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話題性ばっちしな「モス越」

これ、行きたいんですよね!本日1本目の記事で紹介している「モス越」のことです。三越とモスバーガーをドッキングしたロゴも作っていて(冷静に考えると、ロゴをいじるって結構すごい)映えているし、何より美味しそうです。実際の味わいがどんな感じなのかは、ぜひ記事を参照ください。読めば食べたくなること請け合いです。

先日、あるファッションディレクターを取材していて、「この仕事をしているのによくないんだけど、近ごろ物欲がなくなってしまって、旅など体験することに興味がある」という話が出ました。私も身に覚えアリ。恐らく、世の中もそういう人多いのでしょう。そこに対し、食という体験や、記事2本目のバスツアーなどは、うまく練られた良い企画だなぁと感じます。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

「モス越」が9月6日オープン!三越銀座店が「モスバーガー」を指名した理由

三越伊勢丹の三越銀座店と「モスバーガー」を展開するモスフードサービスがコラボレーションし、三越銀座店のデパ地下に入るさまざまな飲食店も巻き込んで共同開発した“ここでしか食べられない”スペシャルなハンバーガーを提供する店舗「モス越」が期間限定でオープンします。9月6〜19日まで、三越銀座店の新館9階にある銀座テラス/テラスルームに店を構えます。このほど、メディアを対象とした発表会を開催し、一足先にハンバーガーを試食してきたのでリポートします。

銀座三越「日本発のハンバーガー屋さんとコラボしたかった」

実際の食レポに入る前にひとネタ挟ませてください。今回の企画は老舗百貨店とハンバーガー店のコラボということで話題性抜群ですが、三越銀座店といえば、1971年に「マクドナルド」の日本1号店がオープンした場所。休日には銀座の歩行者天国でハンバーガーを片手に持ち、食べ歩く人が多くいたそうです。正直、このことから三越銀座店がハンバーガー店とタッグを組むなら、「マクドナルド」という選択肢があったのでは?と個人的には疑問に思っていました。

なぜ協業相手は「モスバーガー」だったのか。発表会に登壇した小泉雅昭銀座三越 営業第1部バイヤーが、「日本発のハンバーガー屋さんとコラボしたくて、安心安全な食品を提供している『モスバーガー』にオファーした」と語っているのを聞いて納得。確かに、日本発のバーガーチェーンとなると、「モスバーガー」が一番先に頭に浮かびます。中村栄輔モスフードサービス社長も「三越伊勢丹とは、お客さまや商品に向き合う姿勢に共通する点が多く、親和性の高さからコラボレーションすることになった」と話していました。

銀座クオリティーの“テリヤキバーガー”を試食

今回私が試食した「モス越」のハンバーガーは、各日300点のみ提供する“銀座テリヤキバーガー”(1601円)。パティは黒毛和牛を使用し、照り焼きソースには三越銀座店の地下にも店舗がある日本料理の老舗「なだ万厨房」の出汁を使用しています。月に一度は必ず「モスバーガー」に行っている私は、今回の試食をとても楽しみにしていました。

バーガーを持ってみると重量感があり、パティが見えないほどフレッシュなレタスがたっぷりと入っています。ジューシーな黒毛和牛のパティと、フレッシュなレタスやトマトの組み合わせのバランスがちょうど良く、どんどん食べ進められてしまいます。注目の照り焼きソースは、「モスバーガー」の通常商品の“テリヤキバーガー”(単品430円)よりも出汁の旨味を感じる高級感のある味わいでした。

1601円と通常のハンバーガーよりも高めの価格設定ですが、十分なボリューム感に加え、こだわりの食材と原料を使用しているので、この金額を払う価値はアリ。「モスバーガー」でランチをする際は必ずドリンクとポテトのセットを頼んでいる私ですが、今回はこれ一つで満腹になりました。同商品は期間中常時販売していますが、1日300個限定なのでお早めに!

食の銘店とタッグを組んだ5種類のバーガーも

試食はしていませんが、今回発売するほかのバーガーの実物を見てきたのでご紹介します。

“白姫えびのかき揚げライスバーガー”(1601円)

販売期間:9月6〜12日
販売数:各日200点

鹿児島県産の白姫えびを使用したかき揚げと天ぷらが乗ったライスバーガー。三越銀座の地下に入っている「天一」で、かき揚げを揚げているそうです。ソースは、「なだ万」のすき焼きの割り下を使用。ライスバーガーの米は、新潟県産コシヒカリで作っています。ライスバーガーから大きくはみ出るかき揚げのボリュームに驚きました。

“ローストビーフバーガー”(1801円)

販売期間:9月6〜12日
販売数:各日200点

黒毛和牛のパティの上に、「ロースト ビーフ I.T.O」のローストビーフをふんだんに乗せたハンバーガー。すっきりとした辛味を感じる、西洋わさびのソースを挟んでいます。結構高さがあるので、口が小さい人は食べ辛そうな気もしますが、満足感は一番ありそうです。

“すき焼だし巻き玉子ライスバーガー”(1801円)

販売期間:9月13〜19日
販売数:各日200点

ライスプレートを3枚使用した、まるでお弁当をハンバーガーに変身させたような商品です。「浅草今半」のすき焼き、「つきぢ松露」の甘口の出汁巻き卵、「銀座若菜」のおかか生姜を挟んでいます。今回のラインナップの中で唯一、3社のコラボレーションが実現しています。

“真鯛カツバーガー”(1601円)

販売期間:9月13〜19日
販売数:各日200点

“真鯛カツバーガー”は、昨年「モスバーガー」で期間限定で販売していた商品を「モス越」仕様にパワーアップ。長崎県産天然真鯛のフライに、「銀座若菜」のたくあんと柴漬けが入った和風のタルタルソースを組み合わせました。個人的に一番食べてみたい商品はこちら。ボリューミーなフライに漬け物のタルタルソースという組み合わせと聞くだけでも、お腹が空いてきます。

“フルーツケーキサンド”(1601円)

販売期間:9月6〜19日
販売数:各日70点

「パティスリー モンシェール」のケーキをバンズにして、大きめのフルーツと生クリームをたっぷり詰め込んだ一品です。挟まっているフルーツが一週間ごとに変わるのが特徴で、6〜12日はキウイ、白桃、パイン。13〜19日はシャインマスカット、ぶどう、マンゴー。デザートまでもハンバーガースタイルで楽しめてしまう商品です。

期間限定で開催している「モス越」。普段は味わえないスペシャルなハンバーガーを用意しているので、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。今後のコラボレーションについては検討中とのことですが、期待して続報を待ちたいと思います。

■「モス越」
日程:9月6〜19日
時間:10:00〜20:00 ラストオーダーは各日終了30分前まで(最終日のみ16:00まで)
場所:銀座三越 新館9階 銀座テラス/テラスルーム
住所:東京都中央区銀座 4-6-16

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NEWS 02

ロンハーマンが独創的なバスツアー ソーラーシェアリングでヒマワリ収穫体験

セレクトショップが顧客向けに行う体験型イベントが数多くあるが、ロンハーマン(RON HERMAN)が8月に実施した顧客ツアーは珍しい内容だった。「ステラ マッカートニー」とのコラボで同ショップが企画したのは、千葉県匝瑳市にあるソーラーシェアリングへのバスツアーだ。ソーラーシェアリングとは発電と農業を同時に行い、太陽光をシェアする取り組みのこと。ツアーでは専門家からその仕組みを学び、不耕起栽培で育った大豆のアイスを味わい、畑のヒマワリ収穫を体験した。

このツアーは、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」とのコラボTシャツの発売を記念し企画された。Tシャツは、環境再生型農業により栽培されたコットンを使用し、「climate optimist」のメッセージと「ロンハーマン」のスローガン「Love for Tomorrow」をハート型の地球で描いている。ツアーには、同Tシャツの購入者などが参加した。

貸し切りバスは、朝8時にロンハーマン千駄ヶ谷店を出発し、約2時間で千葉県匝瑳市に到着。見渡す限り広がる青空と緑。その中に、太陽光パネルと畑が点在している開放感ある土地だ。ここでソーラーシェアリング事業を運営しているのは市民エネルギーちばで、ロンハーマンは同社とみんな電力と協業し2021年に1号機を開設した。ほかには、パタゴニア日本支社などが開設している。米国西海岸とゆかりが深い2社が同タイミングで千葉県の自然豊かな土地で新しい取り組みを始めた点が興味深い。

「ステラ マッカートニー」によるエシカル講座で再生型農業を知る

畑でのツアーは、仮設テントでのレクチャーからスタート。挨拶に立った根岸由香里ロンハーマン事業部長兼ウィメンズ・ディレクターは、「今日もとても暑い。気候変動を日々実感する中で、企業として取り組みたいアクションは多い。ソーラーシェアリングもその一つ。体験を通じて前向きなエネルギーを受け取ってほしい」と、その意義を語った。続いて、ステラ マッカトニー ジャパンによるエシカル講座を開催。コラボTシャツに採用した環境再生型農業についてなど、参加者との対話を通じてフレンドリーにレクチャーを進めた。

続いて場所を畑に移して、市民エネルギーちば宮下朝光・環境事業部本部長がソーラーシェアリングについて解説した。同社は2014年に設立され、千葉県初の35kWの市民共同発電所を開設した。宮下本部長は、以前はここが痩せた耕作放棄地であったこと、今は売電と大豆や麦の有機農業を行いミミズが増えてきたこと、使用する太陽光パネルは遮光率が3分の一程度で作物に太陽光が十分に届くことなどを説明。濃い緑色の大豆の葉が目の前で揺れる姿を見ながら聞くと説得力がある。

不耕起栽培の野菜を使ったビーガンプレートやソイアイスクリームを堪能

ロンハーマンのもう一つのソーラーシェアリングではヒマワリが満開だった。参加者はヒマワリを収穫しながら、農業法人Three little birdsの佐藤真吾代表社員からソーラーシェアリングの下での有機農業とは、について学んだ。収穫しないヒマワリはそのまま緑肥として使用すること、有機農業で土壌を回復させつつ、さらに不耕起栽培に切り替えていくことで大気中からCO2を吸収しカーボンニュートラルへ貢献するということ、収穫しきれないヒマワリも土壌の役に立つことを知ると安心して花束作りを楽しむことができる。

汗をかいた後は近くの集会所でランチを楽しんだ。見た目も美しいビーガンプレートを提供したのは、神奈川県茅ヶ崎のハチイチ農園で、彼らも不耕起栽培で野菜を育てている。夏野菜のグリルや野菜で作ったソースは味が濃く、満足度が高い。デザートのソイアイスクリームは、ロンハーマン匝瑳店で不耕起栽培された大豆を使用していてこれもまた濃厚だった。

レクチャーの締めは、東光弘・市民エネルギーちば代表取締役との対話だ。エネルギッシュな活動で多くの人に影響を与えている東代表はとオープンな語り口でこれまでの活動や展望を語る。痩せた土地の上に新事業を立ち上げるとは、多くの苦労があったに違いないと想像するが、東代表はとにかく未来志向。「楽しい」と話し、「日本の畑の18%がソーラーシェアリングになれば、現時点での日本の消費電力はまかなえる」とその展望を語る。

ロンハーマンは、将来的にこの農地で育った小麦を使ったパンを作って販売したいという。取り組む対象は大地だけに、収穫物や成果を得るには時間がかかるに違いない。東代表取締役は以前「WWDJAPAN」とのインタビュでー、ソーラーシェアリングを始めるには「①お金」「②設備」「③農業」「④物語」の4つの要素が必要。多いのはお金の質問だが、優先度は④から②の順番で、それさえ整えば①は自ずとついてくるというのが私の考え」と話していた。大地を覆う一面の太陽光パネルを見て、圧迫感を覚えることは多い。だが、ソーラーシェアリングにはむしろ牧歌的なムードが漂う。違いはそこに共創の概念があるか否かだろう。ツアーは共創の物語の一端に触れるものだった。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。