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エントリー商材という考え方

 ビューティの編集をしていると、記事を書く際、“エントリー商材”という言葉をよく使います。例えばメンズコスメカテゴリーで、メイクアイテムを使ったことがない男性に対して、「メンズメイクの魅力を知ってもらうために、扱いやすくて目立たないコンシーラーはエントリー商材として最適」といった感じで使います。ヘアサロン専売品を使ったことがない人に対して、「このシャンプーはコスパが良くて、サロン専売品のエントリー商材として提案しやすい」といった感じで、あらゆるジャンルで使用可能です。

 私はこの“エントリー商材”という考え方は、とても大事だと思っています。“食わず嫌い”という言葉がありますが、化粧品に関しても「使ったことがないのにイメージだけで避けている」「使い慣れたアイテムだけを使い続けていて、きっかけがないと新たなチャレンジをしない」というユーザーがいかに多いことか。「1」を「10」にするよりも、「0」を「1」にするのが大変で、それを助けてくれるのが“エントリー商材”。市場を盛り上げてくれるキーワードだと思っています。

 ファッションでも、記事の中に同じ考え方を見付けました。エントリーしやすい軽量な装備を追求する“ウルトラライト(UL)ハイキング”という新しい登山カルチャーが広がり、登山人口の若返りが進んでいるとのこと。それをけん引する「バンブーシュート」は要注目だと思います。

「WWDJAPAN」 ヘッドリポーター
中村 慶二郎
NEWS 01

ファッションとギアをミックス提案「バンブーシュート」 フラットで自由なUL観

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軽量な装備を追求する“ウルトラライト(UL)ハイキング”という新しい登山カルチャーが広がり、登山人口の若返りが進んでいる。そんな中で、大手メーカーが作る製品では満足できない個人などの小規模事業者が、文字通り自宅ガレージなどで立ち上げた中小ブランド“ガレージブランド”の存在感が増している。ULハイキングのギアを幅広く取り扱う小売店もあり、そこでしか手に入らない品ぞろえやコミュニティー作りで強いファンを作っている。(この記事は「WWDJAPAN」5月8日号からの抜粋に加筆しています)

中目黒の「バンブーシュート(BANBOO SHOOTS)」は、本格的なマウンテンギアとファッションを織り交ぜた提案がユニークなセレクトショップだ。1998年の店舗オープンからバイヤー、店長を務め、現在のスタイルを築き上げたのが甲斐一彦バンブーシュートディレクター。ここ数年ほどの間で、来店客のULハイクに対する関心の高まりを感じているという。

ディレクターはもともと古着畑
「どうせなら山に登るか」でいい

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NEWS 02

「無印良品」京都山科に見る地域密着型循環店舗のつくり方【売り場から始めるサステナ実践例】

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良品計画は「地域への土着化」や「日常生活の基本を担う」ことを目指し、地域店舗に権限を移して個店経営を進めている。食の地産地消やローカルサプライチェーン構築にも力を入れており、こうした取り組みが店頭で色濃く見えるのが「無印良品」京都山科だ。地域の人を巻き込んだ取り組みが多く、訪れた人が自然に循環を体験できるユニークな店舗だ。「食べる・見つける・買う」をコンセプトに、3層構造の売り場では無印良品の標準的な品ぞろえに加え、野菜や肉、魚、惣菜、グロサリーなど、食に関する商材全般を取り扱う。(この特集は「WWDBEAUTY」2023年5月29日号からの抜粋です)

地域を巻き込む“循環”ポイントは大きく三つある。一つ目は、不用品をごみではなく資源として循環させる機能を持つ点。これは「無印良品」全体が取り組むことだが、山科店は回収した製品が新たな形に生まれ変わる点を店頭やインスタグラムなどで発信し、認知を広げている。二つ目は地元生産者による生鮮食品がそろう点。生鮮食品の約4割が生産者から直接届く。約50の近隣農家と契約し、常時20~30の生産者の野菜が並ぶ。複数のテナントと協業して生鮮や惣菜を含む食の専門売り場を運営する。三つ目は、地元食材を生かした京都山科店独自の開発商品がある点。例えば京都・美山牛乳を活用し、大正14年創業の京都の洋食屋「スター食堂」と開発した“美山牛乳とマスカルポーネのコーンポタージュ”や、京都・山科に工場を構えるソース屋「オジカソース工業」と協業した京都・水尾のユズを用いた“柚子ぼん酢”などだ。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。