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加茂さんとの思い出
もうすぐ「楽天 ファッション ウィーク東京」が始まりますね。ファッション ウィーク東京と聞くと、私は2020年に逝去した世界的ヘアメイクアップアーティスト、加茂克也さんのことを思い出します。コレクションのバックステージは、加茂さんの超絶テクニックを間近で見ることができる貴重な機会でした。当時、バックステージ取材をよく行っていた私は、加茂さんがキーアーティストを務めるブランドは、可能な限り取材に入るようにしていました。
コレクションのバックステージは時間との勝負で、特キーアーティストは目の回るような忙しさ。けれど記者としては話を聞かないわけにはいかず、話し掛けるタイミングに頭を悩ませます。私も加茂さんに、隙を見ながら話し掛けていたのですが、あるとき加茂さんから「中村さんの見たまま、感じたままに書いていいから」と言われました。そのとき以来、いちいち確認せずに「見たまま、感じたまま」に書き、最後に一言だけコメントをもらう、という取材スタイルになりました。加茂さんも、最後の一言コメントを用意してくれるようになり、けっこういい関係性(と私は思っています)でバックステージ取材を続けることができました。
私が今期待しているのは、加茂さんに負けないくらい、世界的に評価されるヘアメイクアップアーティストが登場することです。先日、ヘアサロン「アッシュ」が、文化ファッション大学院大学のファッションショーでモデルのヘアメイクを担当し、バックステージをサポートしました。こうした、ヘアメイクアップアーティストを目指す若手美容師の背中を押すような取り組みから、“未来の巨匠”が生まれるかもしれないですね。
文化ファッション大学院大学のファッションショー ヘアサロン「アッシュ」がヘアメイクを担当
アルテ サロン ホールディングスのグループ会社であるアッシュが展開するヘアサロン「アッシュ(Ash)」は、1月30日に行われた文化ファッション大学院大学のファッションショーで、スタッフがモデルのヘアメイクを担当。バックステージをサポートした。
同ファッションショーは、1月29日~2月2日に開催された、第16回文化ファッション大学院大学ファッションウィークのハイライトとなるイベント。日本初のファッション専門職大学院、文化ファッション大学院大学のファッションショーは、ファッションデザインコース・ファッションテクノロジーコース2年次を対象に、各自が設定したコンセプトに基づき制作した、修了作品の研究成果を発表する場として開催されている。16回目を迎えた今回は、選抜された19人の院生がショーに参加した。
「アッシュ」は、2014年に同大学と合同で行った取り組みがきっかけで交流を深め、ファッションショーのバックステージでヘアメイクの協力をするに至った。院生とのクリエイティブな作品作りを通じて、スタッフは新しい感性に触れ、普段のサロンワークとは異なる創造力を養う体験をした。
バックステージメンバーとして参加した神谷璃乃「アッシュ 南万騎が原店」アシスタントは、「私は今回、英語のサポート兼ヘアアシスタントとして参加した。外部の仕事は初めてだったが、英語を生かしてモデルさんと仲良く会話しながら、先輩たちと共に楽しく仕事ができた。美容師としてヘアやメイクに携わりながら、得意な英語も生かせたのは貴重な経験だった。1年目から外部の現場にも関わることができるサロンはあまりないと思うので、今度もこういった機会があれば積極的に参加したいと思う」とコメント。
矢澤優司「アッシュ 十日市場店」アシスタントは、「私は美容師になったらメイクアップ技術で活躍したいという目標があり、チャンスをつかむためにアクションを起こそうと決めていた。今回参加して感じたことは、臨機応変に対応することの難しさ。各モデルの肌質、肌色、骨格やテーマなどを理解して、その日のコンディションに合わせた対応が求められた。ショー本番が迫り来る緊張感に満ちた環境でのクリエイティブの経験は、自分にとってとてもいい刺激になった」と感想を述べた。今後もアルテ サロン ホールディングスは、産学連携を含む幅広い活動をしていく。
「ミュウミュウ」「プラダ」絶好調 訪日富裕層が急伸した23年下半期の百貨店特選

旅行や外食の代替として、コロナ禍中に急伸した百貨店の特選ブランドや宝飾品といった高額品の売り上げ。 コロナが落ち着き、各ブランドが度重なる値上げを行う中で、国内の中間層ではやや消費の勢いが落ちて“正常化”してきた。 地方百貨店では「客数は前年割れだが、値上げによって売り上げを保っている」といった声が広がっている。 一方で、円安を背景に訪日外国人客は爆増しており、都心や観光立地の百貨店の伸びは引き続き著しい。 米中で景気後退の不安もチラつくが、今後も訪日客増はしばらく続きそうだ。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月26日号会員限定特別付録「ビジネスリポート 2023年下半期」からの抜粋です)
「WWDJAPAN」は2023年下半期(7〜12月)も、全国の百貨店(特選27店、宝飾21店)に高額品の売り上げ伸長率についてアンケート調査や個別取材を行った。特選カテゴリーはコロナ禍中に大幅伸長を続けてきたことで、コロナ禍前と比較すると売り上げが60〜70%増となっているケースが少なくない。新宿や銀座、大阪、京都、福岡といった訪日客の多い立地の百貨店は、23年下半期も前年同期比30〜60%増と大幅に伸ばしているが、地方店では伸び率は10%未満という声も出ている。前年実績を超えており悪くはないが、各ブランドが軒並み値上げをしている影響を差し引くと、買い上げ数は割り込んでいるか、前年トントンということになる。
国内中間層は“値上げ疲れ”
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「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。
