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枕詞がつくブランドが、次々誕生する時代
「胸の大きな」「身長165cm以下の」「骨格診断ストレート向けの」という枕詞がつくブランドが次々誕生する中、それよりはるかに大きなコミュニティ「ぽっちゃり」に向けたECは、需要がありそうです。もちろんリアル店舗での買い物を楽しんだり、店員との会話が目当てだったりの人もいるでしょうが、まだまだ敷居が高い人も多いのではないでしょうか?
余談ですが、セクシャルマイノリティーの私は、「主要ターゲットがゲイと思われる」という枕詞がつくブランドを頻繁に目にします。しかし、その多くは「ゲイ向けの」とは語りません。それは多様性なのか、それとも当事者が一番何かを感じているのか?時々、そんなことを考えます。
“ぽっちゃり”女性に熱視線 ワールドがプラスサイズファッション誌とEC立ち上げ
ワールドはこのほど、文友舎が発行する20〜30代のぽっちゃり・プラスサイズ女性に向けたファッション雑誌「ラ・ファーファ(LA FARFA)」と協業してアパレル・雑貨のECセレクトショップ「ラ・ファーファ ショップ オンライン」を立ち上げ、東京・北青山ビルで3日間限定のポップアップストアを開催した。
ポップアップでは、「ラ・ファーファ」のオリジナルブランドのほか、同ECで取り扱うブランドの商品の試着・購入が可能で、新作の先行受注も実施した。展開商品は、カーヴィーなボディラインを生かしつつきれいに見せることができるワンピースの割合が高い。
専属モデルとファンの間には強いつながりがあり、期間中は同雑誌の専属モデル(通称ラファモ)が店頭に立ち、ファンたちとの接客・交流を楽しんだ。販売区画の外には記念撮影ブースが設けられ、希望者の列もできた。専属モデルの1人でインスタグラムやユーチューバーとしても活動する安藤うぃは、「ラ・ファーファ ショップ オンライン」限定の自身のブランド「UANDI」を立ち上げた。太幅のボーダーのデザインを見頃と片腕だけに施すことで着ぶくれ感を視覚的に抑えたニットや、切り替えの工夫でレッグラインがタイトすぎずきれいに見えるフレアパンツなど、ふくよかな女性ならではの悩みや希望を取り入れた商品を企画。サイズ展開もLから5Lまで幅広く用意している。
「ラ・ファーファ」は2014年の創刊以降、女性向けファッション雑誌がのきなみ発行部数減少に悩まされる中、堅調に推移している。「年齢やテイストをセグメントせず、(ぽっちゃり女性をターゲットにした)ニッチなジャンルで戦っているため、ここでしか手に入らない情報やコミュニティーがある。ラファモとつながり、コアで熱量の高いファンがいらっしゃる」と高井淳編集長。専属モデルは体重65〜135kg。創刊当初は「モデル撮影をしたくても、メーカー側にモデルが着用できるサンプルのサイズがない」「貸し出しを断られる」などさまざまな障壁もあったが、知名度と影響力をじわじわ高め、現在はメーカー側の協力も取り付けられるようになった。「小柄な女性向けのアパレルは市場に増えているが、ふくよかな女性が着られる服はまだまだニーズに足りていない。彼女たちが本当に着たいと思える服を提案する場を提供したいと考え、(『ラ・ファーファ ショップ オンライン』を)立ち上げた」と語る。
「ラ・ファーファ ショップ オンライン」の取り扱い商品は4000〜5000円が中心価格帯。ショップオリジナル商品の企画を統括するワールドの針貝泰子ネオエコノミー事業本部F3ディレクターは「ふくよかな体形の女性は豊富なサイズ展開があるファストファッションで自分に似合う服を探してきた方が多く、価格意識は相当高い」と話す。商品企画も一筋縄ではいかないという。「必要な生地の用尺は2〜3倍。首周りも普通体系の女性で33cm程度であるところ、45cmくらいに設定しなくてはならない。また、ふくよかな女性だからといって、求められている服はこういうものだとはひとえに言い切れない。二の腕は隠したいという方がいれば、むしろ出してスッキリ見せたいという方もいる。ウエストのアジャスターゴムのテンションやタックの入れ方など、体をきれいに見せるためのこだわりが人一倍強い方も多い。その分、お客さまや専属モデルの意見を丁寧にくみ取りながらの商品作りが一層大事になる」。
渋谷の東急本店の再開発 地上36階ビルに商業、ホテル、賃貸レジデンス入る
渋谷の東急百貨店本店の再開発の一部概要が発表された。ノルウェーの建築事務所スノヘッタ(Snøhetta)の設計による地上36階・地下4階のビルが建てられ、ラグジュアリーホテル「ザ・ハウス・コレクティブ」が日本に初進出する。計画されている商業施設やレジデンスの具体的な中身は未定。同店は2023年1月31日で営業を終了して建て替え工事に入り、新しいビルは27年度に竣工する。
東急、LVMH系のLキャタルトン、東急百貨店の3社による再開発プロジェクトで、「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」との名称も発表された。ニュースリリースでは「洗練されたライフスタイルを提案するリテール、ワールドクラスのスモールラグジュアリーホテル、ハイクオリティな都市型居住を実現する賃貸レジデンスを有し、隣接するBunkamuraとのアート&カルチャーにおける融合により、渋谷の新しいランドマーク」を目指すとしている。
1967年に開業した東急百貨店本店は、都内屈指の高級住宅地である松涛、南平台、代々木上原などが足元商圏にあり、富裕層の支持が高い百貨店として知られる。またコンサートや演劇のBunkamuraなど文化施設も併設されている。再開発もそうした背景を継承し、コンセプトを「Tokyo’s Urban Retreat」と設定した。低層部が商業および文化施設、中層部がラグジュアリーホテル「ザ・ハウス・コレクティブ」、中層部から上層部にかけての大部分が賃貸レジデンスになるもようだ。
ビルを設計するスノヘッタは、コンセプチュアルな空間デザインで知られる建築事務所。最近では、パリの新聞社「ル・モンド新社屋」、ノルウェーの水中レストラン「Under」、ニューヨーク・タイムズスクエアのパブリックスペースのリデザインが話題になった。
唯一、具体的に発表されたラグジュアリーホテル「ザ・ハウス・コレクティブ」は、香港、中国、米国で宿泊施設を運営するスワイヤー・ホテルズのブランド。北京、香港、成都、上海で展開されている。
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。