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仕方ない「トゥー フェイスド」の日本撤退
ELCジャパン、つまりエスティローダー(EL) グループが、米カリフォルニア発のメイクアップブランド「トゥー フェイスド」の日本撤退を発表しました。正直、仕方のない印象があります。比較的高額ゆえ百貨店を中心とする「カワイイ」市場は、「ジルスチュアート ビューティー」がかなり強く、毎月発売の限定リップなどニュースにも事欠きません。一方「トゥー フェイスド」を含むELグループのブランドの多くは、競合のロレアルブランドに比べるとコロナ禍以降、コミュニケーションがかなりおとなしい印象です。若い世代を捉えるには、「M・A・C」に専念した方がという判断も働いたのでしょう。
この「カワイイ」については、韓国コスメの得意分野で、日本のプチプラ勢もアイデンティティとして依拠している印象がありますから、競合だらけです。違う印象を与えて生き残るには、コロナが大きな壁になってしまいましたね。
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「トゥー フェイスド」が日本撤退 年内で販売終了
ELCジャパンは6月9日、米カリフォルニア発のメイクアップブランド「トゥー フェイスド(TOO FACED)」の日本事業撤退を発表した。年内を目処に全店舗およびECサイトの営業・販売を終了する。新商品は、6月2日に発売した“イタリアン スプリッツ コレクション”が最終となる。
「トゥー フェイスド」は1998年にジェロッド・ブランディーノ(Jerrod Blandino)とジェレミー・ジョンソン(Jeremy Johnson)共同創業者が立ち上げた。世界初のグリッターアイシャドウを作るなど、型破りでウィットに富んだ商品を生み出してきた。2016年にエスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)が買収。日本には19年9月に上陸し、現在は渋谷スクランブルスクエアや伊勢丹新宿本店など全国に7店舗を構える。
本国での業績は好調で20代の女性を中心に人気を集める。調査会社のNPDグループ(NPD GROUP)によると、米国では22年時点で7番目に大きな規模のプレステージメイクアップブランド。昨年7月には共同創業者のジェロッドとジェレミーが退任し、後任としてアルタ(ULTA)出身のタラ・シモン(Tara Simon)がグローバル・ブランド・プレジデントに就いていた。
「シャネル」本国トップに聞く、「東京での“ファッションショー以上”のイベントの狙いは?」
「シャネル(CHANEL)」は6月1、2日、東京で2022-23年メティエダール・コレクションのファッションショーに関するイベントを開催した。昨年12月にセネガルの首都ダカールで開催したファッションショーの再演に際しては、東京でも音楽やダンス、カルチャーと融合。VIP顧客にはアンバサダーの小松菜奈や橋本愛を招いたスタイルトークなどを催しつつ、若い世代には同じくアンバサダーのクリステン・スチュワート(Kristen Stewart)や宮沢氷魚を招いて手仕事の魅力やサステナビリティ、女性のエンパワーメントについて語り合うイベントを企画するなど、複合的なイベントでさまざまな人と繋がろうと試みた。ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル グローバル ファッション部門 プレジデント兼シャネルSASプレジデントに、その意図を聞いた。

ブルーノ・パブロフスキー シャネル ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデント プロフィール
ボルドー スクール オブ マネージメント卒業。ハーバード ビジネススクールで経営学修士号取得。監査コンサルタントを経て1990年シャネル入社。同社の主にファッション部門の要職やエレス社長などを兼任し、2018年9月から現職。フランス インスティテュート オブ ファッション理事、フランス インスティテュート オブ ファッション客員教授なども務める
WWDJAPAN(以下、WWD):ファッションショーとアフターパーティだけでなく、VIP顧客との交流はもちろん、若い世代とのトークイベントまで、「ファッションショーを中核とする複合イベント」を開催する狙いは?
ブルーノ・パブロフスキー/シャネル ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデント (以下、ブルーノ・プレジデント):一言で言えば、さまざまな人と「コネクト」するため。そして、お客さまから若い世代までをインスパイアして、インスピレーションの源としての「シャネル」の存在を知り、愛してもらうためだ。
WWD:「コネクト」するには、音楽やダンス、カルチャーとの融合が必要なのか?
ブルーノ・プレジデント:ダカールで音楽やダンス、カルチャーと繋がったら、新たなエネルギーが生まれ、パリとダカールがつながった。東京でも、この街の音楽やダンス、カルチャーと繋がれば、パリとセネガル、そして東京がリンクする。発表したのは、セネガルと同じメティエダール・コレクション。だが環境が変われば、また違って見えるだろう。私たちが最終的に伝えたいのは、「シャネル」の洋服の魅力。手に取り、袖に腕を通して、毎日楽しんでほしい。でも今、洋服を手に取っていただくには、全方位的な、強いコネクションを持つことが欠かせない。そのためには、イベントを複合的に進化させることだ。
「パリ・コレクションは『あなたの時間』
メティエダールは『シャネル』の時間」
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「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。
