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海外コレクション現地取材復活

 2年半ぶりの海外コレクション現地取材で、今はフィレンツェに来ています。最初の目的地ロンドンには北回りのルートで渡航し、東京から約15時間かけて現地に到着すると、誰もマスクをしていない別世界のような光景でした。しかし、コレクション会場は2年半前と同じです。パンデミックによってデジタルとリアルのハイブリッドが進むと思われたものの、コレクション発表においてはリアルに勝るものはなし、という印象でした。

 今はメンズ見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」の真っ只中。アジアからの来場者はほとんどおらず、日本からも一部百貨店のバイヤーを除いて、ほとんど来ていないようです。合同展ビジネスはこの先どうなるのでしょうか。フィレンツェの後もミラノ、パリと続きます。街の状況含めて取材するつもりですので、現地情報が気になる方はぜひチェックしてくださいね。

大塚 千践
NEWS 01

「ウェールズ ボナー」が軽やかに解き放つアイデンティティー ピッティで見せたアフリカンクラフトの新解釈

 2023年春夏シーズンのコレクションサーキットが開幕した。先陣を切ったのはロンドン・ファッション・ウイークだ。実質2日間のスケジュールに、デジタルとリアルを合わせて約25ブランドが参加した。リアルでショーを開いたのは、「アルワリア(AHLUWALIA)」や「ロビン リンチ(ROBYN LINCH)」「ラブラム(LABRUM)」といった発展途上の若き才能たち。ナイジェリアとインドにルーツにまっすぐ向き合う「アルワリア」、アイルランドの伝統を継承する「ロビン リンチ」、西アフリカ・シエラレオネのプリミティブな文化を世界に伝える「ラブラム」と、それぞれの出自が軸となるクリエイションを披露した。ショーはにぎわっていたものの、多くの人が共感できるクリエイションにはまだ至っていなかった。アイデアは面白いが、誰に向けてのコレクションなのかが分かりづらかった。仲間のために作っているならば、ファッション・ウイークになんて参加しなくてもいいはずだ。ここからワンランク上がって世界に出るためには、王道に踏む込む勇気と、それでもブレないアイデンティティーを両立させる必要がある。

 そのバランスがとれた快心のクリエイションを披露したのが、彼らと同じロンドン発の「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」だった。同ブランドは、ロンドンの後にイタリア・フィレンツェで開幕したメンズ見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」にゲストデザイナーとして参加。初日の14日に、メディチ リッカルディ宮で23年春夏のショーを開催した。「ウェールズ ボナー」がロンドン・コレクションで発表し始めた当時も、強すぎるアイデンティティーがゆえに近寄りがたい印象だった。メンズウエアの伝統であるテーラリングをベースに、バランスを変え、ブラックカルチャーにオマージュを捧げるクリエイションは、決して万人受けするものではなかった。よく言えばストイック、しかしファッションビジネスは結果を出してこそでもある。ただ数年前から徐々にそのとっつきづらさが和らぎ、王道を取り入れたクリエイションへと変化していった。

クラフトと洗練されたテーラリングのミックス

 23年春夏シーズンは、クラフトに焦点を当てた。シルエットに緩急をつけたテーラリングを中心に、ブルキナファソで手染めしたジャージーやコットンを使ったり、ガーナのガラスビーズ、ロッククリスタル、バロックパールで飾ったりと、メンズとウィメンズのほぼ全てのスタイルに工芸のディテールを盛り込んだ。「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」との新しいコラボレーションシューズにも、マクラメのディテールやハンドステッチを施した。ボナーは「私にとってクラフトの要素は本当に重要な部分であり、ブランドの使命でもある」と話した。

 アフリカのクラフトに敬意を込めながらも、スタイルは軽やかだった。メンズはスーツにスタッズをちりばめ、丸いラペルのタイトなジャケットに、パンクなアクセサリーや、レオパード、ゼブラ、パイソンといったアニマルパターンのシューズを組み合わせ、まるで1950年代のロックスターのようなムードを感じさせた。ウィメンズはローウエストのラップスカートにシャツを合わせたり、マクラメ編みのワンピースを素肌の上にまとってミリタリーディテールのジャケットを羽織ったりと、ユニホーム要素を取り入れたカジュアルな提案が魅力的だった。

 会場のメディチ リッカルディ宮は、黒人との混血といわれているアレッサンドロ・デ・メディチ(Alessandro de Medici)が住んでいた宮殿だ。その場所にガーナ人アーティストのイブラヒム・マハマ(Ibrahim Mahama)が、母国からココアを輸出するために使われていた手縫いのジュートサックを床に敷くインスタレーションで、世界の人々に結束を訴えるメッセージを発信した。ボナーのアイデンティティーや黒人文化への敬意の深さは、今回も一貫していた。しかし、それを押し付けるのではなく、王道のスタイルに乗せて軽やかに解き放つ手腕が際立った。

 ロンドンは、若手デザイナーにスポットが当たっては消え、また別のデザイナーに当たっては消えていく流れを繰り返してる。だから「ウェールズ ボナー」の成長は、今の若手にとって大きな道しるべになるだろう。グレース・ウェールズ・ボナーがメゾンのデザイナーとして声がかかる日も、そう遠くないのではと期待させるコレクションだった。

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NEWS 02

値上げの「ユニクロ」、中綿アウター拡充で買いやすさを維持 22年秋冬展示会から【前編】

 「ユニクロ(UNIQLO)」2022-23年秋冬物の値上げが、ファッション業界内外で大きな話題となっています。これは「ユニクロ」に限った話ではありませんが、通常ファッションブランドが値上げを行う際は、アイテム1点1点の付加価値や商品構成全体を見直し、客離れを最小限に食い止めるよう工夫を凝らすものです。「ユニクロ」22-23年秋冬展示会も、客を離さないための工夫や戦略、努力に溢れていたのでそれらをご紹介します。

 22-23年秋冬の「ユニクロ」展示会では、アウターバリエーションを拡大していることが商品戦略上のニュースでした。特に、今まで「ユニクロ」でイメージの薄かった中綿アウターを大幅に増やしている点がポイントです。値上げする商品の筆頭としてウルトラライトダウンの名前が報道で上がっていますが(5990円から6990円に変更)、中綿アウターはダウンと雰囲気は似ていながら、ダウンより価格を抑えて作ることが可能。中綿アウターを増やすことで、原料高や物流費高騰の圧力の中でもプライスポイント(最多価格帯)を保とうとしているんだと思います。

ダウンに代わる本命は「ヒートテック中綿」

 メンズでは、吸湿発熱機能の中綿を使ったブルゾンを「ヒートテック中綿」として打ち出していました。価格は5990円と、ウルトラライトダウンの値上げ前の価格とぴったり同じ。ウィメンズには「ヒートテック中綿」はありませんでしたが、より柔らかい質感に仕上げたダイヤ柄キルティングの中綿ブルゾン(4990円)や中綿ベストなどを企画していました。

 アウターバリエーション拡大の中で、ボアフリースのロングコートやブルゾンも多数そろえていました。防風機能を持たせたモデルも多く、アウターとしての使い勝手の良さをより一層アピールしています。フリースでは毛足の長いファーリーフリースのブルゾンなどの値上げが発表されていますが(1990円から2990円に変更)、そうは言ってもダウンなどに比べるとフリースはもともと価格が安い。ウィメンズのマネキンに着せていたフリースも2990円と、アウターとして考えれば非常に買いやすいと感じました。

 ダウン以外のアウターへのフォーカスばかりが目立ちますが、ダウンで何もしていないわけではありません。むしろ、ウルトラライトダウンは1点1点の付加価値を上げて「これならほしい」と思わせる工夫を詰め込んでいます。筆頭は、ウィメンズで企画している新顔のロングベスト(6990円)です。ダウンのロングベストは、21年秋に「セオリー(THEORY)」と「ユニクロ」のコラボ商品として企画してヒットした実績があります。今季は満を持して、通常ラインのウルトラライトダウンのシリーズの中で登場します。今春夏のウィメンズのリアルクローズ市場でもロングベストは大ヒット中。「ダウンのロングベストもほしい」という声は期待ができそうです。

 ウルトラライトダウンの新顔もう1点は、表地に光沢感のある生地を使い、ダウンも豊富に使ってよりボリューム感のあるシルエットに仕上げたブルゾン(8990円)。今っぽいシルエットなので、旬のY2Kファッションなどとの相性も良さそうです。

 アウターのバリエーション強化の中では、ほかにMA-1ブルゾンやスタジアムジャンパー、ウールのダッフルコート、ダブルフェースのガウンコートなども企画しています。

ミニスカートがいよいよマスヒットの予感

 さて、アウター以外では、ニットとパンツも22-23年秋冬の強化アイテムに据えていました。ニットでは、カシミヤ100%のウィメンズセーターを8990円から9990円に値上げすると発表しています。その分、ホールガーメント編み機による3Dニットにすることで着心地をより良くし、商品価値を高めています。これまで「ユニクロ」には少なかったローゲージニットの型数を増やして、選ぶ楽しさを提供している点もニット強化上のポイントなんだと思います。フェアアイル柄のセーター(ウィメンズ2990円)、ケーブル編みのセーター(ウィメンズ2990円)などがあり、新鮮に映ります。

 パンツは、今春夏売れているジーンズで、22-23年秋冬はバギーシルエット(3990円)を推しています。また、ワークパンツやチノパンなども、全体的にワイドシルエット推し。通勤にも対応できるウィメンズのきれいめパンツなども、タック入りでやや太めに仕上げていました。ウィメンズでは、いよいよマスヒットが期待される台形シルエットのミニスカート(2990円)も1型企画しています。この価格なら挑戦もしやすいですよね。

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「WWDJAPAN」7月13日発売号は、京都・西陣織の老舗HOSOO特集です。「More than Textile」を掲げ、織物の可能性を拡張し、人々がまだ見たことのない西陣織の美を追求しているHOSOO。その探究の中で出合ったのが、江戸時代の絹(シルク)や大麻(ヘンプ)で織られた着物でした。その品質を現代に再現し、さらに超えることを目指し、絹、大麻ともに日本の在来種を用いて、原料生産から取り組むといいます。加えて、ソニーコンピュータサイエンス研究所をはじめ、研究者や企業、職人らとの共創体制を構築。AIやロボティクスなど最先端の科学技術を活用しながら、素材が本来持つ個性を生かす工芸的なものづくりを実現し、日本ならではの多様な美を世界へ提示しようとしています。