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「おおらか」なオオスミさん
「おおらか」。この言葉が、本当にぴったりの方でした。お会いすれば、いっつもニコニコ。細い目がますます細くなるところには、勝手に親近感を覚えていました。ヒップホップ含め音楽全般に精通していない私にとって、音楽の世界の取材は、今でも少し緊張します。オオスミさんに初めてお会いした時、「この方は、緊張せずにお会いできる音楽出身の人だなぁ」と感じました。以来私は、オオスミさんのようなファッション&ビューティの人になりたいと思っている気がします。ご冥福を心からお祈りします。
デザイナーのオオスミタケシ氏が47歳で死去 「ミスター・ジェントルマン」「フェノメノン」など手掛ける
「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」デザイナーのオオスミタケシが1月24日、敗血症のため入院先の病院で死去した。47歳だった。葬儀は親族の意向で近親者のみで執り行われた。ブランドの今後については未定で、3月の「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」でオオスミ氏が病室で制作していた2021-22年秋冬コレクションを発表する。その後、関係者やファンとのお別れ会を開催予定だという。
オオスミ氏は1974年静岡県生まれ。ヒップホップユニットのシャカゾンビ(SHAKKAZOMBIE)として音楽活動を行う傍ら、ストリートウエアブランド「スワッガー(SWAGGER)」を井口秀浩と立ち上げた。2004年には同ブランドからソロプロジェクトとして「フェノメノン(PHENOMENON)」を始動させ、10年には東京ファッション・ウイークデビューを飾った。12年にはセレクトショップ、ザ・コンテンポラリー・フィックス(THE CONTEMPORARY FIX)のオーナーである吉井雄一と共にショップのオリジナルブランドとして「ミスター・ジェントルマン」をスタート。13-14年秋冬シーズンに東コレデビューを果たすと、16年春夏シーズンで「フェノメノン」のデザイナーを退任してからは「ミスター・ジェントルマン」のクリエイションの強さが徐々に加速し、ファッションブランドとしての立ち位置を築いていった。同ブランドが17年にマッシュホールディングス傘下に入ると、オオスミ氏は同社のメンズ事業部チーフデザイナーやレコードショップ「ウェイヴ(WAVE)」のプロジェクトなど多岐にわたって活動。18年には10年ぶりに音楽業界に復帰し、昨年には“MCM バイ フェノメノン(MCM by PHENOMENON )”で「フェノメノン」の名を冠した商品を5年ぶりに手掛けていた。
「ミスター・ジェントルマン」を共同で手掛けてきた吉井雄一は「正直今はまだ突然すぎてこの悲しみを受け入れることができない状態です。 彼と出会ってからのこの10年間はかけがえのないもので、プライベートにおいても生活を共にし、一緒に見た景色、鑑賞した音楽や映画、食べた物など、人生を通じて2人で心で感じたものをデザインに投影してきました。生前の彼の創造を受け止め、深い心で理解して手を貸してくださった全ての関係者のみなさま、そして何よりファンのみなさまに心から御礼申し上げます」とコメント。
近藤広幸マッシュホールディングス社長は「オオスミタケシという“才能”を預かり、世の中にその熱を伝えて行かなければならない使命感を持ち、共に挑戦をして参りました。突然彼を失い、強い悲しみと、たまらない空虚さの中にいますが、目をつぶれば人一倍大きな体にいつもの愛くるしい満面の笑顔が鮮明に浮かんできます。ファッション界、音楽界にとって多くの人を魅了してきたオオスミタケシのいちファンとして、ご冥福をお祈りすると共に、これまで彼の活動を支えていただいたみなさまに感謝申し上げます」と述べた。
H&M、20年度は最終黒字 21年は傘下ブランドが中国に初の旗艦店
H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の2020年11月通期決算は、売上高が前期比19.6%減の1870億3100万スウェーデンクローナ(約2兆2443億円)、営業利益は同82.1%減の30億9900万スウェーデンクローナ(約371億円)、純利益は同90.7%減の12億4300万スウェーデンクローナ(約149億円)だった。
20年9~11月期(第4四半期)では、売上高が前年同期比14.8%減の525億4900万スウェーデンクローナ(約6305億円)、営業利益が同27.5%減の38億9700万スウェーデンクローナ(約467億円)、純利益が同41.0%減の24億8500万スウェーデンクローナ(約298億円)だった。6~8月期(第3四半期)の売上高が同18.7%減の508億7000万スウェーデンクローナ(約6104億円)、営業利益は同46.3%減の27億スウェーデンクローナ(約324億円)、純利益は同52.8%減の18億2100万スウェーデンクローナ(約218億円)だったことを踏まえると、業績は堅調に推移しているといえるだろう。
同社は世界中でおよそ5000店を展開しているが、新型コロナウイルスの感染再拡大を防ぐための規制などによって、20年12月1日~21年1月27日はその36%に当たる1800店程度が一時的に休業しており、売り上げは同23%減(現地通貨ベース)となっている。
ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)最高経営責任者は、「ECが力強い成長を見せたことや厳しいコスト管理が奏功し、20年度を黒字で終えることができた。一方で、外出規制などによって多くの店舗が再び休業しているため、20年12月〜21年2月期(第1四半期)はその影響を大きく受けるだろう」と語った。
ロックダウン中に多くの消費者がECを利用しているとはいえ、事態の収束後には実店舗で買い物をしたいという欲求が高まると見込まれることから、H&MはECと実店舗など販売チャネルの統合を今後の成長戦略の中心としている。また消費動向の変化に迅速に対応するため、AI(人工知能)を使用して顧客の好みや需要を予測することも検討しているという。
同社は数年前からECの強化および販売網の最適化に取り組んでおり、21年には100店程度を新たにオープンし、多数出店している市場を中心に350店を閉じる計画を明らかにしている。これにより、全体でおよそ250店減となる予定だ。
中国市場における事業強化のため、21年には傘下のブランド「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」が上海に、同じくベーシックウエアを中心に生活雑貨などをそろえる「アーケット(ARKET)」が北京に、それぞれ初めて旗艦店をオープンする。なお「アンド アザー ストーリーズ」は19年に、「アーケット」は20年に、中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)が運営するECサイト「Tモール(TMALL)」に出店している。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。