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進む資生堂の選択と集中

 資生堂が「ローラ メルシエ」「ベアミネラル」「バクサム」の売却を発表しました。さらに先日は「ツバキ」などを含む日用品事業の売却も発表し、同社のブランドポートフォリオの整理が進んでいます。競合のロレアルやエスティ ローダーもブランドの“選択と集中”を進めていますが、それに比べても資生堂は思い切った決断ですね。

 最近大手各社の6月期決算も発表されました。どこも中国や北米市場が復調しているようですが、ビューティはメイクアップ需要が戻らない限り、完全なる復調への道のりはまだ長いように感じます。例え感染拡大が収まってもマスクを着用し続ける人はいそうですし、旅行客の受け入れもまだまだ先のことになりそうだな、と。そう思うと、これくらい潔い判断も必要なのかもしれませんね。
 

北坂 映梨
NEWS 01

資生堂が「ベアミネラル」など3ブランドを米投資ファンドに売却

 資生堂は、「ベアミネラル(BAREMINERALS)」「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」「バクサム(BUXOM)」を米投資ファンドのアドベント・インターナショナルに売却することを発表した。3ブランドの売却額は7億ドル(約770億円)で年内に譲渡が完了する予定だ。

 同社は現在、スキンビューティ領域を軸とした事業構造に転換しており、ブランドのポートフォリオの見直しを実施。その一環で2010年に買収したミネラルメイクブランド「ベアミネラル」と「バクサム」、16年に買収した「ローラ メルシエ」を売却する。3ブランドの20年12月期売上高は448億円で、連結売上高の4.9%を占める。売却による21年12月期の業績に与える影響は精査中という。

 同社は4月に「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ(DOLCE&GABBANA BEAUTY)」のライセンス契約の一部を解消、7月にヘアケアブランド「ツバキ」やスキンケアブランド「専科」などを扱う日用品事業を売却。2023年の事業収益復活に向けた基盤作りを推進している。

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NEWS 02

パルコが女性のウエルネス領域で新事業 11月に心斎橋店内に医療モールをオープン

 パルコが医療モールの開発・運営事業に参入する。パルコの主要顧客である20〜40代女性を中心対象に、「医療から物販、サービスを垣根なく提供する医療ウェルネスモール」として「ウェルパ(Welpa)」を立ち上げ、その1号拠点を心斎橋パルコの10階に11月にオープンする。産婦人科、皮膚科、美容皮膚科、歯科が入るほか、ラウンジと呼ぶ待合スペースでのセミナーやギャラリー展示、物販などを通し、健康分野の気づきを提供する。

 事業立ち上げに先立ち、2019年3月に開業した錦糸町パルコ7階で、婦人科や歯科が入る医療モールを運営している。「非常に多くの地元のお客さまに利用いただいている」と、森田幸介パルコ ウェルネス事業部部長。錦糸町での手応えや、近年“フェムテック”といった言葉の盛り上がりとともに女性の健康課題に注目が集まっていることから、「ウェルパ」立ち上げを決めた。「病気になってから行くのではなく、毎日をより快適に暮らすための場所」として打ち出し、パルコ内の他フロアや、心斎橋では隣接する大丸心斎橋店とのシナジーを狙う。
 
「ウェルパ」では、他の事業者と組み開発を行うオープンイノベーションの形を採用。錦糸町パルコでもタッグを組んでいるスマートメディカル(柴崎望社長)がクリニックの誘致や管理などを担当しているほか、オーダーメードサプリサービスなどの事業を行うスタートアップ企業で、パルコが出資するドリコス(竹康宏社長)も開発に参加している。

 併せて、「ウェルパ」のネーミングや内装デザイン、広告ビジュアルなどのクリエイティブ面は、“社会派クリエイティブ”を掲げるアルカの辻愛沙子CEOが担当。「日本の女性は健康診断や人間ドックなどの検診未受診率が高い。まずは(若い女性でもかかりやすいガンがあることなどを)知ってもらうことが大事。クリニックではあっても、リラックスできる空間にしたかった」と辻CEO。ラウンジ運営では、フェムテック商品の販売やコンサルティングなどを行うフェルマータの中村寛子CCO(最高クリエイティブ責任者)とタッグを組む。「『ウェルパ』が、ショッピングも楽しみながら、自分の体の悩みやモヤモヤに気づいてもらう場所になれば」と中村CCO。

 心斎橋以降の出店計画は未定だが、パルコや同じJ.フロント リテイリンググループの大丸松坂屋百貨店内、他社の商業施設などへの出店を目指す。年間の売り上げ目標は非公開。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。