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フィービー、カムバック! 7月に「登録」とは?
フィービー・ファイロ、カムバック!日本時間の金曜朝に広く伝わると、その日は終日期待のSNS投稿が溢れました。「新しいものを見せてほしい」「また、日本の素材をたくさん使ってほしい」「他のブランドは、戦々恐々?」、そんな投稿が多かったでしょうか?
記事を読む限り、新コレクションはウェブで発表&発売。ただ7月から受け付けるという、「登録」とはなんでしょう(笑)?これまでも比較的エクスクルーシブなコミュニティを築き、商品を購入することで、そこに仲間入りできる予感を抱かせるのが上手だったデザイナーのビジネス戦略にも注目です。
フィービー・ファイロの新ブランドがついに始動!9月に初のコレクションを公開・発売へ
フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)前「セリーヌ(CELINE)」クリエイティブ・ディレターの手掛けるシグネチャーブランド「フィービー ファイロ」は、2023年9月に初のコレクションを公式ウェブサイトで公開・発売することを発表した。公式インスタグラムアカウントの投稿には、「7月に登録を開始する」旨も記されている。ファイロのカルト的な人気と、時代の潮流を敏感に感じ取るアンテナを考えると、彼女の復帰は生活者やエディター、小売店関係者から喝采を浴びることは間違いない。そして、おそらく同業デザイナーの中には、戦々恐々している者もいるだろう。
ファイロは21年7月、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)を少数株主として、独立したブランドでファッション界に復帰することを発表。当時、彼女は「卓越した品質とデザインに根差した」服とアクセサリーを作ることを掲げ、「私は、自分の顧客や世界中の人々と再び触れ合うことをとても楽しみにしている。独立して、自分の責任のもとブランドを運営していくことは私にとって非常に重要なこと」と語っていた。しかし、それ以降は口を閉ざし、極めて控えめに準備を進めてきた。
20年後半からロンドンを拠点にチームを作り、昨年5月にはパトリック・シレン(Patrik Silén)がマネジング・ディレクターに就任。ビジネス特化型SNSの「リンクトイン(LinkedIn)」によると、シレン=マネジング・ディレクターは04年にハーバード・ビジネススクールを卒業し、プロクター&ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)でキャリアをスタート。経営コンサルティング会社のミッチェル・マディソン・グループ(MITCHELL MADISON GROUP)などを経て、マッキンゼー&カンパニー(McKINSEY & COMPANY)で16年間経験を積んだ。その後、英ファッションEC大手エイソス(ASOS)の最高戦略責任者や、システム変革を手掛ける英企業システムIQ(SYSTEMIQ)のシニアアドバイザーを務めてきた人物だ。
また、ファイロはスタジオの強化も続けており、業界関係者によると、昨年には「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデニムデザイナーとワークショップのトップ、そして、「バーバリー(BURBERRY)」から人事担当の重役を迎えたという。
「ロンハーマン」ワイキキ店がオープン 2年半かけて作り上げた、ここだけの購買体験
ロンハーマンは、米ハワイ州オアフ島の新店舗「ロンハーマンワイキキ店」を2月11日(現地時間)にオープンした。出店先は、ワイキキビーチに臨むオアフ最古のホテル「モアナ サーフライダー ウェスティン リゾート&スパ(MOANA SURFRIDER, A WESTIN RESORT & SPA, WAIKIKI BEACH)」の1階。ワイキキのメインストリート“カラカウア通り”に面し、ローカルの人から観光客まで終日賑わう一等地だ。オープン前日には、祈祷師“カフ”によるセレモニー“ハワイアンブレッシング”を経て、レセプションパーティーを行った。「ロンハーマン」日本上陸の立役者で、同事業を統括するサザビーリーグの三根弘毅取締役上級執行役員兼リトルリーグカンパニー・プレジデントは、集まった人々を見て「感動だね。ここにいる人々のバイブがいい。店だけど、店じゃない。心の緊張がほぐれて、癒やされて、明日から頑張ろうと思えるーーそんな“場所”になってほしい」と語った。
地球や海に着想したアートで
ブランドメッセージを発信
店舗面積は約297平方メートル。別ブランドが退店したタイミングで出店を決め、2年半の準備期間を経てオープンにこぎ着けた。店舗脇にあった入り口を正面へと変更し、入り口付近の床を下げて開放感を演出するなど、内外装から大きく手を加えた。
店内は白を基調としたクリーンな空間で、什器は大理石やウッド、シルバー、ゴールド調など、さまざまな素材をミックス。また、捨てられたスケートボードデッキを無数に重ね合わせたアンモナイト型のウオールアートをはじめ、“地球”や“海”に着目したアートを飾り、「真の持続可能な活動を探求する」という「ロンハーマン」のメッセージを伝える。
ハワイだから実現した限定品と
同店らしいテイストミックス
ほかにない店舗体験を目指して、限定商品を多く企画した。ウィメンズは、ハワイの伝統衣装“ムームー”をリメイクしたジャンプスーツや、インド産のビンテージのブロックプリント生地を使ったワンピース、ハワイの朝焼けをイメージした持ち手が付く「ステートオブエスケープ(STATE OF ESCAPE)」のバッグなど。メンズは、ビンテージのミリタリーシャツにハワイにまつわる絵柄を手刺繍した商品や、黒を基調とするゴルフウエア「オブシディアン(OBSIDIAN)」に別注したホワイトカラーの限定ウエアなどのほか、「ロンハーマン」メルローズ本店のオリジナルライン「アールエイチエルエー(RHLA)」を他店で初めて扱う。雑貨も豊富で、ハワイの伝統染め技術“スロウタイド”を駆使したビーチタオルや、「ミアー(MIIR)」とのコラボタンブラーなどがそろう。
カラカウア通りは世界中のメゾンブランドが直営店を構えるが、セレクトショップという業態は珍しいという。同店ではリゾートやパーティーでの着用を想定しながら、さまざまなテイストを隔てなく並べて“自由なファッションの楽しさ”を表現する。
「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ザ・ロウ(THE ROW)」「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」などのデザイナーズブランドの新作に、“現代のハワイアンスタイル”を提案するオアフのアパレルブランド「サルベージパブリック(SALVAGE PUBLIC)」のスエットやデニムパンツ、「リーバイス(LEVI'S)」のリメイクデニムで知られる「リダン(RE/DONE)」のホワイトデニム、プロサーファーのケリー・スレーター(Kelly Slater)とクリエイティブ・ディレクターのジョン・ムーア(John Moore)によって設立された「アウターノウン(OUTERKNOWN)」の水着などをミックスする。LA拠点のファインジュエリー「ホーセンブース(HOORSENBUHS)」もハワイ初上陸する。
同店は、サザビーリーグが米ロンハーマンから商標・事業を譲受してから初の海外店舗だ。今後の海外出店について三根プレジデントは、「もちろん考えているが、場所は慎重に選ぶ。ハワイだって、アラモアナ(センター)のほうが儲かるだろうけど、そこに興味はない。他の店から、『そんなところに?』と思われるような場所で、自分たちにしかできない面白いことをしたい」と話す。
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。