Fashion. Beauty. Business.

TOPICS

“映えない”服がステキに見えたワケ

ファレルの「ルイ・ヴィトン」こそ “映え”のオンパレードでしたが、2024年春夏のメンズコレトレンドは“クワイエット・ラグジュアリー”。華美な装飾を削ぎ落とした“映えない”スタイルです。

そんな“映えない”服に迫力を与える演出について、「今週の特集お届け隊」の大塚副編集長の分析に「なるほど〜」と思いました。

メンズコレトレンドについては、ぜひ7月10日号のウイークリーをご覧ください。見開きでまとまっていると視覚的、直感的に理解がしやすいです。記事中の「電子版を読む」「紙版を購入する」からぜひ。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

メンズコレはLVMH帝国一強!? 【今週の特集お届け隊】2023年7月10日号

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月10日号からの抜粋です)

大塚:今回のメンズコレ特集は、ショーの話題性、インパクトという意味で圧倒的だったファレル・ウィリアムス(PHARRELL WILLIAMS)による「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」を表紙からフィーチャーしました。エリさんと「どこのブランドが良かったか」を話したら、挙がるブランドがLVMH傘下のブランドばかりでしたね。“帝国”一強という感じのシーズンでした。

井上:そうですね。特に「ディオール(DIOR)」と「ロエベ(LOEWE)」が良かったです。「ディオール」はキム・ジョーンズが過去のヘリテージを新しいスタイルにうまく取り入れていて、テーラリングとワークのミックスが本当に美しかったです。「ロエベ」もプロポーションを変えながら、継続するミニマリズムのアプローチに新しさが感じられて、共に洋服そのものに魅力が感じられました。

大塚:「ディオール」はキム・ジョーンズのうまさが際立っていましたよね。メンズはここ数シーズンさまざまなブランドが新しいスーツを模索していて、そぎ落として服の本質を追究する流れが続いているのですが、その中で群を抜いていました。「ルイ・ヴィトン」はメジャー感でマスにアピールできるし、「ディオール」はモード好きに、「ロエベ」はクラフトのイメージを携えながらアクセサリーが強く、「フェンディ(FENDI)」もまた違うテイストでアクセサリーが強い。「ケンゾー(KENZO)」はカジュアル感もあって、LVMHは本当に全方位だと感心しました。

井上:確かにそうかも。

大塚:“そぎ落とす”傾向になっていくと、資本力のあるブランドが強いというか。もっと賑やかなデザインがトレンドだと、演出もストリート感を出すなどのやり方があるのですが、今のメンズの流れだと、そうした圧倒させる演出が服の魅力を引き立て、迫力を与える感覚があります。個人的には、ロンドンの若手や中堅のブランドがもっと成長してほしいです。

井上:そういう意味では「ダブレット」はバランススクーターで井野将之さんが最後に出てきたりして、ユーモアたっぷりに観客を楽しませながら、服自体はトレンドも押さえていて、すごいなと思いました。それから、「ルイ・ヴィトン」のニコラ・ジェスキエールの右腕として働いていたデザイナーたちが、中堅デザイナーとして徐々に頭角を現してきています。今後、同じように「ディオール」のキムの右腕だった人が表舞台に輩出されるのではないかと楽しみです。

トップページに戻る
NEWS 02

メンズの最新トレンドはあえて“映えない”4つのスタイル【特集:2024年春夏メンズ速報】

有料会員限定記事

2024 S/S Men's COLLECTION

2024年春夏シーズンは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」こそ“映える”スタイルだったものの、全体的には華美な装飾をそぎ落とし、品のいい素材や縫製に、シルエットでアレンジを効かせた、あえて“映えない”スタイルが継続してトレンド。従来の新しいスーツの探求に加え、普遍的なワークウエアの再解釈や、ウィメンズのシルエットや素材を交差させる潮流が活発だ。控えめな“クワイエット・ラグジュアリー”から一歩進んだ4つのトレンドを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月10日号からの抜粋です)

ワーク×ライフ×バランス

メンズでは普遍的なワークウエアをベースに、シェイプを極端に変えた違和感のあるバランスや、タフな素材をエレガントな服に用いたり、ワークウエアとスーツを融合させたりするアイデアが今シーズン最注目のトレンド。リモートワークでオフィスと日常の境目があいまいになり、ファッションのワークライフバランスにも変化が起きている。

「ロエベ(LOEWE)」

数シーズン継続している“無駄をそぎ落とした還元主義”のテーマに基づき、さらにリアルなワードローブで構成。彫刻家リンダ・ベングリスの作品から着想を得たジョナサン・アンダーソンは、「魚眼レンズを通して人の体を見上げるアイデア」が出発点だと語り、胴体が短いクロップド丈と脚が伸びたハイウエストのボトムスで、体の比率を変えたプロポーションを強調する。カーディガンのボタンの位置がずれ、ヘリンボーンの模様が不規則なのも、魚眼レンズ越しに屈折しているから。一枚のニット生地を折りたたんでレイヤードに見せた二重のニットウエアや、シューズと一体化したボトムスなど、細かなギミックを加えて定番アイテムを非凡なスタイルへと変える。

「サカイ(SACAI)」

この続きを読むには…
残り3554⽂字, 画像73枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
トップページに戻る

最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。