Fashion. Beauty. Business.
思い出すロベルト・カヴァリ邸
ロベルト・カヴァリがこの世を去りました。一時はジャパン社もありましたが正直難しく、世界的にも本人と再建先が歩調を合わせられなくなって以降は、ピーター・デュンダスからポール・サリッジ、そしてファウスト・プリージとデザイナーを次々と変えています。
「H&M」とのコラボレーションを発表したとき、フィレンツェを望む丘に構える邸宅に伺ったことがあります。ブランドらしい、ご本人らしい邸宅でした。石造りの邸宅は、バロック様式の調度品と動物の置き物、熱帯植物のようなジャングルにカラフルなオウムが印象的でした。記事にある中東のホテル事業には、確かに活路がありそうです。
ご冥福をお祈りします。
ロベルト・カヴァリが83歳で死去 アニマルプリントやセクシーなドレスで世界的ブランドを確立
イタリア人ファッションデザイナーのロベルト・カヴァリ(Roberto Cavalli)が、イタリア・フィレンツェで死去した。享年83歳。1970年に自身の名を冠したブランドを立ち上げたカヴァリは、大胆なアニマルプリントやビジューをあしらったダメージジーンズ、セクシーなドレスなどグラマラスなデザインで知られ、世界的なファッション&ライフスタイルブランドを築き上げた。
芸術家の家系に誕生
1940年、祖父のジュゼッペ・ロッシ(Giuseppe Rossi)をはじめとする芸術家の家系に生まれたカヴァリは、フィレンツェの芸術学校で学んだ後、アーティスティックな才能をファッションの道で開花。70年にパリで初のプレタポルテ・コレクションを発表した。70年代初頭には、レザーへの革新的なプリント加工を開発し、特許を取得。72年には、南仏のリゾート地であるサントロペに初のショップ「リンボ(Limbo)」をオープンし、成功を収めた。そして73年、フィレンツェのピッティ宮殿サラ・ビアンカ(白の間)で開かれていた名高いファッションショーに招かれ、「ミッソーニ(MISSONI)」「クリツィア(KRIZIA)」「フェンディ(FENDI)」などと共にレザーアイテムを披露した。
82歳で6人目の子供のパパに
カヴァリは、64年に最初の妻となるシルヴァネッラ・ジャンノーニ(Silvanella Giannoni)と結婚した。その後、77年にドミニカ共和国で開催されたミス・ユニバースの審査員を務めた際に出会った出場者のエヴァ・マリア・デュリンガー(Eva Maria Dueringer)と80年に再婚。デュリンガーはカヴァリの主要なコラボレーターにもなり、94年にはブランドの共同クリエイティブ・ディレクターに就任した。彼にはジャンノーニとの間には2人、デュリンガーとの間には3人の子供がいる。そして、今年初めにはモデルのサンドラ・ニルソン=バーグマンとの間にも子供を授かり、82歳にして再び父となった。そんなカヴァリの人生は、彼の手掛けるコレクションの華やかさと力強いエネルギーを映し出すようだった。
全盛期にはビジネスを多角化
「ロベルト カヴァリ」はミラノ・ファッション・ウイークの常連であり、全盛期にはシグネチャーブランドに加え、コンテンポラリーライン「ジャスト カヴァリ(JUST CAVALLI)」、ブリッジラインの「カヴァリ クラス(CAVALLI CLASS)」、キッズライン、ホームライン、フレグランス、さらにクラブやカフェなどホスピタリティビジネスも展開。世界で約200店舗のネットワークと7億1000万ユーロ(約1164億円)以上の売上高を誇った。2007年には、「H&M」とのコラボコレクションを発表。セレブリティーとの親交も深く、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)やグウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)からマドンナ(Madonna)までが長年に渡りレッドカーペットで同ブランドを着用してきた。
現在はドバイの投資会社傘下に
ただ、00年代後半からブランドは困難な時期に直面し、売却を模索。15年にイタリアの投資会社クレシドラ(CLESSIDRA)が買収した後、大規模なリストラを含む再建を進めた。しかし、赤字経営が続き、財政難に陥っていた19年、債権者との和議を継続する間の経営を可能にするため、ミラノの裁判所に再建計画を提出するとともに、米子会社は清算のために米連邦破産法7条を申請。結果、ドバイの投資会社であるビジョン・インベストメント(VISION INVESTMENT)が買収した。現在、同社はドバイに「カヴァリ」ブランドの5つ星ホテルを建設中だ。
カヴァリ退任後、度々変わるデザイナー
クリエイティブ・ディレクターに関しては、徐々にファッション界から身を引いたカヴァリの後を継ぎ、15年に「エマニュエル ウンガロ(EMANUEL UNGARO)」や「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」のコレクションを率いたピーター・ドゥンダス(Peter Dundas)が就任。1970年代を連想させるロックテイストでセクシーなデザインを手掛けた。その後、2017年には「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ジー ゼニア(Z ZEGNA)」「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」などでキャリアを積んだポール・サリッジ(Paul Surridge)が就任。デイウエアやメンズウエアの強化に貢献した。
19年3月にサリッジが退任して以降はデザインチームでコレクションを手掛けてきたが、20年10月にファウスト・プリージ(Fausto Puglisi)がクリエイティブ面のトップに就任。2021-22年秋冬にデビューコレクションを披露した。22年からはプリージにとって初めてのクチュール・コレクションも制作。セレブ御用達ブランドとしての地位を取り戻すともに、アニマルプリントやセンシュアルで華やかなスタイルなど創業者の精神を生かしたデザインで、再起を図っている。
高島屋、営業利益が33年ぶり過去最高に

高島屋の2024年2月期連結業績は、売上高に相当する総額営業収益が前期比8.0%増の9522億円、営業利益が同41.3%増の459億円、純利益が同13.6%増の316億円だった。いずれの利益項目においても過去最高となり、営業利益に関しては連結決算を開始した1991年2月期以来の最高益となった。
主力の百貨店事業の総額営業収益は前期比6.8%増の8054億円。そのうち国内百貨店の売上高は前期比10.6%増、コロナ前の20年2月期と比較しても7.5%増だった。免税売上高は687億円と、20年2月期の496億円を上回り過去最高となった。中国人の売上高は団体客の減少により331億円で、20年2月期の水準(382億円)には及ばない。一方、それ以外の国からの観光客の売上高合計は356億円と、20年2月期(113億円)の3倍以上に伸びた。
商品別では、やはりインバウンド効果の大きいラグジュアリーブランドなどの高額品が前期比17%増と大きくけん引。リアルクローズの衣料品も同11.7%増と高伸長だった。
今期は営業利益500億円を計画
足元の好業績について村田善郎社長は、「グループの中核である百貨店がけん引する構図を作ることができている」と手応えを話す。「ただ、コロナの5類移行や水際対策緩和によるインバウンドの急増など、(好業績の背景には)『リバウンド』の要素が多分にあることも事実。過去最高益に浮かれるのではなく、気を引き締め直す。今期(25年2月期)はわれわれの本当の力が試される年になる」。
25年2月期連結業績予想は、総額営業収益が前期比4.8%増の9980億円、営業利益が同8.8%増の500億円、純利益が同7.5%増の340億円。免税売上高についてはさらなる追い風を見込み、前期比24%増となる850億円を計画する。
三陽商会が営業利益36%増 24年2月期、百貨店が堅調
三陽商会の2024年2月期連結業績は、本業のもうけを示す営業利益が36.3%増の30億円だった。暖冬による防寒衣料の低迷によって昨年10月に発表した修正予想には届かなかったものの、販管費の抑制などコストコントロールを重ねたことが奏功した。
売上高は同5.3%増の613億円。「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ」「ポール・スチュアート」など基幹7ブランドが堅調に推移した。売上構成の65%を占める百貨店に「着実にお客さまが戻ってきている」(大江伸治社長)。プロパー販売比率は1ポイント改善の66%となり、平均売価は10%上昇した。純利益は同29.3%増の27億円だった。
25年2月期の予想は売上高が前期比1.9%増の625億円、営業利益が同8.3%増の33億円、純利益が同11.2%増の31億円。百貨店では新規9売り場、改装30売り場を計画する。また複数のブランドで構成する「サンヨースタイルストア」も増やす。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。