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「変わらない価値」をどう伝えるか

 クリス・ヴァン・アッシュと「ベルルッティ」はクリエイションが噛み合ってきたタイミングだと個人的に感じていたので、退任にはちょっと驚きました。セラミックアーティストのブライアン・ロシュフォールと協業した2021年春夏はとっても知的でかっこよく、先日発表した21年ウィンターコレクションもしかり。

 ただ、後任は立てずに既存のコレクションカレンダーと距離を置くのも「ベルルッティ」らしいのかな、とも思います。紳士靴から始まったメゾンのサヴォアフェール(受け継がれる職人技術)は、シーズンごとにスタイルを変えなくても色あせませんから。今後はシューズやアクセサリーをより強化していくのでしょうか。変わらないものの価値をどう発信していくのか、ブランドの今後とクリスの活躍が楽しみです。

大塚 千践
NEWS 01

クリス・ヴァン・アッシュ、「ベルルッティ」を去る 今後のコレクション発表は独自スケジュールに

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下のメンズブランド「ベルルッティ(BERLUTI)」は、今後のコレクション発表を独自のスケジュールに改める。これに伴い、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)=アーティスティック・ディレクターは退任する。アントワン・アルノー(Antoine Arnault)最高経営責任者は声明の中で、今回の方針変更について「サヴォアフェール(受け継がれる職人技術)とイノベーション双方への深いこだわりを維持するため」と説明。今後はコラボレーションによるプロジェクトやアイテムを含む新製品の発表を独自の方法に切り替え、コレクションカレンダーに新たなアプローチをとるという。そのため、クリスの後任を指名する予定はないようだ。

 現在44歳のクリスは、エディ・スリマン(Hedi Slimane)の後任として2007年から11年間、「ディオール オム(DIOR HOMME)」(当時)を率いた後、18年4月にハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)の後任として「ベルルッティ」のアーティスティック・ディレクターに就任。レザーシューズで知られる同ブランドの象徴的な染色技法“パティーナ”からイメージをふくらませ、アートを感じさせる生き生きとした色使いと美しいテーラリングが際立つコレクションを発表してきた。3年の間にはウエア、アクセサリー、シューズの審美的な統一感を高めるとともに、ビンテージ家具のカスタマイズやトラベルバッグなどに用いるシグネチャーキャンバスの開発にも取り組んできた。4月8日に披露されたばかりの21-22年秋冬シーズンがラストコレクションとなり、これから数週間のうちにいくつかのプロジェクトを仕上げた後、ブランドを去るという。

 クリスは、「『ベルルッティ』での仕事によってデザイナーとして成長できたし、スタジオのチームや職人たちには感謝してもしきれない。私はテーラリングであってもレザーグッズあっても、常にアトリエと一緒に取り組むことが好き。品質やリサーチに対する期待の大きさは、間違いなく刺激的だった」とコメント。「次はどんなことができるか、ワクワクしている」と話す。

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NEWS 02

最新号の読みどころ

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