所で、ロリィタファッションに身を包んだ女性たちが買い物を楽しんでいた。中には親子連れも多く、ロリィタの世界の裾野の広さを垣間見た。原作者・嶽本野ばらのサイン会イベントや、土屋アンナの登場によって会場が騒然となったトークショー、ロリィタファッション体験会を開催したほか、映画の記念品展示コーナーなどを設けたり、駐車場にキッチンカーを何台も手配したりと、コンテンツも豊富に用意した。
中でも面白かったのは、25日に実施したロリィタファッションショーだ。事前エントリーしたロリィタファッション愛好家15人が、館内の特設ステージに一人ずつ上がり、ポージングをしながら自己アピールをする。それを嶽本野ばらが審査し、最も素晴らしいロリィタを決定するという内容だ。
ロリィタファッションをまとって現れた嶽本は、「自分を貫くに値するお洋服だからこそ、僕はロリィタファッションにこだわってきた」と語り、「今日はそのような点も含めて審査したい」と意気込んだ。ショーの合間にはトレンドや歴史に触れ、「最近はロリィタ高齢化問題が話題になっている」「この格好をする人は僕のガチファンだから、甘く評価したい」などと、随所にユーモアを散りばめて会場の笑いを誘った。
優勝したのは、愛知県からエントリーしたというみるんさん(仮名)だ。嶽本は「(『ベイビー』の人気キャラクターである)“うさくみゃちゃん”を身につけた王道のロリィタ。幅広のヘッドドレスを付けて、トレンドをうまく取り入れている」と賞賛した。イベント後、近隣の境町から来たという山田りんご(仮名)さんに感想を聞くと、「いろいろなジャンルのロリィタさんが見られて、とても参考になった」と満足げだった。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。