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世界をつなぐ韓国エンタメ
本日ご紹介する1本目の記事は、先日「ルイ・ヴィトン」のアンバサダー就任が発表された韓国の女優、チョン・ホヨンについて。ネットフリックスで大人気のドラマ「イカゲーム」に主演している方だそうです。「そうです」と書くのは、こんな文章を書いておいて申し訳ないのですが、私が同ドラマを視聴していないから。しかし、昨日の「WWDJAPAN」編集会議でも同ドラマネタはかなり盛り上がり、ある記者が作中でのファッションの描かれ方や、その際のジェンダーの扱いについて熱弁していたのがとても印象的だったので、一回見てみようと思います。
それにしても、韓国エンタメのパワーは本当にすごいですね。コロナ前の2019年秋にパリコレを取材した際、「セリーヌ」や「サンローラン」のショー会場で目撃した、現地のおっかけファンによるBLACKPINKコールの凄まじさは忘れられません。ファンたちがワイキャイと楽しそうにしているのを見て(実際にBLACKPINKメンバーが出てくると絶叫に次ぐ絶叫で鬼気迫る感じでしたが笑)、取材でくたびれ果てたわれわれまでなんだかパワーをもらった気がしました。
日韓関係は引き続き最悪レベルに冷え込んでいますし、米中も、というか世界各国が非常にギスギスした状況にある今ですが、だからこそエンタメというソフトパワーで世界をつないでいくことの意味の大きさを考えたりします。こういうことを言い出すといろんな意見や見方があると思いますが、ドラマでも音楽でも映画でも、世界中の人が同じコンテンツに対して「ああでもない、こうでもない」って言い合えるのって、やはりすてきなことじゃないでしょうか。ソフトパワーの一角として、ファッションにもそういう力があると信じています。
「イカゲーム」セビョク役のチョン・ホヨンとは何者か
ネットフリックス(NETFLIX)が配信するオリジナルドラマ「イカゲーム(Squid Game)」に出演するモデル兼俳優のチョン・ホヨン(HoYeon Jung)に注目が集まっている。カン・セビョク役(067番)として初めて演技に挑戦した同作品への出演でインスタグラムのフォロワー数は、約40万から約190万に急増。韓国を拠点とする俳優では女性で最も多いフォロワー数を記録している。21年10月には、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のアンバサダーに就任した。
「イカゲーム」は、デスゲームを通して社会の貧富の差などに迫る韓国ドラマ。それぞれ借金を抱えた人物が集まり、だるまさんがころんだ、カルメ焼き、綱引きなどといった幼少期のころの遊びをテーマに、賞金をかけてサバイバルを繰り広げる。9月の配信開始以来人気をさらい、ネットフリックスが配信されている全83カ国で視聴ランキング1位を記録した。中でもホヨン演じるカン・セビョクは、家族のために淡々とゲームに挑んでいる姿が多くの視聴者の心を掴んだ。
同ドラマはピンクのジャンプスーツと緑のジャージの衣装や子供部屋のようなポップな空間、コロシアムをイメージしたというベッドのセットなども特徴的で、出演者の多くは現場での写真をSNSに投稿している。ホヨンはガールズグループBLACKPINKのジェニー(JENNIE)と親交があることから、撮影現場にかけつけたジェニーとの2ショット写真を公開している。
そんな今をときめくチョン・ホヨンはソウルに生まれ、同徳女子大学校でモデル業を学んだ後、キャリアをスタート。韓国で次世代トップモデルの称号を競うリアリティー番組「韓国のネクストトップモデル(Korea’s Next Top Model)」のシーズン2と4に出演。シーズン4では20歳の時、2位に輝いた。
その後2016年に国際的にモデルデビューを果たす。「ルイ・ヴィトン」17年春夏コレクションでオープニングを飾って初登場。同シーズン中には、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「マックスマーラ(MAX MARA)」「フェンディ(FENDI)」といったブランドのモデルを務めた。
これまでモデルを務めたブランドは、「シャネル(CHANEL)」「ミュウミュウ(MIU MIU)」「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」「ランバン(LANVIN)」など。ほかにも「ルイ・ヴィトン」17年プレ・フォール・コレクションのキャンペーンや「シャネル」「エルメス(HERMES)」「セフォラ(SEPHORA)」などの広告キャンペーンに登場している。
ブーツ復活、8月末から厚底のサイドゴアがヒット 白ブーツ人気もマスに拡大
「ブーツが売れている」「今年こそブーツ復活の予感」。そんな声がウィメンズのマーケットで広がっている。百貨店の靴平場でも、ファストファッションブランドでも、秋物の立ち上がりでとにかくブーツが売れているという。売れ筋は、トレンドセッターの「ボッテガ・ヴェネタ (BOTTEGA VENETA)」が2年前から提案しているような、サイドゴアなどの厚底ショートブーツ。ロングブーツをミニスカートに合わせたスタイルも原宿や渋谷では昨年から徐々に見かけるようになったが、ボリュームの売れ筋はショート丈だ。数年前からおしゃれ好きの間で広がっていた白ブーツも、今年はより幅広い層に支持されている。
百貨店向けの婦人靴メーカー・卸のオギツでは、「モード・エ・ジャコモ(MODE ET JACOMO)」で8月末からブーツが売れている。「動き出しは例年より1カ月は早い。通常は10月上旬ではブーツの売り上げは全体の2割ほどだが、今年は既に3割がブーツになっている」と同ブランドの担当者は話す。婦人靴メーカーではパンプスの不調が近年の悩みの種。春夏はパンプスに代えてサンダルの打ち出しを早めるなど策を講じているが、今秋冬はパンプスに比べ単価の高いブーツが動いていることで、売り上げにも貢献している。
売れ筋はショート丈の厚底サイドゴアブーツ(税込3万1900円)。黒や茶が中心だが、白も例年より動きがいい。もちろんロングブーツも企画しているが、「ひざ上丈のニーハイブーツにはやや動きがあるが、通常のロングは売れているという実感はない」。ただし、売れ筋のサイドゴアも、「筒の部分は昨年に比べると長くなっている」という。
ブーツ復活について話を振ると、「そこまでの勢いになるかはまだ分からない」としつつも、「期待はしている」と続ける。「おしゃれ好きの先行層に早い時期から売れたということは、気温が下がれば、もっと幅広い層も買い始めるはずだ」。
旬のトレンドファッションをそろえる「ジーユー(GU)」でも、「ブーツの動きが非常にいい」と広報担当者。ショート〜ミドル丈のブーツをさまざまなデザインでそろえている点が支持されているといい、売れ筋には厚底のサイドゴア(3990円)が含まれる。「ベーシックカラーだけでなく、今年は白ブーツの動きがいい」というのも「モード・エ・ジャコモ」と同様。ストレッチ素材のスクエアトウの白いショートブーツは2990円。「本革の白ブーツは汚れも目立つため挑戦できないという人も、この価格だからこそ楽しんでいただけているのでは」という。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。