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家電を掛け合わせるアイリスオーヤマに対抗するには?

 アイリスオーヤマのアパレルブランドは、家電を応用するそうです。そういえばこの夏、ファン付きのワークウエアを着ている人、これまで以上に頻繁に見かけたと思いませんか?そして、なんの違和感もなく受け入れられるようになったと思いませんか?こんな機能服は、まもなく当たり前になるんでしょうね。

 対するアパレルブランドは、どう戦いましょうか?相手が家電という異業種のノウハウを掛け合わせるなら、私たちも同じように隣の業界・違う業界から、そろそろ真剣に学ばなければと思います。

 余談ですが、アイリスオーヤマの本社は、私が大学時代に住んでいたマンションの向かいにありました(笑)。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

アイリスオーヤマが衣料品に本格参入 ヒーターなど家電を応用

 アイリスオーヤマは、家電製品の技術を応用したアパレル事業を本格化させる。オリジナルブランド「ファンクト(FNCT)」で夏に発売したファン付きアウターに続き、秋冬物としてヒーター付きのアウターを販売した。体感できる機能性をつけた服によって、アウトドアスポーツやキャンプなどの市場を開拓する。

 9月24日に発売した新商品21アイテムは、ヒーターを搭載しながら薄さと軽さを両立した“ファンクトヒートシリーズ”と、ユニセックスで日常のファッションになじみやすい“ファンクトシリーズ”で構成する。グループのホームセンターであるユニディやダイシンの店舗のほか、ネット通販で販売する。ヒーター搭載のウエアは炭素原子の繊維“カーボンナノチューブ”を採用することで、ヒーターの電源稼動後に短時間で均一に温まる。温度も4段階で調整できる。衣類部分は給電コードも含めて水洗いできる。

 ヒーター搭載の代表的なアイテムの税込価格は、撥水リバーシブルヒートブルゾン8900円、マウンテンヒートパーカ8500円、インナーヒートベストセット9900円。ヒーターが付かないタイプでは、あったか裏アルミボアパーカ4900円など。

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NEWS 02

宮永えいとがyutori片石らから資金調達 月商1億円ブランドへ

 宮永えいとが代表を務めるCiiKは、第三者割当増資により3000万円の資金調達を行った。引き受け先は、アパレルブランド「ウィンダンシー(WIND AND SEA)」経営者の赤坂優氏が代表を務めるAAファンド、主にライフスタイルやエンタメ、スポーツ領域に出資するWベンチャーズ(W ventures)、そしてyutoriの片石貴展代表取締役だ。資金は、宮永がプロデュースするメンズコスメブランド「レタッチ(RETOUCH)」の新規プロダクト開発などに充てる。

 宮永はユーチューブチャンネル「大人男子ラボ」で約15万の登録者を持つインフルエンサーだ。スキンケアやメイク、ヘアなどの情報を発信し、今年1月には「レタッチ」をローンチした。過去に都内のヘアサロンで店長を務め、今もサロンワークを続ける現役美容師でもある。

 インフルエンサー自らが資金調達し、事業拡大するのは珍しい。「正直、お金がめちゃくちゃ欲しかったわけではない」と語る宮永に、真の目的と今後の展望を聞いた。

WWD:調達した資金の使い道は?

宮永えいと(以下、宮永):「レタッチ」の新規プロダクト開発や事業拡大に充てます。まずはヘア関係のプロダクトを増やす。これまでリップやBBクリームも作ってきましたが、ヘアバームは初回生産分5000個が完売し、急きょ追加生産するほど大きな反響でした。世の中の男性の身だしなみは髪から始まるんだと実感しました。

WWD:「レタッチ」の強みは?

宮永:僕自身が美容師でヘアの知見を持ってることに加えて、ユーチューブでユーザーのニーズをキャッチできること。動画を分析すれば、どんなトピックに興味があって、どこで離脱されて、どこで登録者が伸びているかが分かる。一種のマーケティングツールなんです。今後も動画やればやるほど、プロダクトの精度も高まります。

WWD:ECや百貨店のほか、全国のヘアサロンと組んで店販するビジネスモデルも奏功している。

宮永:美容師と横の繋がりがあるのは大きいです。中には1カ月で200個売ってくれる美容師もいます。お客さんにも求められるし、プロも使いやすい。これは僕ならではの商品提案力だと思います。

“インフルエンサー”の
イメージを払拭したい

WWD:実売を考えると、自己資本でも十分賄えそうだ。

宮永:正直、めちゃくちゃお金が欲しかったわけじゃありません。僕は男性の身だしなみに課題を感じて、社会貢献できるブランドを本気で作りたいと思っている。でも1人の美容師であり、インフルエンサーだから、「レタッチ」には“インフルエンサーが出したブランド”という認知が少なからずあるんです。このイメージを払拭したい。そこでビジネスのプロと組んで自分のビジョンを共有し、それを達成する環境を整えました。

WWD:名だたる投資家のサポートによって、ブランドに箔が付く。

宮永:そうです。それと、自分自身に発破をかけるためでもあります。美容の現場しか知らない僕は、世の中のビジネスがどう回っているか、どうやって資金調達するかは全く知らないし、数字も強くない。でもそれを言い訳にしていたら理想のブランドは作れません。今ここで本気でプレゼンして、一流のビジネスマンに認めてもらうことができたら、自分自信も成長する。その一心で行動しました。今回、ライフスタイルや見た目に関する事業に強い3人に仲間になってもらえて、本当に心強いです。

WWD:株主とのつながりは?

宮永:Wベンチャーズの東明宏さんは、僕も所属する「ゴウトゥデイシェアサロン(GO TODAY SHAiRE SALON)に出資されていて知り合いました。片石さんは、実は彼の弟さんの髪を切っていて、そこからつながりました。赤坂さんは片石さんからの紹介です。

WWD:今後の展望は?

宮永:プロダクト数を増やして月商1億円をコンスタントに達成することが当面の目標です。“大人男子の身だしなみをアップデートする”に関係することなら、どんどん挑戦していきたい。開発中の商品がたくさんあるので、まずはそれらを早く詰めてローンチしていきます。楽しみにしていてください。

株主が語る出資の決め手

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。