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伝統と革新の「マムート」 “氷河と共に”の実現へ

 1862年にロープメーカーとしてスイスで誕生した「マムート(MAMMUT)」は、アパレルからフットウエア、クライミング用のハードウエアなど、アウトドアブランドの中でも幅広い商品をそろえ、約40の国と地域で扱われている。「マムート」は早くから環境に配慮したビジネスデザインを行っており、18年には“CLEAN PRODUCTION(クリーンプロダクション)”、“ANIMAL WELFARE(動物福祉)”、“REDUCED FOOTPRINT(フットプリントの削減)”、“ETHICAL PRODUCTION(エシカルな労働環境)”という4つの取り組みの頭文字をとったプロジェクト“WE CARE”を始動。そして今年から、脱炭素社会を目指す団体「プロテクト アワー ウィンター(Protect Our Winters以下、POW)」とパートナーシップ契約を締結。“Together for Glaciers(氷河と共に)”を掲げ、2050年までに“ネットゼロ”(温室効果ガスの排出量・吸収量・除去量の合計値がゼロ)の実現に挑む。

“WE CARE”プロジェクト
これまでの実績

 “WE CARE”では、すでに多くの実績がある。“クリーン プロダクション”では、資源の生産性や消費者の安全性などの観点から、生産ライン全体を整備する“bluesignシステム”を採用。25年までにアパレル、寝袋、ロープなどの分野で、同ガイドラインに沿ったプロダクトを90%以上まで引き上げる見込みだ。“アニマル ウェルフェア”では、古い寝具などから回収したリサイクルダウンと、生きている鳥や強制給餌された鳥の羽毛を禁止する“レスポンシブル ダウン スタンダード(RDS)”認証の羽毛を積極的に使用。羊毛も、環境管理された農場で適正に処理されたものだけが認定される“レスポンシブル ウール スタンダード
(RWS)”の認証素材を取り入れており、25年までにアパレルは同認証素材の使用率100%を目指す。“フットプリント”(地球温暖化への影響をCO2排出量に換算した指標)の削減では、ペットボトルを中心にリサイクルした素材を活用。有害な科学物質を使用せず、繊維の段階から染色する“ソリューションダイ”の割合も増やしている。

 「マムート」は、工場に従事する労働者の生活向上を目指す検査機関「フェア ウェア ファンデーション(FWF)」に初めて加盟したアウトドアブランドでもある。厳しい基準をクリアした認定工場とだけ取り引きし、労働管理システムの導入や定期的な監査・工場訪問などにより、エシカルな労働環境整備にも注力している。

CO2排出量ゼロは夢ではない

 CSRに対する消費者の感度は非常に高くなっています。地球温暖化への関心の高まりや、2013年に起きたバングラデシュの首都ダッカ近郊で起きた縫製工場の崩落などを発端に、ファッションビジネスの“ダークサイド”が浮かび上がったためです。企業は、自分たちの事業が環境にもたらす影響を客観視し、ビジネスを変えていかなければなりません。われわれの独自性は大きく2つ。1つは、創業から160年近い歴史で培った、商品のクオリティーと耐久性の高さです。長く使えて簡単に修理できる製品は、その時点でサステナブルです。2つ目は、長い歴史がありながら、チャレンジングな企業姿勢であること。われわれは、レーザー接合を採用し、縫い目をなくした“レーザーヒューズドダウンジャケット”を世界で初めて導入するなど、常に革新的な技術を採用してきました。今後は持続可能なイノベーションにもっと焦点を当てていきます。
 今年4月にはPOWとパートナーシップ契約を締結し、25年までのネット ゼロ(温室効果ガスの排出ゼロ)を掲げました。業界全体やPOWなどのパートナー企業との動きを活発化すれば、不可能ではありません。これらのシステムをバリューチェーン全体に広め、ミッションを達成します。

ロープに新たな命を吹き込む
“Close the Loop”って?

 “Close the Loop(クローズ ザ ループ)”は、ブランド起源であるロープに着目した取り組み。スイスのクライミングジムなど50以上の拠点に回収ボックスを設置し、5年前後使われたロープを回収。それらを分解・洗浄し、きれいなナイロン素材に生まれ変わらせ、新たなロープやアパレルなどになる。現在、アジアでの紡績パートナーなどを選定中で、決まり次第導入する。

問い合わせ先
マムート スポーツグループジャパン
03-5413-8597