ビジネス

日本ブランドの海外進出にこの人あり! “パリの母”大塚博美を直撃

 パリを拠点にフリーランスとしてファッションコンサルティングやコーディネーター、キャスティングを手掛ける大塚博美。「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「カラー(KOLOR)」「アンリアレイジ(ANREALAGE)」など、日本ブランドの海外マーケット進出の陰には彼女の功績がある。高橋盾「アンダーカバー」デザイナーに“パリの母”と呼ばれるほど、ファッション業界人が困った時に頼りたい心強いパートナーのひとりだ。そんな彼女に現在の仕事のことや今後の展望などを聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):現在パリをベースに仕事をしているが、具体的にどんなことからどんなことまでしているの?

大塚博美(以下、大塚):日本のクライアントがフランスを中心にヨーロッパ、モロッコ、アジア、アメリカなどで撮影をする時に現地のアーティスト、スタッフ、ロケーション、キャスティングなどをすべてセットします。ホテル、レストラン、トランスポートの手配まで。行き先は指定される時もあるし、希望のテーマに沿って、どの都市へ行くのかを提案し、バジェットに合わせたスタッフ編成をしています。海外のフォトグラファーやアーティストを日本に呼んで撮影することもあります。常にコンパクトに努め、フランスではいつも一人で活動していますし、海外でも現地のプロダクション・アシスタントを1人雇うだけでコストアップしないように心がけています。また、フランスやイタリアの雑誌撮影の場合は、その逆を日本ですべて手配します。コーディネート全般の時もあれば、キャスティングディレクターとしての仕事もあります。その他に日本ベースのデザイナーがパリコレで海外マーケットに進出する際のコンサルティングとコーディネート、日本のブランドへのバイイングやマーケティングに関する最新情報やコンサルティングなども行っています。

WWD:コーディネーターを始めたきっかけは?

大塚:スタイリストを始めたばかりのソニア・パークさんが初めてパリで撮影された時、「アシスタントを探しているのだけど、どなたか紹介していただけませんか」と連絡してくれたことです。思い当たる方がいなかったので、私がスタイリスト・アシスタントとして現場に行きました。その時は男性のコーディネーターさんがいましたが、「博美さん、一人で全部できるんじゃない?」と、2回目の撮影からはコーディネーターとしてロケーションなどを紹介しています。

WWD:強く印象に残っている仕事は?

大塚:「アンダーカバー」のパリコレデビューは鮮烈でした。パリでのショーを始める時は、日本と世界のシステムの違いや仕事の進め方の違いなど、さまざまなギャップを乗り越えなければいけません。また、ハンドワークを多用したオートクチュールのようなコレクションでしたので、ショー直前まで準備が続き、スタッフの方々も限界に近かったみたい。ショーが終わった時の大きな拍手に涙が止まりませんでした。「アンダーカバー」チームが世界に衝撃を与えた瞬間でした。

WWD:一風変わった仕事は?

大塚:「アンダーカバー」のショーで、ティーンからおばあちゃんまでのパティ・スミスに似た女性をショーで使いたいと高橋デザイナーからの要望を受け、ベルギーにまで探しに出かけたことがあります。道端できょろきょろしながら声をかけました。

WWD:東京ブランドの海外進出に必要なこと、今後期待することは?

大塚:パリでショーを開くには、ある程度の資本力が必要。でもパリでショーをしたから資金を使い果たしてしまったというのは無謀なやり方です。資本が無いから諦めるのではなく、まず日本から発信できることを始めること。ネット配信などで、世界同時にコレクションを見せられる時代です。従来のやり方に追随しないで、そのブランドらしい独自の新しいアイディアで挑戦して欲しいなと思います。お金をかけなくても才能で驚かせて欲しい。その輝く才能があれば世界のプロたちは必ずそのブランドを見つけ出し、引っ張り上げます。また、地方でも同じチャンスがある時代になってきています。

WWD:コーディネーターを味方につけ、力を引き出すのが上手なクライアントの共通項は?

大塚:カタチになっていなくても、まずアイディアの段階で相談してください。その時点でさまざまな可能性を一緒に探ることができます。コーディネーターはブランドの社内にいないので少し離れて全体を見ています。最終的にお店で初めて商品に触れるお客さんの目線に近いかもしれません。ファッション撮影もパリでのファッションショーも最終的にはそのブランドを理解して愛してくださるお客様に買っていただくことが最終目的です。けれど社内のチームだけでは、それぞれの担当が自身のパートだけを見て終わってしまいがちです。

WWD:ファッション系の知識や興味を増す為に特に意識していることは?

大塚:SNS上には最新のニュースが上がってきますので、毎日見ています。興味は元々あります。ファッションと写真が大好きですから(笑)。

WWD:「今後、こんなこともやってみたい」「こんなこともできる!」という仕事は?

大塚:日本の美しさをもっと知り、海外にアピールしたい。海外雑誌への紹介をもう始めています。また海外の撮影で、まだまだ知らない場所に行ってみたいです。最近はアイスランドとカプリにプロダクション・アシスタントを見つけました。どなたか氷河撮影に行きましょう!

最新号紹介

WWD JAPAN

注目高まる新50〜60代市場 “主役世代”の消費はこうつかめ!

「WWDJAPAN」5月10日号は、「注目の新50〜60代市場」特集です。日本女性の過半数が50歳以上となった今、50〜60代は消費の“主役”として存在感を増しています。子育て期などを経て、再び人生を“主役”として謳歌する世代でもあります。そんな50〜60代を「WWDJAPAN」は“主役世代”と命名し、このマーケットに刺さるビジネスを取材しました。3人の“主役世代”女性による座談会のほか、シニアに…

詳細/購入はこちら