1. AKB48グループの衣装を手掛ける茅野しのぶクリエイティブ・ディレクター 衣装へのこだわりやTGCとの新プロジェクトを語る

AKB48グループの衣装を手掛ける茅野しのぶクリエイティブ・ディレクター 衣装へのこだわりやTGCとの新プロジェクトを語る

3月に開催した企画展「AKB48 衣装ミュージアム 衣装が語る少女たちのキセキ」
 AKB48グループの衣装制作やヘアメイクを行うオサレカンパニー衣装部は、東京ガールズコレクション(TGC)とコラボレーションしたファッションデザイナーを発掘・育成する新プロジェクト「ドリーム ランウェイ トウキョウ」をスタートした。受賞者は、9月に開催する「TGC 2015 AUTUMN/WINTER」でコレクションを披露することができるほか、オサレカンパニー衣装部から作品を発表する機会が与えられ、"未来のトップデザイナー"として支援を受けることができるというもの。現在も募集中で、締め切りは6月末まで延長している。

 「WWDジャパン」は、AKB48グループに所属する300人以上のアイドルの衣装を手掛ける茅野しのぶクリエイティブ・ディレクターに独占取材。6日に福岡のヤフオクドームで行われるAKB48の「第7回 選抜総選挙」を前に、衣装へのこだわりと新人発掘プロジェクトの狙いを直撃した。


茅野しのぶ/オサレカンパニー衣装部 クリエイティブ・ディレクター
1982年7月9日生まれ埼玉県出身、B型。
服飾専門学校在学中から、衣装のアシスタントを経験。フリーランスのスタイリストを経て、2005年にAKB48の衣装スタッフとして活動を開始し、13年にオサレカンパニー衣装部のクリエイティブ・ディレクターに就任WWDジャパン(以下、WWD):AKB48の衣装デザイナーになったきっかけは?

茅野しのぶクリエイティブ・ディレクター(以下、茅野):専門学校在学中からアイドル向け衣装スタイリストのアシスタントを始めました。秋元康さんがAKB48を設立し、このネット時代にあえて、会いに行ける劇場型アイドルを育てると聞き、「若いエネルギーを信じてやらせてもらいたい!」と自分から売り込みにいって採用されました。当初は制作着数が少なかったので、秋元さんが講師を務めていた京都造形芸術大学の学生がデザインしたものを、工場との間に入って、素材を決めたり、トワルを組んだりしていました。その後、2006年に「会いたかった」でメジャーデビューする際に、企画・デザインやアパレル素材の使用を本格的に担当するようになりました。

WWD:衣装をデザインする上でのこだわりは?

茅野:フリル、スパンコール、キラキラ、ヘソ出しといった一般的なアイドルの衣装を壊したいと思っていました。いかに、メンバーを身近に見せるかということで、テーマを制服にしました。AKB48は歌って踊るアイドルなので、腕が動きやすかったり、身体のラインがきれいに見えるパターンを採用して、工場からは「アイドルの衣装にここまでやらなくても」と言われるほど、こだわりは強く持っています(笑)。しかも、安っぽくは見せたくないので、選抜チームも研究生でもスタンスは一緒で、全員平等にフィッティングを行うことがポリシーです。本人のフィッティングでは、いわば聖徳太子状態です(笑)“360度どこから見てもかわいい”ということ、印象に残る衣装になるように意識しています。メンバーは一般の子たちでモデルではないので、それを踏まえてデザインします。衣装の調和を大事にしつつも、違和感が大切だと思っています。メンバーは、みな違った個性があるので、それを生かせるように調整する。例えば、板野友美がいた頃は、彼女の“今っぽい”雰囲気を表現するために、あえてスカートを短くしたり、小嶋陽菜はフェミニンな印象で、篠田麻里子はお姉さんぽくしたり、前衛的といった具合にデザインを変えています。

次:これまで作った衣装は、なんと◯万着以上!? ▶

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これまで手掛けてきた衣装は延べ5万着以上


衣装展では制作背景がわかるような演出を仕掛けたWWD:これまでにどのくらいの衣装を作りましたか?

茅野:延べ衣装は 通算5万着以上。型数が多いのが特長です。16人だったら、ボトムス4型 トップス4型をばらばらに組み合わせて、16通りになるようにします。また、それぞれに合った手作りのアクセサリーや小物も作っていますので、相当の量になりますね。

WWD:オサレカンパニー衣装部の教育方針は?

茅野:自発的で、提案できる人を育てようと思っています。若いやる気がある子が夢や理想を抱いて入ってきたけれど、あまりの忙しさにプライベートの時間がなかったり、睡眠時間がとれなかったり、想像していたことと違うと言って、辞めてく子も多いんです。自分の立場を自分の力で変える力を持ち、オリジナルのアイデアを生み出せる人。自分の強みを理解する人。私がよく伝えるのは、「電車の中で目の前に座ったオジサンでMVを撮る」って言われてもアイデアが考えられること。引き出しをたくさん持つことは大切。秋元康さんは、「クリエイティビティーは、両手両足をしばられた状態で、いかに人を感動させ、びっくりさせられるアイデアを考えられるかが重要」と言います。逆境で起死回生できるのが大切。1から10にするよりも、0を1にするのは大変なことです。その苦しみから、嬉しさと楽しみに感じられるようになることを教えたい。今衣装だけじゃなく、プラスアルファでアイデアを出せる人材を育てること、アイデアを生み出す過程を楽しめるような人を育てていきたいと思っています。

次:社員の年齢は20〜30歳前半!その理由は? ▶

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衣装のテーマは制服。“360度どこから見てもかわいい”デザインWWD:人を育てる上で、エピソードはありますか?

茅野:京都造形大学を出た一番弟子がSKE48を担当しています。紅白のときにSKE48は出番が少ないことがわかったときに、彼女に「悔しくない?」と問いかけたんです。「SKE48をもうちょっと出せば良かった」って思ってもらえるようにしようとハッパをかけたんです。そして仕上がった衣装は、膨らみがない衣装なのに、ターンをした瞬間にデザインが変わるものになり、とても話題になりました。3月に開催した衣装展では、単に衣装を並べるのではなく、興味を持ってもらえるようにその衣装を早替えをしているように展示しました。ファンの方やアパレルの専門学生にも「あれがどうなってるか気になっていた」と喜んでもらえました。


衣装展「AKB48 衣装ミュージアム 衣装が語る少女たちのキセキ」WWD:オサレカンパニー衣装部の強みは何ですか?

茅野:会社の強みは、“若さ”です。弊社社員は20~30歳前半までしかいません。専門を卒業して入った人が多く、気持ちも健康もタフでパワフル。良くも悪くも固定観念にしばられず、まだまだ若いからこそ、無鉄砲なところがあります。従来は衣装では使われないようなテーブルクロスの素材で衣装作ったりして、「こんなの作ってバカじゃないの」って思われるかもしれないけれど、発想力で突き進んで、稀に面白いアイデアが生まれます。工場でも、こんなの縫ったことないって言われますし、何でも作ってしまうのが私たちの特色かもしれません。総選挙のライブでは、切り込みが複雑で、生地と生地を編み込み、切り込み方も何通りも考えた。また、弊社は、美術大学や芸術大学を出た子が多いんです。ファッションを勉強したことない子も大勢います。逆にそういう子にデザインさせていたりします。他の衣装とは違う立体的なものが生まれてくることがあり、私はそれでいいと思っています。

次:TGCとのプロジェクトの狙いとは? ▶

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TGCとのコラボプロジェクトを始動WWD:TGCはどう見ていたか?

茅野:TGCは、時代を見越してたのかなって思います。リアルクローズをリアルクローズとしてファッションショーする新しい発想。従来のファッションショーは、実際には街で着られるような服を見せていて、ファッション関係者だけが賞賛している気がします。TGCはそれを変えて、「あ、この服いい!」と一般の人たちが見に行けますし、ショーには、読モやテレビで見掛けるアイドルがでてくることが革命的だと思いました。店頭に売っている服もファッションショーに出ると更にかわいくみえる。ブランドもTGCでファッションショーを見せることによって購買につながる。それを身近なSNSで発信しているところも、どこよりも早く取り入れていました。


衣装展で展示されたデザイン画WWD:TGCとのプロジェクトの狙いは?

茅野:今の若い子を見ていると「それなりに楽しめればいい」と思っている子が多いとおもいます。高校生やファンの子に夢を聞くと、“重圧があるより、それなりでいい”と夢や幸せを諦めていると感じました。昔より、一歩踏み出すことに恐怖感を持つようになっている気がします。「下積みして何の意味があるんだろう」と思っている子もいます。そういう子こそ応募してほしいです。単純に勢いだけで進んできた私たちがこのプロジェクトを主催することで、若い子が「わたしでも応募してみようかな」っていう気軽に考えてもらえるかなと思いました。埋もれている子や夢を持っている子たちが、一歩踏み出す一つのきっかけになれば嬉しいです。そういう子が、ファッション界に入って、自分の道を切り開こうという動きがないと、ファッション業界が衰退してしまう気がします。かしこまったデザイン大賞じゃなくて、身近にあるがTGCで開催することで、普通の子がステージに上がることが出来る可能性がある。専門学校で学んでいる子でも、ファッションもやったこと無い子でも、将来の可能性を決めつけず、フランクに応募してほしいです。デザイン画はうまいけど、実際に服を作れない子も、グラフィックデザインが出来る子も挑戦してほしいです。

【ニュース】AKB48の衣装制作チームが"未来のトップデザイナー"を支援 オサレカンパニー×TGCの新プロジェクト ▶︎

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