ファッション

「マルティニーク」に一目ぼれ【メルローズと私vol.1 ビルダーズ代表・安田耕司さん】

1973年創業のメルローズは今年50周年を迎えた。「マルティニーク(MARTINIQUE)」「ティアラ(TIARA)」「ピンクハウス(PINK HOUSE)」 など個性豊かなブランドを運営する同社とゆかりの深い人たちによる新連載「メルローズと私」を開始する。1回目は大手デベロッパーの三菱地所の在籍時に数多くの商業リーシングを手掛けてきたビルダーズの安田耕司さん。街づくりの仕掛け人から見たメルローズの姿とは?

「カッコいい大人たち」が作る
魅力的なブランド

私は長く商業のリーシングを担当してきて、たくさんのアパレル企業と仕事をしてきました。中でも白金のビギグループ(現ビギ ホールディングス)の方たちの記憶は鮮烈です。創業者の大楠祐二さんを筆頭に、とにかく皆さん素敵なのです。ファッションだけではなく、遊びや趣味も洗練されていて、たくさんのことを教えていただきました。サラリーマンっぽくないというか、仕事を含めたライフスタイル自体がカッコよかったのです。そんな人たちが作るブランドだからあこがれの対象になるのだと感心しました。

2000年前後、私は東京・丸の内の街づくりに奮闘していました。オフィスしかなかった丸の内をショッピングや食事も楽しめる 街へと作り替える。そのためにファッションは重要な要素です。丸の内のブランド価値を上げてくる店はないだろうか。リサーチを続ける中で、当時の部下だった武井哲也君に紹介されたのが代官山に開店したばかりの「マルティニーク」でした。

足を踏み入れた瞬間、「なんて素敵な店だろう」と興奮しました!並んでいる服が素晴 らしいのはもちろん、売り場の内装の細部までこだわりがあり、ストーリー性を感じさせる。洗練された大人の女性のライフスタイルが想像できるのです。すっかり一目惚れしました。

「みんなで面白いことやろうぜ」
の社風

「マルティニーク」を仕掛けたのは、メルローズの武内一志さん(後にメルローズ社長、現在はビギホールディングス社長)でした。私は武内さんに熱烈なラブコールを送りました。ファッションビルの中ではこの世界観は出せないと考え、丸の内のメインストリートである仲通りの路面店に誘致しました。当時の丸の内はショッピングストリートとしては黎明期。今のようにファッションのお店がずらっと軒を連ねているわけではありません。新しく出店するのはチャレンジングな決断だったと思います。「マルティニーク」 は成功を収め、丸の内の活性化に大いに貢献してくれました。

全国の街づくりを手がけてきて痛感するのは、街のエネルギーを生むのは携わる人、そして店の魅力に他ならないということです。ビジネスだから収支が大事なのはその通りですが、資本の論理だけでは割り切れない。収益性だけで推し進めると、全国どこも同じような街になってしまうのです。

先ほど「サラリーマンっぽくない」と言いましたが、ビギグループからメルローズに連綿と感じるのが、仕事だからと自分を殺して頑張るのではなく、仕事を自分の楽しみや喜びにしてしまうDNAみたいなものですね。良い意味での公私混同といえるかもしれません。好きなことを仕事としながら「みんなで面白いことやろうぜ」みたいな社風は、今の 時代こそすごく大切なように思えます。大楠さんとその世代の先輩方や武内さんはそうだったし、現役の若いスタッフもそうあってほしい。お客さんはそれを敏感に感じとります。代官山の「マルティニーク」に私が感じた魅力も、それを源にしていたのでしょう。

問い合わせ先
メルローズ
03-3464-3310(代表)