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商品のカーボンフットプリントを意識しますか?

 「アディダス」と「オールバーズ」のコラボシューズ、なかなか興味深いですね。カーボンフットプリント2.94kgCO2eを実現し、既存のシューズのフットプリントに比べさらに63%削減しているそうです。こう数字化されると分かりやすいものの、これまで製品一つ一つのカーボンフットプリントをあまり意識したことがない私からすると、「今持っている服や化粧品のカーボンフットプリントは一体どれくらいなんだろう?」と疑問に思ったり。すでにファッションや化粧品業界では新製品が出ると訴求ポイントとして「従来品に比べプラスチック使用料〜%減」といったことはよく耳にしますが、「オールバーズ」はカーボンフットプリントの計測ツールをオープンソース化したそうですし、今後はカーボンフットプリントも一つの指標になりそうです。

 
 

北坂 映梨
NEWS 01

「アディダス」と「オールバーズ」が“低炭素”フットウエアを共同開発

 「アディダス(ADIDAS)」と「オールバーズ(ALLBIRDS)」は5月12日、コラボレーションアイテムの第一弾“フューチャークラフト.フットプリント(FUTURECRAFT.FOOTPRINT)”のプロトタイプを発表した。このプロトタイプは100足制作されており、アディクラブ(adiCLUB)会員に抽選プレゼントする。抽選受付は5月21日午前8時59分まで(日本時間)。“フューチャークラフト.フットプリント”2021年秋冬は1万足を販売し、22年春夏以降はさらに拡大していく。

 “フューチャークラフト.フットプリント”はカーボンフットプリント2.94kgCO2eを実現。これは「アディダス」のランニングフットウエア“アディゼロ RC3(アディゼロ RC3)の7.86kgCO2eに比べて63%削減した数字で、「カーボンフットプリントゼロのパフォーマンスランニングフットウエアを作る」という両者の共通の目標を一歩前進させた。両社は20年5月にパートナーシップを結び、フットウエア業界が1年間に排出する700億tのCO2排出削減に向けたコラボレーションプロジェクトを発表していた。

 「アディダス」と「オールバーズ」、ドイツとサンフランシスコに拠点を置く開発チームは、開発から納品までを全てデジタルで行い、カーボンフットプリントを抑える開発プロセスを採用。プロダクトデザイン、素材イノベーション、サステナビリティ、サプライチェーンの全てにおいて分析的な手法を用いて、あらゆる構成要素とプロセスの見直しを行い、パフォーマンスを損なうことなく、素材、製造技術、パッケージまでを再考した。

 イノベーションの相乗効果を発揮したのは、各ブランドの独自技術である2つのテクノロジーだったという。アディダスで人気のミッドソール“ライトストライク(Lightstrike)を、オールバーズのサトウキビをベースにした“スウィートフォーム(SweetFoam)”で再構築し、低炭素の天然素材の実装を実現した。アッパーも新たに開発し、リサイクルポリエステル70%と木材パルプから作られたテンセルを30%使用した。

 アディダスのブライアン・グレヴィ(Brian Grevy)グローバルブランド エグゼクティブボードメンバーは「オールバーズとのパートナーシップは、同じ業界の競合するブランドが一緒になってデザインすることで、どのような可能性が生まれるかを示す道しるべとなる。オールバーズのカーボンフットプリント算出に関する知識や天然素材を扱う経験、アディダスの製造能力やパフォーマンス・フットウエアの実績など、お互いの知識やリソースをオープンにし、真の意味での共同作業を行うことは、他のブランドへの呼びかけになり、スポーツ業界がカーボンニュートラルを達成するためのひとつのマイルストーンとなる」とコメントを発表。

 またオールバーズのティム・ブラウン(Tim Brown)共同CEOは「気候変動の解決という課題は私たちの世代の問題であり、その解決は一人や一社ではできない。私たちは、新しいビジネスモデル、新しいイノベーション、そして他者と共に働く新しい方法を見つける必要がある。アディダスとのパートナーシップはその一例だ。この1年間2つのチームが一丸となって、カーボンフットプリントゼロに限りなく近いフットウエアの開発に取り組んできた。その結果エキサイティングな一歩を踏み出すことができ、他のチームの模範となるような成果をあげることができた」とコメントした。
 
 アディダスのフローレンス・ロバート(Florence Rohart)シニア・フットウエアデザイナーは「このプロジェクトでは全てにおいて、『Less is more(少ないことは良いことである)』だった。素材だけでなく構造もミニマムにするために、パフォーマンスを維持するために本当に必要なものだけを残した」と話し、オールバーズのジェイミー・マクラーレン(Jamie McLellan)ヘッド・オブ・デザインは「アッパーと外側の構造は、タングラム原理から着想を得た。廃棄物を削減するために全ての個別パーツで素材全体を使い切っており、製造時にできるだけゴミが出ないようになっている」と話した。

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NEWS 02

「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ」が“米のもみ殻”を使用した協業プロジェクト

 イッセイ ミヤケの3月にスタートした新ブランド「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE以下、エイポック エイブル)」 は、異業種との協業プロジェクト“TYPE-I”のアイテムを5月14日に発売する。東京・南青山の同ブランド店舗で取り扱う。

 同プロジェクトでは、ソニーグループが開発した、米のもみ殻を原料とするサステナブルな新素材“トリポーラス”を使用したジャケット(税込9万9000円)やパンツ(同5万7200円)、ポロシャツ(同4万8400円)の3アイテムを用意する。多孔質な“トリポーラス”を糸に練り込んだ生地を黒く染色することで、色褪せにくく、長く着用できるという。

 「エイポック」は創業デザイナーの三宅一生とミヤケ デザイン スタジオ(MIYAKE DESIGN STUDIO)のチームが1998年に開始した独自の服づくりで、コンピューターの最新技術を駆使して、生地作りの段階で1本1本の糸に裁断や縫製のための情報を内包した“一枚の布”を生み出すプロジェクト。新ブランド「エイポック エイブル」では、宮前義之率いるデザインチームが「エイポック」の服作りを発展させ、“TYPE-I”のように異分野や異業種との協業にも取り組んでいく。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。