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パリコレは社会問題に向き合っている

「クロエ」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」のみならず、「バレンシアガ」や「ヴァレンティノ」「コム デ ギャルソン」まで、2023年春夏パリ・コレクションは、社会問題に対して真剣に向き合っています。しかし、洋服は最終的に着る人や、それを見る人がハッピーになれるものであって欲しい。そう信じる私は、社会問題に向き合う意欲は評価しつつも、最終的には本能的な感性の赴くままにコレクションリポートを書いていますが、果たしてそれでいいのか?自問もしています。

 一方、国内アパレルのブランド、特にある程度の規模感のブランドの中で、これほど真剣に社会に向き合っているというスタンスを発信するケースは稀なように思います。この差は、なんなのでしょう?そんなことを考えながら、パリコレはいよいよ終盤戦に突入です。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

パリコレ波乱の4日目は「オフ-ホワイト」と「クロエ」で社会問題との向き合い方を考える 編集長のパリコレ真剣レビューVol.3

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 パリコレ4日目は、波乱の日だった。

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」は、英雑誌「デイズド(DAZED)」の編集長も務めるスタイリストのイブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)がアート&イメージディレクターに就任して初となるコレクションを発表した。カマラは「デイズド」で、ジェンダーやアイデンティティー、多様なカルチャーへの背景知識などを持って、独自の視点でハイファッションを考察してきた人物。初めて手掛けた「デイズド」の特集は、イギリスの国民保健サービス制度に着目し、ワクチン接種の推進とそれによって大きな変化を生んだ功績を讃えるものだったという。

 そんなカマラ・ディレクターによる「オフ-ホワイト」はファッションショーを、顕在化する社会問題を提起し、自らのメッセージを投げ掛け、議論や対話を促し、より良い社会を作る契機の1つとして利用していくようだ。確かに、今回のショーの翌日には42歳の誕生日を迎えるはずだったヴァージル ・アブロー(Virgil Abloh)も、同様に社会問題を投げかけてきた。

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NEWS 02

小田急百貨店、本館55年の歴史に幕 別れを惜しむ人が殺到

 小田急百貨店は2日、新宿店の本館の営業を終了した。新宿駅西口で55年間親しまれた本館との別れを惜しむ人が大勢駆けつけた。本館は閉まるが、売り場は隣の別館「新宿西口ハルク(以下、ハルク)」に移転し、4日から営業再開する。婦人服や紳士服がなくなるため、売り場面積は8割減の6000平方メートルに縮む。早くもあす3日から本館の建物の解体工事が始まり、商業施設やオフィスが一体となった48階建ての高層ビルが29年度に竣工する。ただ、そこに小田急百貨店が入るかは決まっていない。

 午後8時30分。特別なセレモニーは行なわず、平時と同じように静かに閉店する予定だったが、1階の入口と大階段に挟まれたコンコースは最後の瞬間に立ち合おうとする数百人の人たちで埋め尽くされた。想定以上の人が集まってしまったため、店側はセレモニーは行わない旨の場内放送を急きょ流し、混乱を収めた。本館の終了にあたって、顧客が別れの言葉を書き込むメッセージボードや店舗の歴史を振り返る写真などの展示は行わなかった。本館は閉まるものの、あくまでハルクへの移転というスタンスを明確にした格好だ。

 「売りつくしセール」のにぎわいとは別に、建物の外観や看板、案内板、エレベーター、階段、屋上の稲荷神社などを撮影する光景があちこちで見られた。婦人服の売り場では馴染みの販売員に別れのあいさつをする常連客の姿もあった。川崎市から来た60代の女性は「(新宿の)西口に勤めていた独身時代から、ここ一番の服を買うのは小田急だった。(移転して)洋服の売り場がなくなってしまうのはさみしい」と話した。

 4日にハルクに移転するのは、主に化粧品、食品、ラグジュアリーブランドなど限られたカテゴリーのみで、本館で最大の面積を占めていたアパレル(婦人服、紳士服、子供服など)はなくなる。このため一部のブランドは隣の京王百貨店に移転し、顧客の受け皿になった。

 小田急百貨店新宿店の本館の営業終了は、親会社である小田急電鉄や東京メトロなどによる新宿駅西口地区の再開発に伴うもの。隣接する商業施設「ミロード新宿」もモザイク通りなどのエリアが23年3月、甲州街道に面する本館が25年4月以降にそれぞれ営業を終える。隣接する京王百貨店の親会社である京王電鉄も今年4月、京王百貨店の跡地にホテルと商業施設を併設した19階建てビルを40年代に建設すると発表しており、新宿駅西口は長期的な再開発に突入する。

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NEWS 03

英「ホワイトハウスコックス」が事業廃止 147年の歴史に幕

 英国のレザーグッズブランド「ホワイトハウスコックス(WHITEHOUSE COX)」が事業を廃止する。10月1日、日本総代理店を務めるグリフィンインターナショナル(東京、デビッド・モラル[David Molal]社長)が発表した。

 グリフィンインターナショナルは公式ホームページで、スティーブン・コックス(Stephen Cox)=ホワイトハウスコックス マネジングディレクターの手紙を公開。その中でコックス マネジングディレクターは、「2022年末をもって生産を終了する。147年の歴史に幕を閉じること、それを伝えることはとても悲しい」と記し、後継者がいなかったことを事業廃止の理由に挙げる。

 「ホワイトハウスコックス」は1875年に創業。耐久性に優れるブライドルレザーが代名詞で、日本でも財布やベルトが多くの百貨店・セレクトショップで販売されている。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。