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LVMHファッショングループという多様な組織

直下で紹介する記事ですが、マイケル・バークさんがLVMH会長顧問になるという情報より、「『フェンディ』もLVMHファッショングループに含まれる予定」という件に驚きました。これで「ルイ・ヴィトン」と「ディオール」以外のファッション系ブランドは、ほとんどがLVMHファッショングループ傘下になります。

LVMHは最近、数多のブランドの中でも「ルイ・ヴィトン」と「ディオール」をますます強くという戦略に移行している気がします。その中でLVMHファッショングループに属していなかった「フェンディ」を組み込み、こちらはマイケル・バーク新顧問がまるっと監修、ということでしょうか?

「ルイ・ヴィトン」と「ディオール」というスーパーメガブランドは個々に育て、「フェンディ」や「ロエベ」は全体としてバラエティ豊かに育てる。そんな戦略を思い描いている気がしますね。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

LVMHでまたも人事シャッフル アルノー会長の“腹心”2人が新たな役職に

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は18日、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)の相談役として、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ会長兼CEOを任命した。後任には、マイケル・バーク(Michael Burke)LVMH会長顧問を任命。いずれも2月1日付で就任する。

トレダノ新相談役は、理工学系の難関校エコール・サントラル・パリ(Ecole Centrale Paris)を卒業後、マーケティング・コンサルタントとしてキャリアをスタート。1984年にランセル(LANCEL)のマネージング・ディレクターとなったことを機に、レザーグッズ事業の面白さに開眼したという。94年には、レザーグッズ部門のディレクターとしてクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)に入社。98年に同社の会長兼CEOに就任した後、アルノー一族の持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のバイス・プレジデントや、マネージング・ディレクター兼取締役にも就任。2018年2月に現職に着任し、「セリーヌ(CELINE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ロエベ(LOEWE)」「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」「ケンゾー(KENZO)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「パトゥ(PATOU)」などのブランドを統括。23年4月には、新たな役職に就くことが発表されていた。なお、今回の人事に伴い、トレダノ新相談役はLVMHの執行委員会を離れる。

バーク新LVMHファッショングループ会長兼CEOは、フランスの名門ビジネススクールとして知られるEDHEC経営大学院(EDHEC Business School)を卒業。アルノー一族の持株会社グループ アルノー(GROUPE ARNAULT)に入社後、1980年代半ばから2010年代にかけて「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ブルガリ(BVLGARI)」とLVMHが擁するブランドの要職を歴任。13年から23年1月までルイ・ヴィトンの会長兼CEOを務め、同年2月から現職。21年には、ティファニー(TIFFANY & CO.)の取締役会の非業務執行会長にも就任している。なお、バーク新LVMHファッショングループ会長兼CEOは今後より幅広い業務を手掛けることが期待されており、「フェンディ」もLVMHファッショングループに含まれる予定だという。また、12月に退任した「ジバンシィ」のマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)前クリエイティブ・ディレクターの後任を探すことも、優先順位の高い業務の1つと見られている。

LVMHではここ数年、人事シャッフルが続いている。22年には、当時クリスチャン ディオールSEのトップだったトレダノCEOが退任したことを受け、アントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージが後任としてCEO兼副会長に就任。23年2月には、バーク=ルイ・ヴィトン会長兼CEO(当時)の退任に伴い、後任にピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO(当時)が就任。その後任には、デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデント(当時)が就任した。また、24年1月1日には、LVMHウオッチ部門のCEOにフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)=タグ・ホイヤー(TAG HEUER)CEO(当時)が就任している。なお、デルフィーヌはアルノーLVMH会長兼CEOの長女、アントワンは長男、フレデリックは三男。

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NEWS 02

リシュモン、傘下YNAPの株式100%売却も視野に 23年10〜12月期決算は日本やアジアが堅調

カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「クロエ(CHLOE)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2023年10〜12月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比3.5%増の55億9300万ユーロ(約8836億円)だった。

地域別に見ると、欧州は同3.9%減の12億2600万ユーロ(約1937億円)だったものの、日本を除くアジア太平洋地域は同7.7%増の20億4900万ユーロ(約3237億円)、日本は同7.7%増の5億1400万ユーロ(約812億円)、南北アメリカは同2.6%増の13億5500万ユーロ(約2140億円)と堅調だった。これは中国、日本、北米でジュエリーの需要が旺盛だったためだという。

リシュモンは、傘下のラグジュアリーEC大手ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)の株式の47.5%を、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)に売却する予定だった。しかし、取引が成立する前にファーフェッチが経営破綻の瀬戸際にあることが明らかになり、23年12月に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)が買収。これを受け、リシュモンは取引を中止した。

ブルクハルト・グランド(Burkhart Grund)=リシュモン最高財務責任者は、今回の決算発表の際、同社が「YNAPの新たな支配株主を探して」おり、株式を100%売却することも検討していることを明らかにした。また、すでに複数の一方的な買収案が寄せられていることから、12カ月以内に売却する「妥当なチャンス」があるとした。なお、現在は非継続事業として記載されているYNAPの第3四半期の売り上げは、同14%減(現地通貨ベースでは同11%減)だった。

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NEWS 03

伊藤忠が幹部人事制度を刷新、経営幹部の女性登用拡大と若返り狙う

伊藤忠商事は1月18日、新たな人事制度と幹部人事を発表した。各部門のトップであるカンパニープレジデントやCxOなどの重要役職を除き、執行役員は任期は2年になり、任期終了後は全員退任する。新たな役職として上席理事を新設し、継続あるいは他の職務に就く場合のみ上席執行理事になる。また、カンパニープレジデントやCxO職などの重要役職は今後、上席執行理事やグループ会社に移籍した元執行役員の中から登用する。

繊維、あるいは繊維出身者関連では、繊維出身で現秘書部長の西口知邦執行役員(56)が上席執行理事に就任。新たな執行役員にレリアンやエドウインで社長を務め、現・第8カンパニープレジデントの小谷建夫(おだに・たつお)氏(59)や、2020年4月から東アジア繊維グループ長兼伊藤忠繊維貿易(中国)董事長を務めている三村剛(みむら・ごう)氏(56)が就任する。三村氏は、ファッションアパレル部門長に就任する。いずれも4月1日付。なお、現ファッション・アパレル部門長の中西英雄氏(66)の去就は現時点では非開示。

また、女性社員のみを対象とした執行役員の選考ルールを新設する。選任されると全社的な経営に関わる機会を付与する。4月1日付で新たに5人の女性執行役員を登用し、6人体制とし、執行役員の女性比率は16%、全役員に占める女性比率は21%に拡大する。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。