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今月からDigital→Weekly

 WWDJAPANは今月から、Digital→Weeklyというコンテンツのやりとりに挑戦します。ニュースはもちろん特集も、私たちが提供するコンテンツはタイムリー。ゆえに、まずはDigitalで先行アップ。その上でDigital上の有料会員限定記事を取捨選択し、紙面にふさわしい形に最適化して、これまで通り特集主義のWeeklyをお届けします。

 数年前までの購読者のメリットは、「Weeklyが毎週月曜日に届く。Digitalでも全ての記事が読める」と考えていました。でも今は、Digitalが普及。購読者改め有料会員のメリットを、「Digitalで全てのコンテンツがタイムリーに読める。Weeklyでは、その関係性や、見落としたコンテンツなどのセレンデピティに出合える」に再定義すべきと考えたからです。

 ということで下の2本の記事は、Digitalで先行アップ。Weeklyでは、思い切った取捨選択をさせていただき、特集全体の説得力を高める形で活用したつもりです。みなさま、いかがでしょうか?ご意見、いただけましたら幸いです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「60代女性を満足させる商品がない」 神下敬子「素敵なあの人」編集長が語る“素敵世代”マーケットの今

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 60代からの大人の装いを紹介すべく宝島社が2019年に創刊した月刊誌「素敵なあの人」は、“雑誌離れ”が叫ばれる中でも読者に支持され、発行部数を伸ばしている。好調の理由を「60代女性に着目したことが大きい」と話す神下敬子「素敵なあの人」編集長に、60代(同編集部では“素敵世代”とネーミング)のニーズと消費行動について聞いた。

WWD:創刊のきっかけは?

神下敬子「素敵なあの人」編集長(以下、神下):創刊以前から、60代女性に向けた単発のファッションムックを何度か発売したのですが、軒並み売れ行きがよかったんです。それだけでなく、電話やハガキなどによる読者からの反響がとても大きく、月刊誌として創刊することを決めました。

WWD:60代女性に着目した理由は?

神下:50代向けまでのファッション誌は、既に市場にありました。しかしその上の世代向けとなると、ハイエンドな雑誌か、70代以上に向けた健康雑誌になってしまい、気楽に読めておしゃれや美容の悩みを解決できる雑誌がなかったんです。今の60代は、若い頃から雑誌を読んできた“マニュアル世代”なのに、「60代になったら自分たちのための雑誌がなくなって困っている」という声が多くありました。

WWD:ほかに、創刊へと背中を押した声はある?

神下:もう1つの声として特徴的だったのが、「私たちのための商品がない」という声です。メーカーなど企業の方には、「若い人に目を向けていないとブランドが継続できない」と考えている人が多い。また、商品を企画している人には30~40代が多いので、「シニアってこんな感じでしょ」という思い込みで商品を作ってしまう。そうすると、今の60代は感覚が若いので、自分たちのモノと感じられないんです。この雑誌を作ることで、消費者と企業とのチューニングアップができるような存在になりたいと思いました。

WWD:50代と60代とではニーズが違う?

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NEWS 02

世代別マーケのプロ、伊藤忠ファッションシステムが解説 注目の新50〜60代市場のつかみ方

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 今や日本の女性の過半数が50代以上となり、若年向けの提案に偏りがちと言われてきたファッションやビューティの世界でも、50〜60代といった市場に注目が集まるようになってきた。ファッションでは、ヤング市場に強かったアダストリアなどの大手メーカーが50〜60代向け市場に参入。ビューティ分野では“グレイヘア”を生かす大人女性向けのサービスが広がっている。消費の担い手として存在感を増す新50〜60代の心をつかむには何が必要か。世代別消費分析のプロである、伊藤忠ファッションシステムの小原直花ナレッジ開発室室長に聞いた。

WWD:従来はヤング主力だったアパレルメーカーなどが、50〜60代女性に向けたブランドを開発するようになっている。その背景は。

小原直花 伊藤忠ファッションシステム ナレッジ開発室室長(以下、小原): “団塊世代”(現69〜74歳)が50〜60代だったころから、50〜60代向けの服は落ち着いたデザインしかないといったことは言われていた。ただし、若いころにアイビーを経験した“団塊世代”は、基本となるファッションテイストがアメカジやトラッド。そうなると(ベーシックを強みとする)「ユニクロ(UNIQLO)」など既存のブランドでカバーできる部分も大きい。一方で、団塊の一つ下の世代である“DC洗礼世代”(現62〜68歳)は、20歳前後に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」といった“カラス族”を経験した人たち。大きな分類では“DC洗礼世代”以降から、ファッションで個性を表現するという意識が広がったと考えている。

 “団塊世代”、“DC洗礼世代”、その下の“ハナコ世代”(現56〜61歳)の女性は、結婚後一旦専業主婦になる率が高かった。しかし、“ばなな世代”(現51〜55歳)以降はDINKs(共働きの子なし夫婦)やシングルの比率も上がり、働き続けている女性も少なくない。そのように女性のライフスタイルは徐々に変化してきているのに、なぜか日本のファッション業界はずっと若い世代への提案にフォーカスしてきた。(50代以上向けのブランド開発がここにきて目立っているのは)そうした業界のあり方に物足りなさを感じている人が出てきたということだろう。ファッションで個性を表現してきたデザイナーやスタイリスト、モデルなどが50〜60代を迎え、自らが着たいものをデザインしたり、ディレクションしたりするようになっている。

WWD:日本の人口のパイとして最大の“団塊ジュニア世代”(現45〜50歳)も、50代の入り口を迎えている。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。