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AIに代替されない販売員の仕事

ユニクロが入社1〜2年目の新人店長の給料を29万円から39万円に引き上げたのが今年1月のこと。同社以外にも、しまむら、アダストリアなどが今春の決算会見などで賃上げに言及しました。そうした世の潮流を反映し、クリーデンスによれば、アパレル店長の平均年収が2022年度は前年度に対し14万円アップしたとのこと。単純計算で、月に1万円強の賃上げということでしょうか。

「10年後にAIによって奪われる仕事ランキング」といったものがSNSでよく流れてきます。われわれ記者も例外ではなく、いかに代替されない記事を書くか、考える機会は増えました。時々、店頭で「この人すごい!」という販売員さんに出会います。懐に入ってくるコミュニケーション力、提案力、パッションやホスピタリティー。あれって絶対代替できないもの。そんな才能あふれる販売員さんたちが、生き生きとやり甲斐を持って働ける業界であればと思います。

「WWDJAPAN」編集委員
五十君 花実
NEWS 01

アパレル業界平均年収は346万円、店長の年収は14万円増 2022年度調査

パーソルキャリアが運営するファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は、「ファッション業界 職種別平均年収2022年度版」を発表した。「クリーデンス」の転職サービスに登録したユーザーの給与データをもとに算出した。

22年のファッション業界平均年収は346万円で、前年の343万円に対して+3万円増で着地した。最も平均年収が高い職種は「マーケティング」で、次いで「MD・バイヤー」、「営業・店舗開発」。「マーケティング」は、EC化の加速によりデジタルマーケティングの知見を持つ人材のニーズが高まっているため、年収が高い傾向にあると考えられる。

前年比で見ると、最も上がったのは「店長」で14万円増、最も下がったのは「パタンナー」で27万円減だった。年齢別で見ると、25~29歳は8万円増、30~34歳は6万円増、35~39歳は13万円減だった。

22年はコロナ禍の20〜21年の2年間を取り戻す1年になった。リブランディングや新業態の打ち出し、EC化率の増加、さらにはSNSの活用などを強く推進したことで変革に成功し、コロナ前の売上を上回った企業も多くある。それに伴い、人材獲得に投資できるようになったことや、昨今の“人への投資”や物価高による賃上げの流れから、業界で働く人々の年収もアップした。

分析を担当したクリーデンスの事業責任者の荒木学氏は、新型コロナウイルスの5類移行を受けてインバウンド需要が回復し、売上増加が見込まれることから「店長」や「販売」などの実店舗での接客にかかわる職種を中心に今後も年収が上がるとと予想する。一方、コロナ禍から回復したことで業務が増えた企業では、時短勤務者を新たに採用し、仕様書の作成や工場への作業発注などを任せるケースが増えた。こうした変化は、年収に影響を与えることが想定されるが、アパレル業界の長年の課題であったライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が広がるきっかけになると見る。

■職種・年齢別平均年収

全体:25〜29歳 320万円/30〜34歳 367万円/35〜39歳 396万円

デザイナー:25〜29歳 331万円/30〜34歳 381万円/35〜39歳 408万円
パタンナー:25〜29歳 271万円/30〜34歳 324万円/35〜39歳 343万円
MD・バイヤー:25〜29歳 365万円/30〜34歳 452万円/35〜39歳 509万円
プレス・販促・VMD:25〜29歳 366万円/30〜34歳 446万円/35〜39歳 456万円
営業・店舗開発:25〜29歳 396万円/30〜34歳 445万円/35〜39歳 503万円
店長:25〜29歳 360万円/30〜34歳 386万円/35〜39歳 435万円
販売:25〜29歳 307万円/30〜34歳 337万円/35〜39歳 351万円
生産管理・物流・貿易:25〜29歳 372万円/30〜34歳 408万円/35〜39歳 431万円
マーケティング:25〜29歳 410万円/30〜34歳 481万円/35〜39歳 648万円
ウェブ・EC:25〜29歳 350万円/30〜34歳 387万円/35〜39歳 425万円

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NEWS 02

「ヒステリックグラマー」「アークテリクス」ランクイン 「セカンドストリート」で売れたブランド(23年春)

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全国800店舗以上を展開する総合リユースショップ「セカンドストリート(2nd STREET)」で、今夏売れたブランドは何か?3〜5月に人気だったブランドTOP5をカテゴリーごとに一挙に紹介する。

デザイナーズで人気は、メンズは引き続きデニムが強い「ディーゼル(DIESEL)」。ウィメンズでは「プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ」が首位に輝いた。アウトドアでは「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「パタゴニア(PATAGONIA)」のツートップが不動。ガーリー系では「スナイデル」が圧倒的人気を誇る。デザイナーズでは「ヒステリックグラマー」、アウトドアでは「アークテリクス」が浮上してきた。

なお、ランキングは初期売価3900円以上の商品(一部を除く)が対象で、カテゴリーは「セカンドストリート」判断に依る。

デザイナーズ(メンズ)

1.「ディーゼル」パンツ、Tシャツ、ジャケット、パーカ
2.「モンクレール」Tシャツ、ダウンジャケット、ナイロンジャケット
3.「ディースクエアード」パンツ、Tシャツ
4.「クロムハーツ」Tシャツ、長袖Tシャツ、スエット
5.「ヒステリックグラマー」Tシャツ、パンツ、長袖Tシャツ

売れ筋傾向:

春季の傾向として「ディーゼル」「ディースクエアード」「ヒステリックグラマー」などユーズド加工のデニムに定評があるブランドが名を連ねた。またブランドロゴや人気モチーフがプリントされたTシャツが好調推移となり、「ヒステリックグラマー」のガールグラフィックがプリントされたTシャツや、「クロムハーツ」のクロスがプリントされたTシャツの需要が高い。

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最新号の読みどころ

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。