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購入時の3、4個の候補に食い込め

 ワッハッハ。これぞ、2020年代のファッションの広がり方ですね。UGC(User Generated Contents)がUGCを呼び、「ルイ・ヴィトン」の透明ベストは中国、そして世界の人に知れ渡ることになるでしょう。このベストが「買えるか、買えないか?」は正直、大きな問題ではありません。多分、そんなに作ってないでしょうし(笑)。「ルイ・ヴィトン」という名前が心に刻まれ、「そろそろ財布を新調しようかな?」なんて考えた時にブランドを思い出せば、ヴァージルも喜ぶことでしょう。マーケティングの世界では、「人はモノを買う時、実は3、4個の候補しか思い浮かべていない。その1つになることが重要」って言いますよね。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

「ルイ・ヴィトン」の膨らむ透明ベストが中国で話題に 個性あふれるDIY動画が続々

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の空気で膨らむ透明のベストが、中国のSNSで話題を集めている。デザインを手掛けたのは、「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の創設者で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターを務めるヴァージル・アブロー。全面にモノグラムをあしらったベストは昨年8月に上海でのショーで披露された2021年春夏コレクションのもので、価格は37万3000円だ。「ルイ・ヴィトン」は、このベストを“モノグラムへの未来的アプローチ”を取り入れた象徴的なアイテムと表現している。

 話題となったきっかけは、中国の短尺動画アプリの快手(Kuaishou、クアイショウ)に「ルイ・ヴィトン」のVIP顧客と思われる人物が同ベストを着用する動画が投稿されたことだ。動画に写っていたのは、同コレクションのショートフィルム“ズームと仲間たちの冒険(The adventures of Zoooom with friends)”に登場するキャラクターのぬいぐるみがあしらわれた特別版の“キーポル・バンドリエール50”バッグ(135万円)を片手に、成都市で開かれたポップアップストアに入る様子。これがアプリ上で多くの人の目に留まり、100万以上の再生回数を記録するとともに、8000以上のいいねと891件のコメントが寄せられた。その後さまざまなSNSでDIY動画が投稿され、ユーザーはユーモアあふれる手作りベストを披露している。

 SNS型ECアプリの「RED(小紅書、Xiaohongshu)」には、同アイテムの購入の記録を投稿するユーザーのほか、犬がベストを着用する写真を投稿したユーザーも。コメント欄には「月に1500人民元(約2万4000円)を稼いでいる自分にとって、このベストは人生の意味を考えさせられる」や「これが暖かいかどうかは関係ない。ただ間違いなくクールだ」といったものが寄せられた。

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NEWS 02

「ドクターマーチン」が新規上場 公募価格を23%上回る初値

 英投資会社ペルミラ(PERMIRA)傘下のシューズメーカー、ドクターマーチン(DR.MARTENS)は2月3日、ロンドン証券取引所のメイン市場であるプレミアム市場に新規上場(IPO)した。ティッカーシンボルは「DOCS」。新規株は1株あたり3.70ポンド(約529円)で募集し、公募価格を22.7%上回る4.54ポンド(約649円)で初値が付いた。終値は4.45ポンド(約636円)だった。

 同社は1月29日に投資家向けに事前取引を開始しており、ペルミラは募集枠の8倍の申込みがあったと発表していた。なお、ペルミラは株式の42.9%を保持する考えを明らかにしている。

 ペルミラは2014年1月にグリッグス(Griggs)ファミリーからドクターマーチンを3億ポンド(約429億円)で買収し、過去7年間で製造業を中心とした卸売事業から消費者に重点を置いたデジタル主導のマルチチャネル・ビジネスへと方向転換してきた。

 14年以降、ドクターマーチンの売上高は2億9000万ポンド(約298億円)から3倍以上増加して、20年3月期は6億7200万ポンド(約960億円)だった。また、新型コロナウイルスのパンデミックによってオンライン需要が増加したこともあり、20年4〜9月期で見ると、売上高は前年同期比18%増、EBITDAは同30%増だった。従業員数も14年の758人から20年には2288人と3倍に増加している。

 ドクターマーチンは1960年に定番モデルの“1460 8ホールブーツ”を発売し、現在60カ国以上で年間1100万足以上を売り上げている。世界全体の靴の市場規模は3410億ポンド(約48兆円)だが、同ブランドの各市場でのマーケットシェアは比較的低く、今後の成長が期待されている。

 ペルミラのタラ・アルハデフ(Tara Alhadeff)=パートナーは、「ドクターマーチンは過去7年間で大きな成長を遂げ、世界で最も成功しているブランドの1つになった。人材やeコマースなどのオペレーションに多額の投資を行い、常に消費者とブランドをビジネスの中心に置いてきた。ペルミラはケニー・ウィルソン(Kenny Wilson)=ドクターマーチン最高経営責任者をはじめとした経営陣のサポートを続けていく」とコメントした。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。