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どう使うかはアイデア次第

生成AIの得意なコトのひとつに「バリエーションを作る」というのがありますが、その特性をうまく使いこなしたのが、豊島です。基本のプリント柄にキーワードを加えるとバリエーションが出てきて、ほしいイメージを具体的に提案してくれます。

無限にバリエーションを作ってくれる画像生成AIですが、「え?(全然違うんですけど……)」というのも出してきます。うまくできたものを人が選んで、編集しているのが「感性AI柄」システムのよくできたところです。システム自体を要望する声にも応えるのは、さすが商社!

どの企業の取り組みも「なるほど!!」でした。生成AI特集、ぜひチェックしてください。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

キーワード選択でプリント柄のバリエーションを提案 豊島の生成AI活用

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PROFILE: 加藤諭/デザイン企画室課長

加藤諭/デザイン企画室課長
PROFILE: (かとう・さとし)2003年、豊島に入社、製品営業に配属後、23年7月からデザイン企画室。TOYOSHIMA CREATION LABOの運営からファッションとデジタルを融合した新しい業務までを担当 PHOTO : SHUHEI SHINE

繊維商社の豊島は、テキスタイルの柄のバリエーションをAIで生成して提案する「感性AI柄」システムを開発し、7月の2024年春夏展示会で導入した。「どんな花柄にするか困っているクライアントと、もっと提案できるグラフィックをたくさん作りたいというデザインチームからの悩みを、『生成AIを使えばこんなことができそう』とデジタルチームが一緒に議論していく中で、このサービスが生まれた」とデザイン企画室の加藤諭課長。デザイン企画室は、年4回の製品展示会を行う企画チームと3DCGやAIを扱うデジタルチームが協業して、クライアントの課題要求に応えるサポートをしている。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月30日号からの抜粋です)

要望を体系化し、最適解を提案できる仕組み作り

「感性AI柄」システムへの反応は上々だ。「これまではクライアントの要望を聞き取り、デザイナーに伝えて、案を提出してイメージを確認してきたが、これを使うと話が早く、労力と時間を短縮できる。実際に生地の柄に採用されたものもある」。システム自体を要望する声もあり、個別に対応したという。さらに社内における生成AI活用の起爆剤にもなった。「『今、こんなことができるんだ』ということを、社の全営業が理解することになったのは大きかった。活用アイデアがどんどん挙がってきている」。

柄やデザインのバリエーションはAIで無限に生成できるが、実際に製品化するとなると、ハードルが高いこともある。「『これを作りたい!』というデザインを生成できても、見えていない部分を考えなければならないし、工場に指示をする段階で難航するなど、余計に時間がかかっていた。ある段階からは別のソフトを使うといったルート作りが必要だ」。

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NEWS 02

売れ残り品に商品タイトルと適正価格を提案 メルカリの生成AI活用

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PROFILE: 石川佑樹/執行役員VP of Generative AI / LLM

石川佑樹/執行役員VP of Generative AI / LLM
PROFILE: (いしかわ・ゆうき)東京大学卒業後、2012年任天堂入社。14年にモイ(ツイ キャス)に入社し、各種開発や新規立ち上げに従事。17年6月メルカリグループのソウゾウ(旧)に入社。その後、メルカリへ異動を経て、20年7月からメルペイ執行役員VP of Product。21年1月からソウゾウ代表取締役CEO。22年7月からメルカリ執行役員VPを兼任 PHOTO : SHUHEI SHINE

日本最大のフリマサービスを展開するメルカリ(mercari)は5月、生産性向上やプロダクト実装による課題解決を目指し、グループ内横断の生成AI/LLM専門チームを設けた。「昨年夏に『ステーブル・ディフュージョン』に触っていたが、その後『ChatGPT』が“推論”することに、衝撃を受けた。会社として活用に取り組むべきだと提案した」と石川佑樹執行役員VP of Generative AI/LLMは語る。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月30日号からの抜粋です)

“簡単に出品でき、早く高く売れる”をサポート

チームのミッションは大きく2つある。1つがフリマサービス「メルカリ(MERCARI)」や「メルペイ(MERPAY)」などの金融サービスでの顧客体験の向上と事業インパクトの最大化、もう1つが全社の生産性の劇的な向上だ。

まず始めたのは、社員が自由に生成系AIを利用できる環境作りだ。「ChatGPT」を社内用に自社でカスタマイズし、社員約2000人に開放。社内の機密情報を入れてもいい状態にした。現在はGPT-4とPaLMにも対応している。「これまで機械学習のチームしか扱えなかったAIが、一般のエンジニアも触れるようになり、AIの民主化が起こった。学習させる方法などノウハウは必要なので、ハッカソンを行って、日々の業務への活用を促している」。

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NEWS 03

生成AIは人類の蝶?! その特徴とビジネス活用における課題とは?

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生成AIは人類の蝶?! その特徴とビジネス活用における課題とは?

Fly Higher with AI

「言葉を入れるだけで、文章や画像を生成する」――生成AIの登場は、移動の手段が馬から車に変わるほどのインパクトと言われている。果たして私たちのビジネスにはどんな影響をもたらすのか。生成AIの特徴と課題をまとめる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月30日号からの抜粋です)

AI研究の第一人者であるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)博士は3月15日、自身のツイッター(現X)にこう投稿した。

“Caterpillars extract nutrients which are then converted into butterflies. People have extracted billions of nuggets of understanding and GPT-4 is humanity's butterfly.”(青虫は栄養を取り入れ、蝶へと変わる。人々は数十億もの知識のかけらを取り出してきた。GPT-4は人類の蝶だ)。

人々が持っている知識や経験を、青虫が摂取する栄養素に例え、それが、GPT-4のようなAIモデル(蝶)に集約・転化されているというメタファーだ。

蝶は変容と変化の象徴だが、青虫は蝶になる過程のサナギの中で体のほとんどすべてが溶けてドロドロになり、そこから蝶の体へと再構築するという不思議な変態をする。この様子がまさに大規模言語モデル(LLM)に似ているというわけだ。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。